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マルちゃんたちはイケオジの鼻を頼りに街の外れにあるスラム街に入ると、突然ワブがマルちゃんに進言した。
「国王へい……、いえ、マルちゃん様! この辺りに腕利きの鍛冶屋がございます! 正面突破をなさるのでしたら装備を整えてはいかがでしょうか!」
するとマルちゃんは丸腰だった事に気付いてワブに答えた。
「おお! 確かにそうだな。すっかり忘れてたぜ。みんなの防具くらいはそろえておかないとな。ヤナちゃんも危ないかもしれないし」
マルちゃんがそう言うと、ゲゲロっちが腰袋の中をゴソゴソと探して1つの指輪を取り出し、マルちゃんに言った。
「あ、良かったです。純金の指輪が残ってました。これがあれば皆さんの装備は整いますね」
するとその時、イケオジも首飾りを差し出しながらマルちゃんに言った。
「これも使ってくれ。ガンデロ特産の琥珀の首飾りだ。それもレッドアンバーという希少品。武器を買えるくらいにはなるだろう」
マルちゃんはゲゲロっちとイケオジから指輪と首飾りを受け取ると、目に涙を浮かべながら固く握手をかわし、みんなで鍛冶屋へと向かった。
◆
マルちゃんたちは鍛冶屋にたどり着いて中に入ると、ワブが大声で誰かを呼んだ。
「シドウ!! 居るか、シドウ!!」
すると店の奥から大柄な老人が現れた。
「ああ? 誰だオレを呼ぶのは」
しかしシドウと呼ばれた大柄な老人はワブを見つけると、一瞬不思議そうな表情を浮かべてから嬉しそうに声をあげた。
「おお! お前はワブか! はっはっは! ずいぶんとヨボヨボになっちまったなぁ!」
するとワブも嬉しそうに答えた。
「はっはっは! それはお互い様じゃ! 元気そうじゃな!」
2人は力強く肩を組み合うと、シドウがワブの肩を叩きながら尋ねた。
「どうした急に。お仲間の武器でもほしいのか?」
「ああ、その通りじゃ! この鍛冶屋で一番の武器と防具がほしいのじゃ」
「はぁぁああ? なに言ってんだよ、ウチの一番はバカ高けぇぞ! 金はあるんだろうな?」
するとマルちゃんがゲゲロっちの指輪とイケオジの首飾りを差し出しながらシドウに言った。
「いやぁ、現金を持ち合わせてないんだけど、これで売ってくれないかなぁ」
しかしシドウは指輪と首飾りの価値が分からなかったので、奥から誰かを呼んだ。
「おーい! ちょっと来てくれねぇか!」
すると店の奥から若い女性が現れた。
「なぁに、お父さん?」
「悪いんだが、この指輪と首飾りを鑑定してくれねぇか?」
「これね。うん、わかった」
シドウの娘がそう返事をすると、マルちゃんは娘に指輪と首飾りを渡した。
「お姉ちゃん、よろしく頼むぜ」
「あ、はい」
シドウの娘はマルちゃんから指輪と首飾りを手渡されると、即座にその価値の高さに驚愕した。
「えっ! えええっ!! これはゲンゲゲロ侯爵家の紋章が彫られた金の指輪……、って、こっちはガンデロ帝国皇帝の紋章が彫られたレッドアンバーの首飾り……!! どちらも今では入手が不可能の超貴重な品……」
シドウの娘はまじまじと指輪と首飾りを見つめると手を震わせながら再び呟いた。
「こんな線の細い繊細な彫刻ができる職人は一握りしか居ない……。これは間違いなく本物だわ……」
するとそれを見ていたシドウが娘に尋ねた。
「なんだなんだ。で、その指輪と首飾りはいくら位になるんだ?」
それを聞いたシドウの娘は指輪と首飾りを丁寧にテーブルに置くと、唇を震わせながら答えた。
「1億……」
そこに居たマルちゃんとゲゲロっち、そしてイケオジとリッチ以外は金額に驚いて声をあげた。
「「「ええぇぇぇええええっ!?」」」
そして、さすがに金額に驚いたシドウはワブの両肩をつかみながらワブに言った。
「おいおいおいおいおい! お前、なんて奴らを連れてきたんだよ! お前、すげぇな!」
するとワブは少し得意げに答えた。
「はっはっは! 今は詳しいことを言えぬが、なにしろ非常に位の高いお方たちじゃ! お主も内密にな!」
「お、おう……。なんだか色々事情はありそうだが、ウチで一番の装備を揃えてやる。ちょっと待ってな」
こうしてマルちゃんたちは最高級の武器と防具を手に入れたのだった。
◆
その頃マルちゃんたちが居るスラム街では、1軒の大きな屋敷の中で、ワブと戦った英雄エヴォがスーツを着た小太りの男性に報告をしていた。
「ヤジ。モーモの実はすべてこの屋敷に運び終えた。これで孤児院の子どもたちには手を出さぬのだな?」
するとヤジと呼ばれた小太りの男性はタバコに火をつけながら面倒くさそうに答えた。
「あーあー、約束だからな。もう孤児院の子供たちは強制労働させねぇよ」
「それと孤児院の横の川と森では自由に魚や山菜をとって良いのだな」
「あーあー、そうだったな。勝手にしな。手下には言っておく」
「承知した。では私は帰る」
「あーあー、じゃあなエヴォ」
ヤジがそう言って帰ろうとすると、突然部屋のドアが開いて手下の男性が飛び込んできた。
「親分大変です! ダークエルフの……、あ、いえ、奥様になられるお方のキキエ様がエルフが来たと言って飛び出していきました! どうしましょう!?」
それを聞いたヤジは突然身を乗り出して手下に答えた。
「なんだと!? すぐに追え! あいつはオレ様の大事な女だ! キズ1つつけるなよ!」
「は、はい! スケルトン兵を使っても良いでしょうか!?」
「もちろんだ! ウチには大量のスケルトンがいるからな! もしスケルトンがやられたら伝説の英雄オデルロを使え!」
「承知しました!」
「おら! はやく行け! オレ様の美しい妻に何かあったら、お前を殺すからな!」
「は、はいぃ! 失礼します!」
手下の男性はそう言うと逃げるように部屋を後にした。




