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その頃、曲剣の英雄ヤーと剛力の英雄ドガンがスケルトンたちと一緒に魔王エヴたちがいる所へと辿り着き、戦闘直前になっていた。
しかしその時、おじいさんはスケルトンの後ろに馬に乗った人物を見つけた。
「おや? あの人は人間のようですが……」
するとそれを聞いたメメが弓を引きながらおじいさんに言った。
「おそらくあの人間がネクロマンサーです。スケルトンを操っているのでしょう。私が頭を射抜きます」
おじいさんはメメの言葉を聞くと慌ててメメの弓を止めて言った。
「待ってください、ここはわたしに任せて頂けませんか?」
メメはおじいさんの言葉に弓を下げると、おじいさんはアイテム欄からコラナッカのアリ玉を選択した。
おじいさんはアリ玉を握りしめると、静かに投球フォームに入った。
そして大きく踏み出してアリ玉を投げると、アリ玉は高速に一直線に飛んでいって馬に乗るネクロマンサーに命中した。
パァァン!
「うわっ! なんだ!」
アリ玉が破裂すると、中から無数の噛みつきアリが飛び出してネクロマンサーの服の中に入っていった。そして、
「いたたたたたたたたた!!!」
ネクロマンサーは慌てて服を脱ぎ捨てると、両手両足をバタバタさせながら噛みつきアリを振り払い始めた。
すると操られていたスケルトンたちはネクロマンサーの操りが解け、一斉に正気に戻って散り散りに逃げ惑い始めた。
「助けて! 戦うなんて無理!」
「なんで、あたしが戦うのよ!」
「ぼく帰りたいよ! ママー!」
スケルトンたちはパニックになると、剛力の英雄ドガンが巨大な棍棒を地面に叩きつけて声をあげた。
ドガン!!
「おい! お前ら逃げるんじゃねぇぞ! 殺されてぇか!」
英雄ドガンの声にスケルトンたちは動きを止めたが、なんとドガンの前にパンチと骨パンが腕を組みながら立ちふさがった。
それを見たドガンは威嚇するようにパンチと骨パンに言った。
「おまえら、殺されに来たのか? ああ!?」
しかしパンチと骨パンは微動だにせずに答えた。
「やれるものなら、やってみてください」
「お前のほうこそ、殺されたいようだな」
その時、その様子を横目で伺っていた曲剣の英雄ヤーは密かに飛び出してパンチと骨パンの背後から静かに斬り掛かった。
シャッ!
しかし、そこへ騎士団長が飛び出し、刺突剣(突き刺すことを主な目的とした細身の剣)でヤーの曲剣を突き返した。
キィン!
そこへエスプララの放ったオロチの弓がヤーの頭めがけて飛んでいったが、ヤーは視線を逸らすこと無く曲剣を振り回してオロチの矢8本すべてを弾き返してしまった。
その様子を見ていたメメは精霊魔法を呼び出し、地面から木の根を這わせてヤーを捕らえようとしたが、なんとヤーは大きく飛び上がり、曲剣を回転させるように振り回して木の根を切り刻んでいった。
ヤーは木の根を全て切り刻んで精霊魔法を消滅させると、ゆっくりとおじいさんたちのほうへ歩み寄りながら言った。
「ワシを甘く見るなよ。もっと骨のあるヤツはいないのか?」
すると騎士団長が走り出てヤーの行く手を遮るように立ち止まり、ヤーに言った。
「私が相手をしよう」
それを聞いたヤーは一瞬で騎士団長の懐に飛び込んで曲剣を騎士団長の首に当てた。
「なにっ!!」
「死ね」
ヤーはそのまま曲剣を引いて首を刎ねようとしたが、突然曲剣を放してバク転をして離れた。
ビュッ!!
なんと、ヤーが居た所へ竜騎士が槍を突き出していた。
竜騎士を見たヤーはアゴをカクカクさせながら笑った。
「はっはっは! お主は逃げ出したという竜騎士じゃな。ワシと1戦交えたいのか?」
竜騎士は槍をクルリと回して構えるとヤーに答えた。
「お前が『骨のあるヤツはいないか』と言っていたのでな。骨の私が相手になろう」
プッ……
ププッ……
竜騎士の骨ジョークに騎士団長や騎士団員、そしておじいさんたちが思わず吹き出すと、竜騎士は少しだけ嬉しそうに槍をクルリと回した。
するとヤーも骨ジョークで切り替えした。
「ワシは骨のあるヤツと言ったのじゃぞ。骨のヤツとは言っておらん。説明するのに骨が折れるヤツじゃのう」
シーン……
ブンッ!!
骨ジョークがウケなかったヤーは少し悔しそうに曲剣をブンッと振ると、曲剣を構えて竜騎士と対峙した。
◆
その頃、遺跡の魔族の集落には、なんとドラゴンライダーの最後の1人ボウが降り立っていた。
ボウは魔族の集落を見渡すと、ハーピィやゴブリンなど戦闘力のあまり高くない魔族たちを見つけてニヤリと笑った。
「ふっ。この集落には弱い魔族ばかりだな。目標の村に近いし制圧しておくか」
この時、戦闘力の高い魔族たちはヤクウィー王の指示でネクロマンサーたちとの戦いに向かっていたのだった。
ボウを見つけた魔族たちは慌てて戦闘準備を整えると、集落の護衛のために残っていたゴゴがそれを指揮するために前に出た。
ゴゴはアカネからもらった木の棒を構えると、ドラゴンライダーのボウに言った。
「ここは、おでたちの集落なんだな。おまえは、敵なのかな? な?」
するとボウは背中に背負っていた槍を構えて答えた。
「敵に決まってるだろう? まあいい、死んでもらうぞ!」
ボウはそう言ってゴゴに向かって飛び出すと、素早く槍を突き出してゴゴの頭を狙った。
しかしゴゴにはボウの槍がゆっくりに見えていた。
「なんだか、ゆっくりな槍使いなんだな。な」
ゴゴはそう言ってボウの槍を何度も躱すと、木の棒を野球のバットのように構え、ボウの槍に向かってフルスイングをした。
ブン!!
カキーーン!!
ゴゴの腰の入ったスイングはボウの槍を捉えると、ボウの槍は柔らかい針金のようにグニャリと曲がってボウを槍ごと吹き飛ばした。
「なぁぁああああ!!」
ボウは予想もしなかったゴゴの攻撃の強さに驚愕しながら吹き飛んでいった。
ズザァァァアア……
ボウは驚きながらも立ち上がって槍を構えると、冗談みたいに曲がった槍を見て恐怖を感じた。
「や、槍が……。あのゴブリン、一体……」
パタパタパタパタ……
するとハーピィたちがドラゴンの子どもを抱えてボウの所へやって来きた。
そしてハーピィの1人がドラゴンの子どもたちの頭を撫でながら言った。
「あの骨の人がゴゴをいじめようとした悪い人だよー。お仕置きしなくちゃねー」
「うぴぴぴぴ!」
「ぴっぴぴぴ!」
ドラゴンの子どもたちは羽をパタパタとしながらボウのほうを向くと、なんと口を開けてボウへ炎を吐いた。
ボォォォオオオ!
「うわぁぁあああ!」
ボウは炎を浴びると、ゴゴの強さとドラゴンの子どもたちにもう勝てないと思い、槍を捨てて降参した。




