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異世界おじいちゃん 〜みんなで異世界転生〜  作者: オイシイオコメ
異世界おじいちゃん ~みんなで異世界転生~
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 翌日の夜、ライズの息子ラゴは公爵に謁見し、インメリアたちに食料を奪われた事を謝罪していた。


「公爵様。この度の失敗はすべて私の責任でございます。いかなる罰も受ける所存でございます」


 しかし公爵は特に責めることもなく答えた。


「いや、良い。私もお前の力を過大評価していたようだ。やはり、ライズの名を受け継いだお主の兄に頼むべきであったな」


 公爵はそう言って横に控える兄の二代目ライズに目線を送ると、弟は唇を噛みながら声を漏らした。


「くっ……。な……、何も返す言葉がございません」


 しかし兄のライズは片膝をつき、弟を擁護(ようご)するように公爵に言った。


「公爵様。この度は食料は奪われてしまいましたが、弟のラゴは貴重な情報を持ち帰りました」


「ほう、そうであったか。ではラゴよ、報告せよ」


 するとラゴは盗賊団について説明を始めた。


「はっ! 盗賊団のリーダーと思われる者の剣技は鍛え抜かれておりました。そして、手練(てだれ)の弓兵もおり、こちらの弓兵は正確に射抜かれて無力化されました」


「なんだと? 盗賊団ごときが、それほどの兵力だったのか?」


「はい。そして私の目に間違いが無ければ、リーダーの腰巻きはガンデロ帝国のものかと……」


「なにっ!? ガンデロ帝国だと!?」


 すると兄のライズが公爵に進言した。


「公爵様、もし仮に昼間の盗賊団がガンデロ帝国の騎士ほどの者たちだとすれば、公爵領内にスパイがいる可能性があります」


「くっ……。ガンデロ帝国め、姑息(こそく)な手段を」


「しかし、この度の弟の失態は英雄ライズの名を冠する当家の名折れ。明日、当家の食料を私と弟がべべの村まで届けましょう」


 すると公爵は笑いながらライズに答えた。


「いやいや、良い良い。どうせゴブリンごとき裏切ったところで何も起こらん」


 それを聞いたライズは思わず公爵に聞き返した。


「公爵様。ですが、あの食料はマテリオーロ様を命がけで救ったゴブリンへの褒美(ほうび)とお聞きしましたが……」


「表向きはな。だか本来の目的は美味いものを食わせて村人に恩を売る、いわゆる賄賂(わいろ)だ。だが、ガンデロ帝国のスパイが居るとなればそちらが先だ。食料などどうでも良い」


 それを聞いたライズとラゴは表情を曇らせた。


 ―― ライズの邸宅 ――


 公爵との謁見を終えたライズとラゴは兄ライズの邸宅で話をしていた。


「兄上。私は公爵の不義理が許せません。ゴブリンとはいえ、まかりにも命をかけた者への褒美です。私も、その話を聞いて心を動かされ、護衛を進んで願い出たのです。それを!」


「弟よ、気持ちは分かる。だが落ち着け」


 すると弟のラゴは立ち上がって声を荒げた。


「落ち着けません! 兄上、お忘れですか!? あの公爵は父上を……、英雄ライズを殺したようなものです! あの公爵は義理や恩義というものを馬鹿にしています!」


 しかし兄のライズも声を荒げて弟の腕を掴みながら声をあげた。


「やめろ、その話は済んだことだ! 我々は公爵様の騎士団。ここは耐えるのだ」


「兄上はそで良いのですか!? 兄上は命がけで誰かを助けた者に褒美をやらず、自分の事だけを考えている公爵の味方ですか!? それでも騎士ですか!?」


 ラゴがそう言った瞬間、


「うるさい!!」


 ドガッ!!


 なんと兄のライズは力任せに弟の顔を殴ってしまった。


「くっ!!」


 ラゴは兄のライズを睨みつけると、ライズは我に返って誤魔化すように弟のラゴに言った。


「す、すまないラゴ。だが、これはお前のためだ……。わ……、我々は貴族の騎士であり……」


 するとラゴは眼光鋭く兄のライズに言った。


「兄上、その誤魔化すような顔。公爵とそっくりですね」


「……!!」


 ラゴはライズの邸宅を走り出ると、馬に乗って自分の邸宅へと戻った。


 ―― ラゴの邸宅 ――


 ラゴは自宅の食料庫を漁(あさ)り、食べられそうなものを次々と袋に詰めていった。


「この命をかけてでも、ベベの村にいるゴブリンに報いてみせる。それにもう、あの公爵に仕えるなど御免(ごめん)だ」


 しかしラゴはどんなに食料を集めても10人分くらいしか集める事ができなかった。


「くそっ! こんな少しでは足りないではないか!」


 しかしラゴは思い出したように自分の胸元を見た。


「そうだ。この3つの勲章は金や銀、それに貴重な宝石が埋め込まれている。これならば少なくとも数百人分の食料になるはずだ」


 ラゴは少し笑顔になると、袋に詰めた食料を担ぎ、自宅の外へと走り出た。


 ―― ラゴの邸宅横の厩舎(きゅうしゃ) ――


 ラゴは自分の戦馬に食料を入れた袋を結びつけると、ひらりと戦馬に跨(またが)って戦馬に話しかけた。


「私はこれから恩義に報いるために旅に出る。そしてもう、ここには戻ってこないだろう。お前には迷惑をかけるな」


 すると戦馬は優しい眼差しでラゴを見つめた。


 それを見たラゴは戦馬の鬣(たてがみ)を優しく撫でると、ゆっくりと厩舎(きゅうしゃ)から走り出た。


 しかしその時、偶然ラゴの言葉を聞いていた公爵のメイドが声を震わせながら呟いた。


「ラ……、ラゴ様があんな事を……。もう、ここには戻ってこないだなんて……。まさか公爵様を裏切って逃げたのでは……」


 メイドは居ても立っても居られず、公爵邸へと走っていった。


 ―― 翌日の早朝 ――


 ラゴはベベの村に向かう途中、仕えていた公爵家に隣接する伯爵家の領地に入るため、通行証の確認を受けていた。


「通行証を確認します」


 ラゴはリムリテイル王国のどこにでも行ける金の通行証を見せた。


「おお、金の通行証を! これは失礼いたしました。ですが、こちらの通行証は公爵家のもの。現在警戒中なのです。失礼ですが、その通行証の裏にあるお名前を拝見しても……」


 ラゴは思わず通行証を引っ込めると、それを見た護衛の騎士たちがラゴの元へと近づいてきた。

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