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「イ、イケオジ……!?」
「つ……、翼が……!?」
マルちゃんとゲゲロっちがイケオジを見上げると、イケオジは2人を見ながら小さく頷いた。
そしてイケオジはバブロオを見下ろすと、不敵な笑みを浮かべながらバブロオに言った。
「おい、その黒炎の魔法のマネごとをやめろ」
それを聞いたバブロオは自信満々に答えた。
「マネごとぉ!? うひゃっ! うひゃひゃひゃ!! この魔法はレッサーデーモン様直伝の本物の魔族の魔法ですぅぅぅうう!!」
バブロオはそう言って腰をワクワク動かすと、それを聞いたイケオジは失笑しながらバブロオに言った。
「レッサーデーモンの魔法だと? なるほど、どうりで幼稚なはずだ」
イケオジはそう言うと、地上にいるリッチとメチャツに言った。
「リッチ、メチャツ。事情は後で説明する。私は氷の魔法が撃てる。3つの属性でバブロオの防御魔法を粉砕する」
それを聞いたリッチとメチャツは片腕の手首がないイケオジを見ると静かに頷いて魔法の詠唱を始めた。
その様子を見ていたバブロオはさらにテンションを上げて叫んだ。
「さぁて、黒炎の魔法が放たれちゃいますよぉぉ! 暗黒のバーベキューになる準備はできていますかぁぁぁあ!」
しかしその瞬間、イケオジは両手を交差するように構え、無詠唱で氷の矢を放った。
ズバババババ!!
その氷の矢はバブロオの手の中で作られていた黒炎に突き刺さると、なんと黒炎は凍りついて破裂するように飛び散った。
パァァァン……
「なぁぁぁああ!! 黒炎の魔法がぁぁぁああ!!」
それを見たイケオジはリッチとメチャツに言った。
「今だ! 魔法を放つぞ!!」
リッチとメチャツは詠唱しながら頷くと、イケオジは無詠唱で巨大な氷の塊を頭上に出現させた。
バブロオは眼の前で起きていることが理解できず、狼狽しながら叫んだ。
「なぁぁああ! なんなのこいつらぁぁ! なんで無詠唱で魔法出してるのぉぉぉ!? それに何なのこの魔力の量ぉぉ! 怖い怖い怖い怖いぃぃぃ!」
バブロオは恐怖に顔を歪めながら全力で防御魔法を展開した。
その瞬間、イケオジ、リッチ、メチャツの魔法が同時に放たれ、3つの属性の魔法は一直線にバブロオの元へと飛んでいった。
そしてリッチのヘルファイア・アンド・ブリムストンの炎の竜巻がイケオジの氷を一瞬で飲み込んで水蒸気にすると、その水蒸気にメチャツの雷の魔法が大放電を起こしながら帯電した。
そして炎の竜巻の周りを大きく囲い込むように回り始めると、膨大な魔力を発散させながらバブロオの防御魔法にぶつかった。
パァァアアアアン!
するとバブロオの防御魔法はイケオジたちの魔法によって相殺されて大きく輝きながら消滅し、バブロオは尻もちをついて声をあげた。
「なっ! ななななっ! このバブロオの防御魔法がぁぁぁ! は、はは、はやくまた防御魔法をぉぉお!」
バブロオは必死に防御魔法を展開しようとしたが、魔力が底をつき防御魔法を展開することはできなかった。
するとイケオジがバブロオの前に舞い降りてきて、バブロオの顔の前に手の平を出した。
「えっ?」
バブロオが小さく声を発した瞬間、
ズガッ!!
なんとイケオジの手の平から鋭い氷柱が飛び出し、バブロオの頭を粉々に破壊した。
バブロオはその場に力なく倒れると、遠くからその様子を見ていた馬に乗ったネクロマンサーは手綱を引いて逃げ出した。
「あのバブロオがやられるとは。しかもあの魔法使いたち相手じゃ、いくらスケルトンを操っても勝ち目はない……」
ネクロマンサーは一目散に町の外へ向かって馬を走らせると、それまで戦っていたスケルトンたちはネクロマンサーの術が解けて一斉に動きを止めた。
そしてマルちゃんと戦っていたスケルトンは突然マルちゃんに声をあげた。
「待った待った!! いまオレ操られてないから! 戦うのやめよう!」
「えっ!?」
マルちゃんはスケルトンの声に驚いて剣を止めると、隣で戦っているゲゲロっちも同じようにスケルトンと話していた。
「いやぁ、ごめんごめん。ネクロマンサーに操られててさぁ。意識はあるんだけど、戦うことは強制されちゃうんだよね」
「な、なるほど」
ゲゲロっちがスケルトンと和解すると、他のスケルトンたちもマルちゃんの仲間たちと和解して戦いは終わった。
◆
その頃、竜騎士と一緒に空からやって来たおじいさんたちは、国境付近に居た魔王エブたちと合流していた。
しかし、そこにはネクロマンサーに放棄されたスケルトンたちが大勢居て、魔王エヴは少し困った様子でおじいさんに相談していた。
「ひろし様、このスケルトンたちは勝手に蘇らされたうえ、逃げたネクロマンサーに放棄されたようで、行く宛がないそうなのです」
「なるほど、そうでしたか。それはスケルトンさんたちもお辛いですね」
「ひろし様ならば、どうなさいますか?」
「そうですね……。では、哲夫さんにお願いしてみてはいかがでしょうか。ヨクヨ商会はいつも人が足りないと言っていますから」
「おお、なるほど! それは良い考えですね。さすがはひろし様です。幸いベベの村の人たちは人間以外との交流も慣れていますし」
「ええ。少しスケルトンの方たちの話も聞いてきますね」
おじいさんはそう言うと、スケルトンたちのほうへ歩いていった。
そして1人のスケルトンに会釈をすると優しく話しかけた。
「こんにちは。ひろしと申します。お話よろしいですか?」
「え、あ、は、はい。僕はジンです」
「ジンさん、もし行くところが無ければ、よかったら私たちの住む村へ来ませんか?」
「え、いいのですか?」
「はい。お給料の出る仕事もあると思いますので」
「おお、それは嬉しいですね! ちょっとみんなに聞いてみます!」
ジンはそう言うとスケルトンたちを集めた。




