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翌日、魔族の遺跡の村では、なんと竜騎士とラゴがドラゴンに乗って訓練をしていた。
ラゴはガツデ流槍術のみならず、ガツデ流操竜術も指南されていた。
しかし、ドラゴンと会話ができるアリオネルダはドラゴンたちの声を聞いて竜騎士に言った。
「竜騎士様。ドラゴンさんたちはそんなに強く足で踏まなくとも、意思は伝わると言っております」
それを聞いた竜騎士は驚きながらアリオネルダに尋ねた。
「お主、ドラゴンたちの言葉が分かるのか?」
「はい。私はネクロマンサーで、このドラゴンたちの主人になりました。ドラゴンたちの言葉はわかります」
「ほう、それはとても興味深い。私の操竜術について他に何か言っておらぬか」
「はい。少し痛いと。ドラゴンさんたちはもっと信頼してほしいと言っております」
「そ、そうであったか……」
竜騎士はそう言うと、今度は軽く手綱を引いてドラゴンを歩かせた。
するとドラゴンは普段よりも素早く機敏に方向転換をし、軽快に動き出した。
その様子を感じ取った竜騎士は感心したように声を漏らした。
「なんということだ。ガツデ流操竜術は間違っていたのか……」
ラゴもアリオネルダの言葉を聞いて軽く手綱を引くと、ラゴの乗っているドラゴンも軽快に動き出した。
ラゴはその様子に嬉しそうにドラゴンに言った。
「おお、言うことを聞いてくれるのだな。ありがとうドラゴンよ」
するとドラゴンは立ち止まり、アリオネルダはドラゴンと会話を始めた。
そしてアリオネルダはラゴにドラゴンの言葉を伝えた。
「ドラゴンさんはラゴさんを気に入ったようです。空へ行こうと誘っております」
それを聞いた竜騎士は驚きながらラゴに言った。
「ラゴよ、ドラゴンに好かれるとは素晴らしい。手綱を両手で引いてドラゴンの頭を空へ向けるのだ。そうすればドラゴンは空へと飛び立つ」
ラゴは竜騎士の言葉に大きく頷くと、ドラゴンの手綱を引いてドラゴンの頭を空へと向けた。
するとその瞬間、ドラゴンは大きく羽を広げてひと羽ばたきし、一気に空へと飛び上がった。
それを見た竜騎士もドラゴンの手綱を引くと、追いかけるようにして空へと飛び立っていった。
その様子をハーピィたちに抱っこされていたドラゴンの子どもたちも見ていた。
するとドラゴンの子どもたちは父親たちの姿を見てパタパタするとハーピィたちから飛び降りて羽をパタパタさせながら声をあげた。
「ぼ、ぼくもハーピ、のせる!」
「ぼくも、のせる!」
ハーピィたちはドラゴンの子どもたちの言葉は分からなかったが、近くにいたアリオネルダがハーピィたちに翻訳して伝えた。
「この子たちも、あのドラゴンのようにハーピィさんたちを背に乗せたいと言っています」
それを聞いたハーピィたちは嬉し涙を流しながらドラゴンの子どもたちに言った。
「嬉しい! ほんとカワイイ!」
「でもまだ飛べないから我慢ね」
「大きくなったら背中乗せてね」
「ぴぴぴぴぴ!」
「うぴぴぴぴ!」
しかしドラゴンの子どもたちは悔しそうに鳴くと目をギュッと瞑って一生懸命に羽をパタパタとさせた。
それを見ていたハーピィの1人は良いアイディアが思い浮かんで優しくドラゴンの子どもを抱え上げた。
そしてハーピィは羽を広げると、ドラゴンの子どもを抱え上げながらゆっくりと空へと飛び上がった。
するとドラゴンの子どもは自分が飛べたのだと勘違いして嬉しそうにハーピィを見上げると、小さい羽をパタパタとさせて父親たちが居る方へ行こうとした。
ハーピィはその姿に笑顔になると嬉しそうにドラゴンの子どもに言った。
「すごいすごい! がんばれがんばれ! きみは飛んでるよ!」
「ぴぴぴぴぴ!」
するとなんと、ドラゴンの子どもは少しずつ風を掴むように羽を羽ばたかせて本当に飛び始めた。
「わぁ! すごいすごい、本当に飛んでるよ! ははは!」
ハーピィはドラゴンの子どもから手を離すと、ドラゴンの子どもは自力で飛び始めた。
「ぴぴぴぴぴ!」
「飛んでる飛んでる! やったねドラゴンちゃん!」
「ぴぴぴぴ!」
すると後ろからもハーピィと一緒に飛んでくるドラゴンの子どもが見えてきた。
「おーい! まってー!」
「あ! その子も飛べたんだね!」
「うん! やっぱ、空に連れてくれば本能で飛ぼうとするみたい!」
「よっし、じゃあお父さんたちの所まで飛んでいこうよ!」
「だね! 突風を避けて連れて行こう!」
「おっけー!」
ハーピィはそう言うと、風の流れを読みながらドラゴンの子どもたちを父親の近くへと連れていった。
◆
その頃、マルちゃんたちが住む難民の村ではネクロマンサーによって蘇らされた大魔導士メチャツが酒場で仲間たちに相談をしていた。
「あの、ここの農作業って長期休暇はいただけるのでしょうか」
それを聞いたマルちゃんは大笑いしながらメチャツに言った。
「基本は週休2日だけど、長い休暇は無理だろうな。サトゥマ芋も生き物だし、成長は待ってくれないからな」
「そうですよね……」
するとイケオジがメチャツに尋ねた。
「メチャツ殿。何かやりたいことでも?」
「あ、はい。ここへ来る途中、ドワーフたちが閉じ込められているような谷を通ってきたんです」
それを聞いたイケオジは大量の冷や汗を流しながら再びメチャツに尋ねた。
「それは、ここからそう遠くない場所にあって大きな滝がある……」
「あ、はい、そうです。ですが、谷の東西は大きな鉄の門で封鎖されていて、ドワーフたちは元気がなさそうだったので、なんとか助けられないかと……」
「忘れていた……」
イケオジは小さく呟くと、仲間たちにバレないようにリッチにガンデロ地方の隠語で話した。
「リッヂ、隔離すたドワーフの事忘れであった。ネクロマンサーだぢはドワーフの村、把握すてねのが?」
「あぁぁあ。ドワーフだぢの村は忘ぃらぃでらど思います」
「あぁぁ。ドワーフだぢ餓死するがもすれね」
イケオジはドワーフたちの村が忘れ去られて餓死するかもしれない事に気づくと、メチャツに言った。
「私とリッチもドワーフたちのところへ行きたい。私はドワーフの集落の鉄の門を開けられる」
それを聞いたメチャツは驚くと、仲間たちは茶化すようにイケオジに言った。
「おいおいイケオジ! お前シーフだったのか?」
「頼むぜぇ、おれがアレしてる時に開けるなよ?」
「なんだよ、ピッキングできるなら酒蔵たのむよ」
仲間たちの言葉にイケオジは誤魔化すように答えた。
「いや。たまたま、あの鉄の門を開けたことがあるだけだ」
「たまたまって、なんだよ!」
「タマタマ開けられるのか?」
「おい、そりゃヤベえだろ!」
「「あっはっはっはっは!」」
マルちゃんたちの大笑いと共に夜は更けていった。




