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異世界おじいちゃん 〜みんなで異世界転生〜  作者: オイシイオコメ
異世界おじいちゃん ~みんなで異世界転生~
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 その日の夜、おじいさんたちの家のテーブルにはなんと炊いた玄米、焼いた干物の魚、そして麦茶が並んでいた。


 それを目の前にした哲夫は感慨深く呟いた。


「いやぁ……。まさかこの世界で米と魚、それに麦茶が飲めるなんて……」


 するとおばあさんが元気よく手を叩いて皆に言った。


「さあさあ、食べましょう! 量が少なくて味見していないから、食べてみないと味はわからないわ」


 おばあさんの声をきっかけにおじいさんたちは両手を合わせて「いただきます」と呟くと、その場にいた魔王エヴとインメリア、そして招待された村の長も真似をしながら呟いた。


 そして皆が食べ始めると、


「これは!」

「ああ、おいしいですね」

「お米、甘いですね」


「え、まじでヤバっ!」

「あら、ちゃんと干物だわ」

「ああ、本当だ」


 しかし一番驚いていたのは魔王エヴとインメリア、そして村の長だった。


「あ、あああ! あの忌まわしき植物が……」


 魔王エヴは涙を流しながら玄米を口にいれると、横では干物を食べていたインメリアも涙を流しながら声を漏らした。


「こ、これが、あのウミという所にいる魔獣サカナなのか……。も、もしサカナをやると言われたら、その者に仕えてしまうかも知れぬ。なんと美味なのだ……」


 さらに村の長は玄米と干物が美味しすぎて、失神した。


「う……、うますぎる……。もう死んでもいい……」


 バタッ……


 それを見たおばあさんは慌てて村の長を抱き起こして言った。


「あらあらあら、起きてください! まだお米もお魚も残っていますよ!」


「はっ!!!」


 村の長はおばあさんの言葉に目を覚ますと、席に座り直して一気に玄米と干物を平らげた。


 バン!


 するとその時、村の若者がおじいさんたちの家に飛び込んできた。


「大変です! 公爵家の騎士だったという者が門の前でゴブリンの褒美を持ってきたと息巻いておりまして……」


 それを聞いた哲夫は様々な可能性に思いを巡らせて解析し、皆に言った。


「わたしが交渉にあたります。皆さんはサポートをお願いします」


「「はい」」


 その場に居た皆が返事をすると、哲夫は和代を引き連れて村の門へと向かった。


 ―― 村の門 ――


 哲夫と和代は村の門までやって来ると、馬とその横に立っているラゴの姿を見つけて哲夫が声をかけた。


「こんばんは、わたしは交渉役です。ご要件をお聞きしましょう」


 するとラゴは片膝をついて頭を下げながら哲夫たちに言った。


「私はラゴ。ラド公爵家の騎士でありました。しかし公爵家は嫡男(ちゃくなん)をお救いになったゴブリンへの褒美を諦めました。私はそれに納得できず、その身分を捨てて参りました」


 その話を聞いた哲夫は驚きながら聞き返した。


「それは本当でしょうか。騎士の身分を捨ててこのような所へ……」


「私は身分を捨て騎士では無くなりましたが、騎士の誇りは捨ててはおりません! お持ちした食料は少しですが、こちらの勲章をお売りいただければ!」


 ラゴはそう言うと、胸に着けた3つの勲章を外して哲夫の元へ差し出した。


 ドドドドドドド!!!


 しかしその時、100騎ほどの騎兵隊がやって来て村の門の外に集結した。


 その状況を見た哲夫は罠にはめられたと思い、後ろを振り向いて待機しているおじいさんたちに指示を出そうとした。


 しかし、隣にいた和代が哲夫の腕を掴んで制止し、哲夫に言った。


「待って哲夫さん。よく見て」


 哲夫は和代の言葉に振り向くと、なんとやって来た騎士たちは武器を持たずに両手を上に挙げていた。


 だが、その様子に一番驚いていたのはラゴだった。


 ラゴはやって来た騎士たちの先頭の騎士に話しかけた。


「兄上、なぜ」


 すると両手を挙げた兄ライズは笑顔で答えた。


「弟よ、私はお前の言葉に目を覚まされた。騎士は誇りを失えば、そこらの野党や盗賊と変わらぬ。私は公爵家の庇護(ひご)を受けることが誇りだと勘違いしていた」


「兄上……」


「私は1人でお前を追おうとしたのだが、このラジジに見つかってしまってな」


 すると、ラジジと呼ばれた騎士は馬から降りると、ラゴの元までやって来て言った。


「ラゴ様。私はラゴ様がお生まれになった時から見ております。正義感の強いラゴ様はいつか公爵家を出るのではないかと常々思っておりました」


「……ラジジ。ではお前はずっと私の事を?」


 しかしラジジそれに答えず、ラゴに話を続けた。


「私、そして門の外に居る約100騎の老兵は、お父上様の英雄ライズ様から遺言(ゆいごん)を頂きました。名を授けた兄のライズと、弟のラゴを頼むと」


 すると門の外にいる騎兵たちは一斉に兜(かぶと)の面をあげた。


 そしてラジジも兜(かぶと)の面をあげると、その年老いた傷だらけの顔でラゴを見つめながら言った。


「ラゴ様。我ら約100騎の兵は全て私と同じように英雄ライズ様と共に戦った者たち。今や老兵となりましたが、ラゴ様、そして兄のライズ様をお守りする事は使命であります」


 するとその時、なんとインメリアがやって来た。


 そしてラゴの前に出ると荷馬車を襲った時に使ったガンデロ帝国の腰巻きを見せながら言った。


「おいラゴと言ったな。これを覚えているか?」


 ラゴはインメリアの腰巻きを見ると、顔面蒼白になった。


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