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結局イフリートはリッチの作り出した氷の監獄に捕らえられ、イフリートは、リッチとミノタウロスの尋問を受けていた。
「ええと、わたくしリッチと申します。イフリートさん。どうして、このような事を?」
「あ? まぁ、表向きは侵入者の排除だ。だが炎の魔導師がいると聞いては戦いたくなってな。しかし氷の魔道具を使うとは想定外だった」
しかしリッチは首を傾げながら答えた。
「ええと、あの氷の壁は魔道具ではありません。私の魔法です」
「何だと!? お前は炎の魔導師だろうが!」
「ええと……。話すと長くなりますので手短にお話しすると、私が仕えていた国がブラックでして、炎、氷、水、雷の4属性と、剣術、槍術、護身術を身につける事が義務だったのです」
「なんだと……? それはしかし、……なんとも相当なブラックだな」
「ありがとうございます。炎の大精霊様のお墨付きを頂けるとは。ははは」
「それにしても、おれよりも優れたヤツが謙虚だと、さすがに気が引けるな。おれは生来の才能だけで楽して生きてきたからな」
「いえいえいえ、イフリート様は炎の大精霊様です。生まれ持ったご才能は生まれ持っての運命と言えるものかと」
それを聞いたイフリートは謙虚なリッチを気に入ってリッチに言った。
「お前、面白いことを言うじゃねぇか。決めた。おれはお前に加護をやろう。お前の炎の魔法は強化されて、炎の魔術師の頂点となるだろう!」
しかしリッチは驚きながら答えた。
「いえいえいえ! そんなそんな!」
「いや、おれは決めた! お前が嫌がっても加護をやる!」
イフリートはそう言うと、両手を大きく広げで上を向き、体から赤いオーラを広げた。
そしてそのオーラをリッチに投げつけると、赤いオーラは一瞬にしてリッチの体の中に吸い込まれていった。
イフリートは「ふぅ」とため息を付くとリッチに言った。
「これでお前は大精霊イフリートの加護を受けた。まぁ、説明するのも面倒くせぇ。ちょっと炎の魔法出してみな」
それを聞いたリッチはイフリートにお礼をして小さな火の玉を作り出してみた。
「ありがとうございます。では、試してみますね」
ボンッ!!!!
「わわっ!!」
リッチは注入した魔力の数倍の火の玉が出現して驚き、思わずイフリートに言った。
「イフリート様、ものすごい威力です!!」
「はっはっは! だろう!? なんたってイフリート様の加護だからな。って事で、これからもよろしくな」
イフリートがそう言うと、リッチは少し不思議そうに聞き返した。
「これから……、も?」
「ああ、そうさ。おれはお前に加護を与えたんだ。だから、あれだ……。なんていうか、あれだよ、ほら、人間どもがよく一緒に遊んだり、酒飲んだりする、あれだよ」
「あ、ええとお友達でしょうか」
「そう! それそれ! これからお友達だから、よろしくな!」
しかしそれを聞いたミノタウロスは不機嫌そうにイフリートに言った。
「イフリート。お前は短気で暴力的だ。ここには沢山の子供たちがいる。まさか一緒に付いてくるわけではないだろうな」
イフリートはミノタウロスの言葉を聞くと、少しだけ寂しそうに答えた。
「いや、ああ。やっぱ、おれダメか?」
「イフリートよ、今お前は氷の監獄に囚われているのを忘れたか? 加護を与えたのは関心するが、図々しいにも程があるであろう?」
「……そうだよな。まぁ、分かってるよ。おれは嫌われるのが得意なんでな。なぁ魔導師よ。リッチって言ったか。いっその事、おれを殺してくれないか? 出来るだろ?」
「ええっ!? 突然、何を言うのですか!?」
「心配すんな。おれが死んでも加護は無くならねぇからよ。せっかく生き返ったけどよぉ、……やっぱこの世界は生きづれぇわ」
しかしリッチは少し考えてイフリートに言った。
「イフリートさん。お友達になりましょう」
「ええっ!? いいのか!?」
「はい、ですが条件がありますがよろしいでしょうか」
「ああ! もちろんだ!」
「条件は怒らない事と、誰かを喜ばせる事です」
「……ん? そんな事でいいのか?」
しかしその時、ミノタウロスがイフリートに言った。
「イフリートよ。お前にそんな事を出来るとは思えぬが」
するとイフリートは立ち上がり、ミノタウロスに食ってかかるように答えた。
「ああ!? そんなのやってみねぇと分かんねぇだろうが!」
その様子を見たリッチは即座にイフリートへ言った。
「ええと……、いま怒ってらっしゃいますよね」
「あっ……」
イフリートは冷静になると、その様子を見ていたリーダー的存在の少年がリッチに言った。
「リッチ隊長。僕もイフリートさんには不安が残ります。現にみんなも不安そうに見ていますし」
リッチはその言葉に振り返ると、子供たちは不安そうに監獄に囚われているイフリートの様子を見ていた。
イフリートも子供たちを見ると、思わず立ち上がって「自分は怖くない」と叫びそうになったが、グッとこらえて息をゆっくりと吐いた。
そして、リーダー的存在の少年に言った。
「おい少年。お前の言ってることは正しいぜ。すまねぇ」
それを聞いたリーダー的存在の少年は優しく答えた。
「いえ。ですので僕たちから離れて頂いて、僕たちがダンジョンから出るまで静かに見守って頂ければ……」
リーダー的存在の少年はイフリートが自分たちに関わらないように、オブラートに包んで「静かに見守って頂ければ」と言ったが、なんとイフリートはそのままの意味で解釈して喜んだ。
「お、おう! なんだ、それでいいのか! そんな事ならダンジョン出るまでバッチリ見守ってやるぜ! それが条件なんだな!?」
「え、あ、ええと……」
「なら話が早えぇ! ここから離れて見守りゃいいんだろ? 任せとけ! おれが全力で見守ってやるからよぉ!」
イフリートはそう言うと、両手を前に出して爆発させるように炎を氷の監獄の柱にぶつけた。
ボンッ!!
すると氷の監獄には大きな穴が空き、イフリートはそこから飛び出して空へと舞い上がった。
そして嬉しそうに笑うとリッチたちに言った。
「見守りは任せときな! これでお友達だな!」
イフリートはそう言うと一瞬で見えないところまで飛んでいった。




