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マルちゃんは、ケイジャ、キキエも連れてメチャツの風の移動魔法でワブたちのいる大きな家の上空までやって来た。
すると大きな家の前の空き地で大勢の子供たちが魚を食べているのが見えてきた。
それを見たマルちゃんは嬉しそうにメチャツに言った。
「おお! なんか美味そうなモノ食ってるな! わたしたちも早く行こうぜ!」
「はい、そうしましょう!」
メチャツはそう言うとスピードを上げて着陸態勢に入った。
◆
その時、地上でマルちゃんたちの到着に気づいたリッチは両手を振りながら着陸してくるマルちゃんたちに言った。
「おつかれさまでしたー! ご無事でなによりですー!」
リッチの声に気づいた仲間たちも着陸してくるマルちゃんたちに一斉に手を振った。
「おつかれー!」
「魚あるぜー!」
「無くなるぞ!」
しかしメチャツは一向にスピードを落とさず、どんどんと地面に近づいてきた。
「おいおい、ちょっと……」
「速くねぇか? あれ……」
「てか、やばい、逃げろ!」
なんとマルちゃんたちは、仲間たちのもとへと突っ込んできた。
「「うわーー!!!」」
その瞬間、メチャツはヒラリと、ケイジャは美しいバク転で、キキエは弧を描くように優雅にメチャツの風の移動魔法から飛び降りて地上へと降り立った。
しかしマルちゃんはメチャツの移動魔法にしがみついたまま突っ込んできた。
「うわうわうわうわうわ! 誰か止めてくれーーー!!!」
その時、ワブが待っていたかのようにマルちゃんのもとへと走り込んだ。
「マルちゃん様ぁぁああああああ!!」
ガシッ!!
ワブはそのままマルちゃんのもとへと飛び込むと、落ちてくるマルちゃんを両手で抱え込み、一緒に転がるように受け身をとった。
ゴロンゴロンゴロンゴロン……
ズザァ……
「マルちゃん様!! ご無事ですか!!」
ワブが大声でマルちゃんに言うと、マルちゃんは驚きながらもワブの肩を叩きながら答えた。
「ワブ! 信じてた!! お前だけが味方だよ!! ほんと助かった!!」
「いえ! 栄誉ある騎士として当然の事をしたまでの事でございます!」
「ワブー! お前は最高だよー!」
マルちゃんはワブにハグをして背中を何度も叩くと、思い出したかのように振り返った。
するとその視線の先には、涼しい顔で並んで立っているメチャツとケイジャとキキエがいた。
それを見たマルちゃんはガニ股になって怒りながらメチャツたちに言った。
「おいおい! なに、魔王を倒した勇者パーティみたいにカッコ良く立ってるんだよ! わたしも一緒に飛び降りさせてくれよ!!」
するとメチャツたちは順番に申し訳無さそうに答えた。
「申し訳ありません、マルちゃんさん。マルちゃんさんが早く行こうとおっしゃったので思わずスピードを……」
「とは言っても我々はワブが走ってくるのが見えていたからな。大丈夫だろうと思っていたぞ」
「ええ、それにあの高さから鍛えてない人間が降りるほうが危険だったかも」
それを聞いたマルちゃんは何も言い返せなくなった。
「ぐぬぬ……。確かに……」
するとその時、子供たちが焼いた魚を持ってマルちゃんのところへやって来た。
そしてマルちゃんに焼いた魚を差し出しながら口々に言った。
「おじちゃん、大丈夫?」
「お魚たべたら元気でるよ」
「はい、どーぞ。あはは」
マルちゃんは子供たちから魚を受け取ると、涙を流して子供たちの頭を撫でながらお礼を言った。
「お前たちは優しいなぁー! ありがとうな。おじさん、魚を食べて元気になるよ!」
マルちゃんはそう言いながら焼き魚を頬張った。
◆
少し日が傾く頃、マルちゃんたちはこの大きな家がエヴォが援助している孤児院だと知り、今後のことについて会議をしていた。
マルちゃんたちは、英雄エヴォとキキエの話によってモーモの実を隠し持っている人物がヤジという者で、戦いで逃げてきた大量のスケルトンと伝説の英雄オデルロがいるという事を共有した。
そして、その伝説の英雄オデルロはエヴォでも歯が立たないほどの剣術家で、さらにダークエルフの宝玉を持ったヤジも魔法を使うかもしれない事も共有した。
最後に、キキエはヤジに騙されて嫁ぎ、英雄エヴォは孤児院を守るためにモーモの実を盗んだ事も共有し、そのモーモの実は今晩の王家のパーティに献上される事が判明した。
そこで、マコ王と面識のあるリッチがマコ王との接触を試み、マルちゃんたちは全員でヤジの屋敷を襲撃して悪事の証拠を押さえ、マコ王に差し出す計画を立てた。
―― リムリン中心街にある王族の離宮 ――
リッチはマコ王の滞在する離宮に到着したが、そのあまりの警備体制に何もできずにウロウロしていた。
「これはまずいですね……。先ほどは番兵に声をかけても相手にされませんでしたし……、中へ入れるような隙もありませんし……」
リッチがウロウロとしていると、突然背後から懐かしい声がした。
「あれ? お前リッチだよな?」
リッチはその声に振り向くと、なんとLOOPYに乗ったコラナッカとエリシャウがいた。
「おお!! コラナッカ男爵様にエリシャウ様!! なんという偶然でしょうか!!」
リッチは両手をあげて喜ぶと、コラナッカはLOOPYから降りてリッチに尋ねた。
「この街に居るなんて驚いたぜ。何しに来たんだ?」
「あ、はい! 実はマコ王様にお会いしたくて参ったのです!」
「え、マコ王に会いに来たの? ってかリッチがマコ王に用事があるのか?」
「いえ、実は今晩こちらで振舞われる予定のモーモの実が、エルフの里から盗まれたものでして……。エルフさんたちに頼まれて、その盗まれたモーモの実を追っていたらこのような事に……」
「なるほどな。それをマコ王に進言するんだな」
「はい。ですが、それだけではなくて、この街のスラム街にいるヤジという商人がモーモの実を盗んだ犯人でして、その商人はそれ以外にも色々と悪い事をしているようで……」
「なんだって? ……エルフの事件に人間が関わってるのはマズいなぁ。エルフの里に敵対されたら厄介だ。よし分かった。付いてきな、一緒にマコ王に報告しようぜ」
「はい! ありがとうございます!」
こうしてリッチはマコ王との接触に成功したのだった。




