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「はわわわわわわ!!」
マルちゃんは耳から血を流して驚いていると、メチャツ、リッチ、イケオジの3人はモーモの森の中にたくさんのエルフたちが居ることを察知した。
「リッチさん。あれはエルフですね」
「そのようですね、メチャツさん」
「数が多い。ここは敵意が無い事を示すべきだな」
メチャツとリッチとイケオジ、そして3人の話を聞いていたゲゲロっちと元兵士の仲間たちは両手を上にあげて敵意のないことを示した。
しかしマルちゃんはワケが分からずパニックのままだったので、イケオジはマルちゃんに大声で言った。
「マルちゃん! 敵の数が多い。こちらに敵意が無いことを示すんだ!」
それを聞いたマルちゃんは必死の形相で答えた。
「わ! わわ! わかった!! 武器とか持ってないってアピールしたほうがいいよな!?」
そう言ってマルちゃんは突然服を脱ぎだすと、森の中から声が聞こえてきた。
「おいお前! 服は脱がなくていい!! お前の大事なお〇〇〇〇を〇〇で〇〇〇〇されたいのか!?」
「ひぃぃぃ!!!」
それを聞いたマルちゃんは体を硬直させながら両手をあげた。
◆
夕方、マルちゃんたちはエルフの里の牢獄にいた。
メチャツは牢獄を静かに観察すると、イケオジに言った。
「イケオジさん。この程度の牢獄ならばすぐに破壊できますが、どう思いますか?」
「うむ、そうだな……。しかし、エルフはそれほど好戦的でもなく、人間とも距離を取って生活している。どちらかと言えば、我らが彼らの縄張りを犯したのかもしれぬな」
「なるほど、それでは我らに非がありそうですね……。申し訳ありません、僕が高原に誘ったばかりに」
「いや、この事態は誰にも予測できなかった。誰が悪いということもない。だが、タイミングを見て抜け出さねばな」
イケオジがそう言うと、エルフの若い女性と年老いた男性のエルフが牢獄にやってきた。
そしてエルフの女性はマルちゃんたちを指差すと、年老いたエルフに言った。
「長老様。こやつらがモーモの実を盗み取っていく人間とあの骨の化け物どもに違いありません。即刻死刑にしましょう」
それを聞いたマルちゃんは思わず、女性のエルフに言った。
「おいおい、待ってくれ! わたしたちはそのモーモの実を食べたくて来たんだ! だけど盗んでない! だって来たときには無かったんだもん!!」
しかしそれを聞いた女性のエルフは、無表情で長老に言った。
「自白しました。彼はモーモの実を食べに来たと言っています。死刑にしましょう」
マルちゃんは女性のエルフの言葉を聞くと慌てて声をあげた。
「だから違うって!! モーモの実は食べたかったけど、無かったの! だから食べて無いんだって! 盗むもなにも無かったんだから!」
マルちゃんは牢獄の中から女性のエルフに詰め寄ると、突然距離を詰めてきたマルちゃんに驚いた女性のエルフは木の枝のムチでマルちゃんを叩いた。
バシッ!!
「気安く近づくな!」
「痛っ!! ……でも、きもちぃ……」
「無礼者! 私を誰だと思っている! 私は長老の孫にしてこの里を治めるケイジャ! 気安く近づくな!!」
しかしマルちゃんはムチで叩かれる快感を求めて再びニヤニヤしながらケイジャに近づくと、ケイジャは汚いものを見るような目でムチを振るった。
「け、汚らわしい人間め! 近づくな!」
バシッ! ベシッ! バチン!
「ああ! その汚いものを見るような目がいい!! ケイジャさん、最高です!! もっと叩いてくださいぃぃ!!」
マルちゃんの変態っぷりに、さすがのイケオジたちも引いていた。
◆
ケイジャたちが去って夜中になり、マルちゃんたちが寝ていると、なんと長老だけが一人で牢獄へとやってきた。
そして牢獄の前に座ると静かにゆっくりとした口調で話しだした。
「ヴァンパイア、リッチ、膨大な魔力を持つ魔道士。なぜ、この牢獄を破らぬ?」
それを聞いたイケオジ、リッチ、メチャツはスッと起き上がると、イケオジが長老に答えた。
「長老。まず言っておくが我らに敵意はない。ただ、話の流れからモーモの実を食べに来ただけだ。しかし、来たときにはモーモの実が無かったのは事実だ」
長老はウンウンとうなずくと、理解を示しながらイケオジに言った。
「最近、モーモの実を全て奪い去っていった者たちが居てな。我らは狩猟採集で生計を立てているが、モーモの実は人間社会に売れば鉄の鏃が手に入る重要な資源なのだ」
「なるほど」
イケオジが長老の話に腕を組むと、横に居たメチャツが長老に尋ねた。
「長老。ではモーモの実はエルフの里にとって重要な鉄の鏃の資金源だということですね」
「うむ、その通り。大型獣の狩猟や村の防衛に必要な鉄の鏃は今となっては無くてはならなくなった。それ故にモーモの実が盗まれれば死活問題となる」
「そういう事でしたか」
「お主たちが犯人ではないことは分かった。しかし解放することは難しい。なぜなら、犯人が人間とスケルトンなのだ。ケイジャや里の者たちは犯人を捕まえたと思っている」
「犯人が人間とスケルトン……、ですか?」
「うむ。里の者たちが人間の御者(馬車を扱う者)とスケルトンたちがモーモの実を持ち去るのを目撃したのだ」
そこまで聞いたメチャツは少し考えてイケオジに言った。
「イケオジさん。これはあの戦いを生き残って姿を暗ませたスケルトンたちではないでしょうか」
「……うむ、可能性は高い。ともすれば、英雄のスケルトンたちも居るかもしれぬな」
「そうですね……」
イケオジとメチャツがそこまで話すと、それを聞いていた長老は全てを理解してイケオジに言った。
「そうでしたか。ネクロマンサーと人間との戦いの話は聞いておりました。状況を加味すると、そちらのお考えが正しい可能性が高いですな」
長老はそう言うと腰からナイフを取り出し、それを首に当てながら笑顔で言った。
「非のない皆様への大変な無礼、そして力ある皆様への無礼、この命をもって償います。ですが、この命と引き換えに里の者たちには危害を加えずに静かにお帰り頂きたい」
長老はナイフを首に突き立てて引き裂こうとしたその瞬間、なんとイケオジが瞬間移動をして牢獄を出て長老の横に立ち、静かにナイフを止めた。
すると長老は達観した表情でイケオジに言った。
「……。さすがです。気配も読み取れませんでした。それほどの上級ヴァンパイア様でしたか」
長老は観念したようにイケオジに言うと、イケオジは会釈をしてから静かに答えた。
「エルフの縄張りに勝手に入った無礼は償わせていただきたい。それと、大切な友人がモーモの実を食べたがっている。この問題、我らに任せてもらえないか」
その言葉を聞いた長老は小さく笑みを漏らすと、ゆっくりと満足そうに頷いた。




