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その頃、ワブとエヴォはオデルロと一進一退の戦いを派手に繰り広げていた。
オデルロは斬りかかってくるワブの剣を特大剣で弾くと、その隙に体を低くしたエヴォが下段からオデルロを斬り上げた。
「でやっ!」
ブンッ!
「ちっ!」
キン!
しかし、オデルロは素早く特大剣を返してエヴォの剣を弾くと、ワブは少しだけ隙のできた脇腹に再び襲いかかった。
「やぁぁああ!!」
ガンッ!
しかし、オデルロはワブの剣が届く前に前蹴りでワブを吹き飛ばすと、大きく特大剣を薙ぎ払ってエヴォも吹き飛ばした。
「ぐおっ!」
「くっ!!」
ズザァァアアア……
ワブとエヴォは素早く大勢を立て直すと、オデルロはアゴをカクカクとさせて笑いながら2人に言った。
「はっはっはっは! 弱い! 弱いぞ!! 本当に雑魚だなぁ!! 今度はこちらから行くぞ。死ぬ覚悟はできてるかぁ?」
オデルロの言葉を聞いたワブは、屋根の上でイケオジと一緒にいるヤナに叫んだ。
「ヤナ! 筋力強化の魔法じゃ! いますぐワシにかけてくれ!!」
しかしヤナは体を硬直させながら答えた。
「だめ、おじいちゃん! あの魔法をかけたら体から血が出ちゃうの! おじいちゃん、死んじゃうかもしれない!」
ヤナがそう言うと、ワブは笑いながらヤナに言った。
「大丈夫じゃ! 若い頃、ヤーニャのやつにかけてもらった事がある! 多少は血が出るが20日も寝ていれば大丈夫じゃ! 早くかけるのじゃ!」
「で、でも!! おばあちゃんの魔法みたいに上手に出来ないよ!!」
ヤナが怖がっていると、オデルロが特大剣を振りかぶってワブたちに襲いかかってきた。
「はっはっは! 何を喚いてやがる! 死ねぇぇえええ!!」
オデルロは大きく踏み込むと特大剣を見えなくなるほどの速度でエヴォの頭上から振り下ろした。
ブワァァアアア!!
それを見たエヴォは咄嗟に剣でオデルロの剣を受けようと防御の構えを取ったが、全てを悟ったかのようにワブに言った。
「ワブ殿。短かったが、楽しい時間であった」
パァン……
ズガァン!!!
なんとオデルロの特大剣はエヴォの剣を真っ二つに折り、そのままエヴォの肩から一瞬にして地面まで特大剣を振り抜いた。
「すま……、ない……、ワブ……、殿……」
エヴォは体を縦に真っ二つに切り裂かれながら最後の言葉を発すると、エヴォの両手はダラリと落ちて、そのままゆっくりと膝を突いた。
「エヴォ殿ぉぉぉおおおお!!!!」
エヴォが力なく崩れてゆく様を見たワブは、怒りの眼差しでオデルロを睨みつけ、大声をあげながらオデルロへと飛び込んでいった。
「おのれぇぇぇえええええ!!!!」
しかしオデルロは特大剣を構えると、今度は低く構えてワブを迎え撃った。
「おいジジイ! お前は気に食わねぇ! 脳みそごと頭を破裂させてやるよぉ!!」
オデルロは特大剣をワブの頭に向かって振り切ろうとすると、突然、オデルロへ飛び込んでゆくワブのフルプレートアーマーから血の霧が吹き出した。
ワブはヤナが筋力強化の魔法をかけたと分かってニヤリと笑うと、全身から血を吹き出しながら全身全霊の力でオデルロに斬りかかった。
「エヴォ殿の仇じゃぁあ!!!」
ワブはオデルロの低い軌道の特大剣に合わせて剣を斬り上げようとすると、オデルロは力ずくでワブの剣を叩き落としにかかった。
「吠えるなジジイ!! 舐めるなよぉおお!!」
オデルロがワブの剣を叩き落とそうとした瞬間、ワブは即座に手首の力を抜いてオデルロの特大剣を絶妙に滑らせた。
シャッ!!
「なにっ!!」
オデルロが思わず声をあげると、オデルロの特大剣は軌道を逸らされて地面に刺さり、それを見たワブはニヤリと笑ってオデルロの特大剣を足場にして高く飛び上がった。
そしてオデルロの頭蓋骨を睨みつけると、血しぶきをあげながら体ごと回転させ、全ての力を込めて剣を振った。
「でやぁぁああぁぁぁあああ!!」
パァアン!!
「ぎゃぁぁ!!」
ワブの剣は美しい軌道でオデルロの頭蓋骨を一直線に切断し、オデルロはアゴを震わせながら声を発した。
「ジ……、ジイ……。お前……、なに……、者だ……」
オデルロの頭蓋骨は2つに分かれて転がり落ち、体は崩れ落ちるように後ろへ倒れていった。
ズシャァァ……
そしてワブも着地するとそのまま倒れ、近くに倒れていたエヴォの亡骸を見て薄っすらと笑うと、そのまま気を失った。
―― 翌日 ――
ワブは美しく装飾された大きな部屋で目が覚めた。
「ここは……」
しかしワブはクモの糸でグルグル巻にされ、大きなクモの巣に捕らわれているとこに気づいて大声をあげた。
「な! なんじゃこれは! ワシはクモのエサではないぞ!!」
ワブがジタバタすると、クモの巣の上にいたクラクモが目を覚ましてワブに言った。
「目が覚めたようですね、ワブさん。落ち着いてください、これは治療です」
しかしワブは逃げ出そうと体を動かそうとした。
「うぬぬぬ!」
するとその時、ヤナが部屋に入ってきてワブに言った。
「おじいちゃん、目が覚めたのね! よかった!」
「ヤ、ヤナ! このクモの魔物は!」
「おじいちゃん、大丈夫! その方はマコ王……、え、ええと、国王陛下のご子息様のマコ様が信頼している方だから信じて!」
「マコ様……、それはマコ伯爵殿下ではないか! そ……、それなら信じよう」
ワブがそう言うとクラクモはクモの糸を1本ずつ緩めてゆき、ワブはゆっくりと部屋の床へと降り立った。
するとワブは突然膝をついてヤナに言った。
「ヤナ。お前の身体強化魔法がなければワシは死んでいたじゃろう。じゃが、お前の気持ちも分かっているつもりじゃ。すまない。辛い選択をさせてしまったな」
それを聞いたヤナは優しくワブを抱きしめながら答えた。
「ううん。私がおじいちゃんに魔法をかけられなくて涙を流していたら、おばあちゃんの声が聞こえたの。『ヤナちゃん、助けてあげて』って」
ヤナがそう言うとワブは目に涙を浮かべながら呟いた。
「そうか……。ヤーニャが……。そうか……」
ワブはそう言ってヤナを抱きしめると、遠くからエヴォの声が聞こえた気がした。
「ワブ殿、お主の戦いぶりは素晴らしかった。お主の戦いは、この先も語り継がれる事になるだろう」
ワブはその声に涙を流すと、悔しさを滲ませながら声に答えた。
「エヴォ殿……。お主こそ、本物の英雄じゃったぞ。ワシが死んだら、あの世で酒でも酌み交わそうぞ。それまで待っていれくだされ!」
しかし、ワブの言葉を聞いたクラクモは少し冷静な声でワブに言った。
「いや、現世でも酒は酌み交わせるぞ。後ろを良く見ろ」
ワブはその言葉に思わず振り向くと、なんと頭蓋骨と左腕だけになったエヴォがテーブルの上にいた。
「おお!!! エヴォ殿!!!」
ワブは思わずエヴォの元へ走っていった。




