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「おい、ミノタウロス! 今まで大将気取りで散々偉そうにしていたなぁ。ああ?」
アサシンデーモンはミノタウロスの元へと歩いていくと、ミノタウロスはわざとらしく怯えたように下がっていった。
その様子を見たアサシンデーモンは顔を歪ませながら笑みを浮かべ、下がるミノタウロスの顔に足蹴りをした。
ドガッ!
「いい気味だな!! おい、俺様に跪け!! 散々偉そうにしやがって!!」
それを聞いたミノタウロスは抵抗せずにアサシンデーモンの指示通り頭を下げて跪いた。
その様子を満足そうに眺めたアサシンデーモンは、この場を掌握したと勘違いして嬉しそうに言った。
「はっはっは!! やっぱり戦いは力じゃねぇんだよ! 頭だよ! あ・た・ま! 頭のキレるヤツが最後に勝つんだよ! だろぉ?」
アサシンデーモンがそう言ってミノタウロスの頭を踏みつけると、それを見ていた女の子が突然走り出してアサシンデーモンに言った。
「ミノおじちゃんをイジめちゃだめーー!!」
その声を聞いたアサシンデーモンは爪を鋭く構えて振り向くと、女の子が泣きながら走ってくるのが見えた。
「ガキが」
アサシンデーモンはニヤリと笑って女の子を切り裂こうと飛び出すと、
ドガッ!!!
なんとミノタウロスがアサシンデーモンの背後から頭を掴んで地面にめり込ませていた。
「おぐぅぅ!?」
アサシンデーモンが苦しい声をあげると、ミノタウロスは優しく笑って女の子に言った。
「ごめんね、驚かせてしまったね。大丈夫。ぜんぶ、この悪魔を騙すためのお芝居だったんだよ」
「えっ?」
女の子が驚いた瞬間、ミノタウロスは残酷な場面を見せないように女の子の視界を手で塞いだ。
それに気づいたリッチも急いで炎の壁を作り出して子供たちの視界を遮った。
次の瞬間、
パンッ!!
渾身の力でアサシンデーモンをダンジョンの壁へと投げつけ、その凄まじい威力はアサシンデーモンの体を水風船が割れるかの如く破裂させた。
そしてアサシンデーモンの体は灰が風に散るように霧散していくと、ミノタウロスは女の子を心配しながら振り返った。
「お嬢ちゃん、心配かけてすまなかったな」
すると女の子は頬を膨らませながら真っ赤な顔になってミノタウロスに言った。
「もう!! ほんとに心配してたのに!! 怖かったけど、助けに来たのに!! ミノおじちゃん、大っきらいだからね!!」
女の子は涙を流しながら腕を組んで後ろを向くと、ミノタウロスは絶望の表情を浮かべて硬直した後、ポロリポロリと涙を流しながら女の子に言った。
「ご、ごめんね。でもね、みんなを助けたかったんだ。だからリッチ殿とお芝居をしててね……」
しかし女の子は不機嫌なままほっぺを膨らませていた。
すると子供たちのリーダー的存在の少年が女の子に言った。
「アイイ。ミノおじさんの判断は正しかった。お前は小さいからわからないかもしれないけど、ミノおじさんがああしてくれなかったら全員死んでいたかもしれない」
しかし、アイイは泣きながら答えた。
「う、うえぇっ……。でも! だって! ミノおじちゃんのこと本当に心配してたんだから! 怖かったけど、ミノおじちゃんを助けようのしたのに!! うえぇぇんん!!」
するとミノタウロスは慌てて女の子の前に片膝をついて女の子に言った。
「アイイお嬢様!! このミノタウロスが大変ご心配をおかけいたしました。このミノタウロス、アイイ様直属の護衛となりましょう! いかがでしょうか!」
それを聞いたアイイは少しだけ気分を良くして笑顔になると、ミノタウロスに尋ねた。
「ミノおじちゃんが近くでアイイを守ってくれるの?」
「もちろん! 直属の護衛になりましょう! なんなりとご命令を!!」
「ほんと!? じゃあ……、えへへ、肩車して!!」
アイイは嬉しそうに笑顔を見せると、ミノタウロスも満面の笑顔を浮かべてアイイを抱き上げた。
「もちろんでございます、アイイ様!」
そして優しく肩車をすると、アイイはその高さに喜んで声をあげた。
「あはは! 高い高い! ミノおじちゃん、でっかいね!!」
ミノタウロスはアイイは喜んでる姿を見ると嬉しそうにアイイに答えた。
「アイイ様、喜んでいただけて光栄です! はっはっは!! アイイ様にはずっとココに居て頂きましょう!」
「あはは! いいよ、ミノおじちゃん!」
ミノタウロスはアイイの言葉を聞くと嬉しそうに走り回った。
しかし、その様子を見ていた子供の1人が小さく呟いた。
「いいなぁ。ぼくもミノおじちゃんに肩車してほしいなぁ」
それを聞いたリーダー的存在の少年はその子供を優しく抱きしめながら言った。
「今はいいじゃないか。アイイは勇敢だったけれど、とっても怖かったと思う。今はたくさん笑ってもらおうよ」
「……うん。そうだね、そうだよね。はは」
その横で子供たちの会話を聞いていたリッチは、子供たちの優しい会話にアゴを落として感動の涙をとめどなく流していた。
しかしその時、リッチとミノタウロスは静かな殺気を感じた。
そしてリッチとミノタウロスは目を合わせると、ミノタウロスは肩車しているアイイを見上げて優しく言った。
「アイイ様。敵が来たかもしれせん。一度降りて下がってもらっても良いでしょうか」
しかし、アイイはミノタウロスの頭にしがみついて答えた。
「や! ミノおじちゃんが守ってくれるって言ったもん!」
アイイはそう言った瞬間、とても甲高く、そして聞き覚えのある音を聞いてミノタウロスに言った。
「ミノおじちゃん、矢が来る! 伏せて!」
「なにっ!!」
「矢ですか! みんな伏せて!」
ミノタウロスとリッチ、そして子供たちは瞬時に伏せると、なんとアイイの言った通り、矢が数本飛んできて頭をかすめていった。




