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ネクロマンサーたちが英雄のスケルトンたちを進軍させてから数日が経った。
戦いはおじいさんたちの活躍もあり、マデマメヤ国側がネクロマンサーの英雄とスケルトンたちを完全に抑え込む形となった。
そして英雄とスケルトンたちが現れなくなると、ガンデロ帝国の近衛騎士団と騎士団、さらには重装備兵団と魔導師団も加勢してネイクロが居る城を包囲した。
◆
皇帝の間にいるネイクロは従者からの報告を病んだ表情で聞いていた。
「ネイクロ様! 最強の英雄、暴虐王のロウが敗れスケルトンたちも離散! 有力な英雄ヤーとドガンも破れ、ドラゴンライダーの3人は捕虜になりました! ネクロマンサーたちも逃げ出す者が後を経ちません!」
「……そうか」
「他の英雄たちもこの事態を察知し、いつの間にか雲隠れしました! この城も敵の兵に包囲され、降伏を求めています!」
「……そうか」
ネイクロは諦めたように返事をすると、突然涙を流しながら呟いた。
「我らの親はネクロマンサーという不遇な運命で追放され、辛い暮らしを強いられた……。我らが幸せになることは叶わないのか……。我らネクロマンサーは好き好んでネクロマンサーになった訳ではないのに」
するとその時、皇帝の間の扉が開いた。
ネイクロと従者は驚きながら視線を扉に向けると、なんとそこにはおじいさんとおばあさんを先頭に、魔王エブたちが立っていた。
それを見たネイクロはおじいさんたちに言った。
「殺しに来たんだな。逃げるつもりはない。殺してくれ」
しかしおじいさんは1人歩み出ると、ゆっくりとネイクロに言った。
「あなたは辛い思いをしてきた顔をしていますね。申し訳ありません。おそらく私たちがあなたに辛い思いをさせていたのでしょう」
おじいさんはそう言って頭を深々と下げると、ネイクロは驚いて姿勢を正した。
そしてネイクロは玉座から前に出ると、おじいさんに尋ねた。
「老人殿。なぜこの状況で私を思いやる?」
するとおじいさんは頭を下げて答えた。
「思いやるだなんて、そんな大層なことはしていません。あなたは人を騙すような目をしていません。おそらく味方やお仲間のために頑張ったのでしょう」
それを聞いたネイクロは硬直して涙を流しながら答えた。
「……はい」
「ならば、終わりにしましょう。幸いな事に今回の戦いで生きている方は1人も亡くなっておりません。ネクロマンサーの皆さんの安全は保証すると魔王さんが言っています。一緒に仲良くしませんか?」
「……このような事をした我らにその資格など……、いえ生きる資格さえ……」
「いえ、生きる資格は生まれた時に頂いています。だからこそ、あなたは生まれたのです」
「……老人殿」
「ですが、あなたに恨みを持っている人もおりますので、その事は私たちに任せてくれませんか」
「……いいの、……ですか?」
「ええ、もちろんです」
おじいさんの返答にネイクロはひたすら涙を流した。
◆
こうしてネクロマンサーたちとの戦いは幕を下ろし、大陸を巻き込んだ大きな戦いは収束へと向かった。
そしてその数週間後に開かれた五王会議には、再びおじいさんが呼ばれていた。
五王会議の進行をしていたマコ王は大陸の地図をテーブルに広げながらおじいさんに提案した。
「ひろし殿。突然の事で申し訳ないのだが、この度併合した大陸のこの部分、元ガンデロ帝国の東の部分の王となって欲しい」
それを聞いたおじいさんは驚きながら答えた。
「い、いえいえいえ! わたしが王だなんて!」
しかしマコ王はおじいさんに笑顔で言った。
「いや、ひろし殿。ひろし殿のご活躍とネイクロを素直に降伏させた話術は今や伝説となっている。ひろし殿のお優しい心と機転、そして信頼の厚さを考慮しての事」
マコ王はそう言うと、地図を指差しながらおじいさんに話しを続けた。
「だが、ひろし殿。本音で言わせてもらえれば、この元ガンデロ帝国の東は雪深く厳しい土地。しかし多くの貧しい人々が住んでいる。そこで、ひろし殿の人脈を生かして統治してほしいと考えている」
「い、いえ、しかし、わたしが統治だなんて……」
「実は我ら五王はガーゴイルからの戦況を聞いていて勝利を確信していてな。戦いのあと獲得した土地の統治について、ヨクヨ商会の哲夫殿、黒猫、ウヌウラも交えて話し合っていたのだ」
「そうなのですか?」
「ああ。何しろ自国の土地が増えるのだ。統治する者が必要だ。その話し合いの中で哲夫殿と黒猫、そしてウヌウラはこの元ガンデロ帝国の東の地域について、統治する人材としてひろし殿を強く推薦したのだ」
「……いやぁ、ええと」
「私はひろし殿に爵位を差し上げて統治して頂こうと考えたのだが、ウヌウラは王という称号があれば短期間で開拓できると約束してくれてな。そこで、五王よりも1つだけ格を下げた『辺境王』として活躍してもらいたいと意見を合わせた」
「し、しかし……」
「心配なさるな。ひろし殿には魔王エヴをはじめとしてウヌウラ、黒猫など、頭が切れる者たちも補佐役として脇を固めさせる。ひろし殿は安心して統治してもらえると嬉しい」
おじいさんはマコ王にそこまで言われると、了承せざるを得なくなった。
◆
数日後、おじいさんとおばあさんはコラナッカが運転するデカトラに乗って元ガンデロ帝国の東の領地へと向かっていた。
おじいさんは少し不安になりながらおばあさんに尋ねた。
「わたしが辺境王だなんて、本当に良いのだろうか……」
「何言ってるんですか、もう決まった事じゃないですか。それに貧しい方が多い土地だって言うし、哲夫さんと和代さんと連絡を取り合って裕福な土地にしましょうよ」
「ああ、そうだな……。だけど、わたしが辺境王だなんて自信が無いなぁ」
「うふふ、大丈夫よ。だって魔王さんにウヌウラさん、猫ちゃんだって来てくれるし、アカネさんにエスプララちゃん、ハーピィちゃんたちとアリオネルダちゃんも来てくれるわよ」
「……なんだか申し訳ないなぁ。わたしが辺境王になったばっかりに」
「みなさんが行きたいって言ってくれたのだもの。みなさんだって楽しそうにしてくださっているのだからいいじゃない」
「そ、そうだな。じゃあ、みなさんの助けを借りて頑張ってみようか」
「ええ、一緒に頑張りましょう。うふふ」
おばあさんが嬉しそうに笑うと、おじいさんも釣られて笑った。
<つづく>
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ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。
現在「異世界おじいちゃん ひろし王編」を少しづつ執筆しており、ある程度書き終えた段階で公開させていただこうと考えております。
この後、おまけ編も続きますのでお楽しみいただけましたら幸いです。
今後とも、VRおじいちゃんシリーズを宜しくお願い致します。
オイシイオコメ




