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その頃、マルちゃんたちはエヴォとキキエの案内でヤジの屋敷の近くまで来ていた。
しかし屋敷はスケルトンたちに厳重に守られ、迂闊に近づくことはできなかった。
するとその時、屋敷の玄関から特大剣を背負った体格の良いスケルトンが現れ、それを見たスケルトンたちは一斉にひれ伏した。
その様子を見ていたエヴォは静かに皆に言った。
「あの体格の良いスケルトンが伝説の英雄オデルロだ。オデルロはマコ王の白騎士団と激しくやり合って指名手配が出ているが、ヤジのもとで隠れて暮らしている」
エヴォがそう言うとワブが気になってエヴォに尋ねた。
「エヴォ殿。先ほど皆で話していた時にエヴォ殿でもオデルロには敵わぬと言っておったが、貴殿ほどの魔法剣士が敵わぬとは想像もつかぬ」
するとエヴォは腕を組んでワブに答えた。
「私は炎の魔法使いから鍛練して剣士になった魔法剣士。しかしオデルロには魔法が効かぬのだ。となると、一日の長のあるオデルロには剣の腕前では敵わぬ」
「なんと魔法が効かぬと! ……そういう事であったかエヴォ殿。ならば、戦い方も考えなければなりませんな」
ワブがそう言うと、メチャツが冷静かつ合理的に、そして長々と意見した。
「オデルロは間違いなく剣術で凌駕してくるでしょう。そして周囲のスケルトンも一筋縄ではいきません。そうなると、戦闘という面で適任となるのは近接攻撃ができるエヴォさんとワブさんですね。そして周囲のスケルトンはイケオジさんが対処。ヤナさんはワブさんを回復する必要がありますから、イケオジさんの保護の元……」
メチャツがそこまで言うと、キキエが甘えるようにメチャツに言った。
「メチャツさぁん。キキエ、ぜんぜん分からなぁい。分かりやすく言ってほしぃな」
それを聞いたメチャツは腕を掴んでくるキキエと微妙に距離を取りながら要約した。
「要するに、エヴォさんとワブさんがオデルロと戦い、イケオジさんはヤナさんを守りつつ周囲のスケルトンを。ヤナさんはワブさんが危なくなったら回復してください」
それを聞いたワブは嬉しそうにメチャツに言った。
「なるほど、承知したメチャツ殿! 友となったエヴォ殿と愛する孫。共に伝説の英雄オデルロと戦えるとは、なんとも光栄じゃ!」
するとメチャツはマルちゃんとケイジャ、キキエにも作戦を話した。
「マルちゃんさんとケイジャさん、キキエさんは僕と一緒に隙を見て屋敷に入りヤジを捕らえます」
「わかったぜメチャツ」
「ああ、そうしよう」
「はぁい!」
すると元兵士の仲間たちとゲゲロっちが少し不安そうな表情でメチャツに言った。
「えっと……、おれらは……」
「分かるぜ? 敵強いもんな」
「役に立てないって感じか?」
「すみません。このゲンゲゲロ、お役に立てそうにも……」
しかしメチャツは真剣な声色で答えた。
「いえ、皆さんには一番重要な任務をお願いします。我らが戦っている間に屋敷にある悪事の証拠を押さえてほしいのです」
「お、おう。それなら出来そうだな」
「なんだよ、おれら重要な任務だな」
「しかたねぇなぁ。一肌脱ぐか!!」
するとゲゲロっちはニヤリと怪しい笑みを浮かべてメチャツに言った。
「それならばお任せください。このゲンゲゲロ、悪いやつが証拠を隠す場所ならば心理を理解していますから見当がつきます。全て暴いてみせましょう……」
ゲゲロっちは自信満々に答えたが、まわりの皆は「悪いやつの心理を理解している?」と少しだけ不審に思った。
◆
ヤジの屋敷の前では英雄オデルロがスケルトンたちに大声をあげていた。
「おい、お前ら! だれかオレの相手をしろ! 誰か殺したくてしょうがねぇんだよ!! 誰でもいいから死んでくれよ!!」
それを聞いたスケルトンたちが一斉に逃げ出すと、オデルロは面白がりながらスケルトンを追いかけ始めた。
「おらおらおら! 早く逃げねぇと殺しちまうぞぉぉお!」
「「うわぁぁああああ!!」」
スケルトンたちは悲鳴をあげながら一斉に逃げ出すと、突然、空から氷の結晶が静かに降り注ぎ、スケルトンたちは思わず空を見上げた。
するとその視線の先には無数の氷の矢とイケオジがいた。
「「うわぁぁあああああ!!」」
スケルトンたちは氷の矢に恐れおののくと、氷の矢は一斉にスケルトンたちに降り注いだ。
ズドドドドドドドドドドド……
「「ぎゃぁぁあああああ!!」」
氷の矢はスケルトンたちを貫通して地面に激突すると、白い煙を巻き上げて辺り一面が霧がかかったようになった。
そして霧の中に飲み込まれたオデルロは苛立ちながら声を漏らした。
「ほう、なかなかの魔法を使うじゃねぇか。まぁ、このオデルロ様には魔法は効かぬがな」
オデルロがそう言ったその瞬間、
ガキン!!
「うぐっ!!」
ガンッ!!
「くそっ! 誰だ!!」
オデルロは誰かに斬りつけられて焦りを露わにすると、背中から特大剣を引き抜いて剣を構えた。
◆
その頃、マルちゃんたちはイケオジが作り出した霧の中を抜けて屋敷の中へ入り込むことに成功していた。
マルちゃんたちは屋敷に入ると、ゲゲロっちに言った。
「ゲゲロっち、あとは頼んだ! 悪事の証拠を押さえてくれ! わたしたちはヤジを探しに急ぐ!」
それを聞いたゲゲロっちは自信に満ちた表情で答えた。
「お任せください! 悪事はすべて暴いてみせましょう! マルちゃんさんもお気をつけて!」
「ああ、任せたぞ!!」
マルちゃんたちはゲゲロっちたちと別れて屋敷の奥へと走っていった。
ゲゲロっちはマルちゃんたちを見送ると、近くにあった不自然に大きな絵画の前へ行ってブツブツと呟始めた。
「この絵画は不自然ですねぇ。本来、このような山々を描く風景画は横長に構図を取ることで雄大さを演出するはず。しかし、この絵画は不自然に縦に長く、山々の雄大さが描かれていない……」
するとゲゲロっちは絵画の額縁を横へ引っ張りながら声をあげた。
「ここだっ!!」
ゴゴゴゴゴ……
なんとゲゲロっちが絵画の額縁を横へ引っ張ると、絵画は横にスライドして地下へと続く階段が現れた。
それを見た元兵士の仲間たちは感心しながらゲゲロっちに言った。
「おおっ! すげぇなゲゲロっち!」
「やべぇな! ゲゲロっち探偵か?」
「おいおい、尊敬するぜゲゲロっち」
ゲゲロっちは仲間たちの言葉に少しだけ照れたが、真剣な表情を取り戻して地下へと続く階段を降りていった。




