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魔王エヴと骨パンは握手を交わすと、骨パンは魔王エヴの腕を見て笑いながら言った。
「はっはっは! 魔王殿もなかなか良い腕をしてるな。拳闘か?」
それを聞いた魔王エヴは嬉しそうに答えた。
「おお! 素晴らしい観察眼だ。実は茂雄先生という素晴らしい先生に教えて頂いていてな。拳闘には少々自信があるのだ」
すると骨パンは静かに手を離すとファイティングポーズをとって魔王エヴに言った。
「では、お手合わせ願いないか。アカネとは面白い戦いができたからな。お主らの実力には興味がある」
アカネはそれを聞くと嬉しそうに謁見の間の壁にかけてあるボクシング・グローブのセットを取って2人に投げながら言った。
「はいよ! これを手につけて模擬戦しよう!」
バシッ! バシッ!
魔王エヴと骨パンはボクシング・グローブを受け取ると、魔王エヴが骨パンに言った。
「本来ならばバンテージというものを巻いてグローブをつけ、グローブをつけたら固定するのだ。だが一戦だけなら問題ないだろう」
骨パンは受け取ったグローブを手に装着しながら答えた。
「ほう。このような物があるとはな。殴り合いで重要なのは相手の急所を狙う事と自分の手を壊さないこと。これは合理的だ」
すると魔王エヴはグローブを装着してテンションがあがり、ドスの効いた声で骨パンに言った。
「オナシャァァス! イガセーイタダキャース!!」
魔王エヴはそう言ってガードを固めながら前に出ると、骨パンも姿勢を低くして呟いた。
「ほう。防御しながら一撃を狙うスタイルか。おもしろい」
骨パンは自ら誘いに乗るように強烈な右ストレートを仕掛けた。
◆
その頃、コラナッカは救い出したドワーフたちに与えた鍛冶工房を視察に訪れ、驚きながら武器や防具を見渡していた。
「おいおいおい。なんだこの数の武器と防具は……。しかも、おれみてぇな素人が見たって上等なモンだってわかるぜ」
一緒に来ていたエリシャウも嬉しそうに声をあげた。
「うひょぉお! こんな美しい武器は見たことないですぅぅ!」
その声を聞いたドワーフの1人が嬉しそうにエリシャウに言った。
「嬢ちゃん、その剣の美しさが分かってくれるか! だが、ただ美しいわけじゃねぇ。強い武器は勝手に美しいんだ」
それを聞いたエリシャウは感動してドワーフに言った。
「感動ですぅうう! 最高の機能美! 尊敬ですぅぅう!!」
エリシャウは感動しながら剣を触ると、なんと触っただけで指が切れ、大量の血が流れた。
「血が! うっひょうぅぅ! 触れただけで切れるだなんてぇぇええ!! ドワーフ様の剣の切れ味をこの身を持って経験できるだなんて最高ですぅぅうう! 切れるぅぅぅ!」
しかしコラナッカは冷静に回復薬をエリシャウの手に振りかけると、呆れたように言った。
「おいおいエリシャウ。お前どう見てもヤベェ変態だぞ。ちょっと落ち着け」
しかし、ドワーフたちは自分の指を犠牲にしてまで切れ味を理解してもらえたエリシャウに手を止めた。
そしてドワーフの1人が笑いながらエリシャウに言った。
「嬢ちゃん、おれはお前が気に入ったぜ! 普通は指切れたら慌てるもんだが、それよりおれたちの武器を褒めてくれるなんてな」
それを聞いたエリシャウは目をキラキラさせながらドワーフに言った。
「それはもちろんですぅ! 触る前に切れたようでしたぁぁ! しかも切れたのを疑うくらい全く痛くなかったですぅ!」
「おお、そいつは最高の褒め言葉だ! おれたちの剣を熟練した剣士が使えば、相手は痛みに気づかねぇうちに死んでるってもんさ!」
「うっひゃぁあ!! それは最高のご慈悲ですねぇぇ!!」
「はっはっは! ほんとうに面白い嬢ちゃんだな。……そうだ、嬢ちゃん。お前に面白いものをやろう」
ドワーフはそう言うと、近くの木箱を開けてクロスボウガンと矢を取り出した。
そしてそれをエリシャウに差し出すと、嬉しそうにエリシャウに言った。
「コレは腕に装着する小型のクロスボウガンでな。左腕を出してみな」
エリシャウはドワーフに左腕を差し出すと、ドワーフは左腕に小型のクロスボウガンを装着した。
エリシャウはクロスボウガンを見ると目を輝かせてドワーフに言った。
「おぉお! 何と美しく精巧なクロスボウガンですねぇ! きれいですぅ!」
「そのクロスボウガンは嬢ちゃんのものだ。この矢も持ってきな」
「い、いいのですか!!??」
「ああ、持ってきな。クロスボウガンくらい使えるだろう?」
「は、はい。ですが、このような美しいクロスボウガンを私ごときが頂いても良いのでしょうか……」
「さっきも言っただろう? おれは嬢ちゃんを気に入ったんだ。プレゼントだよ」
「あ、ああ! ありがとうございますぅ!!」
エリシャウは飛び上がって喜んだ。
◆
コラナッカたちは視察を終えてデカトラで研究所に向かっていると、助手席のエリシャウは左腕のクロスボウガンを嬉しそうに眺めながら声をあげていた。
「あはぁ! ドワーフ様のクロスボウガンが私の腕にぃ! うひょー! あがるー!」
するとコラナッカは少しだけ気になった事をエリシャウに言った。
「なぁエリシャウ。そのクロスボウガン、どう見ても上等なモンだが、いくらなんでも小さすぎねぇか?」
それを聞いたエリシャウはクロスボウガンを頬でスリスリしながら答えた。
「はぃい! この小ささがまたカワイイのですぅ」
「いや、その、なんだ。もらった矢もめっちゃ短いし、あの……、正直言ってさ、ちゃんと……、飛ぶのかなって」
「飛ばなくてもイイのですぅ! あのドワーフ様から武器を頂けるなんて、王宮の騎士でも難しいのに、それだけでも満足なんですぅ!」
「いや、それじゃ武器の意味ないし」
するとコラナッカはデカトラを止めてエリシャウに言った。
「エリシャウさ、窓開けてあの大岩に向かってクロスボウガン撃ってみてよ。ドワーフの作る武器だし、どれだけ威力あるかお前も興味あるだろ?」
「は、はいですぅ! やってみますぅ!」
エリシャウは笑顔で答えるとデカトラの窓を開けてクロスボウガンに矢をセットした。
そして左腕を窓から出して大岩のほうへ向けると、クロスボウガンの右側にある引き金を右手で引いた。
カンッ!
シャァアァアアアアアア!
なんと矢は恐ろしい速さで飛んでゆき、全く速度を落とさずにそのまま大岩に命中した。
パガァァン!
そしてその矢は大岩に大きなヒビを入れ、矢の刺さっているところは粉々に粉砕されていた。
それを見たコラナッカは驚きながら声を漏らした。
「え? え? なんで? どういう仕組み? こんな小さいクロスボウガンから、どうやってあの威力を!? え、全然わかんないんだけど!?」
コラナッカがパニックになっている横では、エリシャウが嬉しそうにクロスボウガンに頬をスリスリしていた。




