第8話 危険な魔物
第2章 2/6
数日後。
学院の掲示板に新しい任務が貼り出された。
学院近郊の森で
魔物の出現が増えているという。
訓練の一環として
数人の班で調査と討伐を行う。
「最近多くないか?」
生徒の一人が言う。
教師は短く答えた。
「魔物の行動が異常だ」
ざわめきが広がる。
カインが笑った。
「魔物なんて倒せば終わりだろ」
オリオンは掲示板を見つめていた。
横でリシアが言う。
「参加する?」
「え?」
「任務」
彼女の視線は真剣だった。
「調べたいことがある」
オリオンは苦笑する。
「また魔導理論?」
「うん」
リシアは頷く。
「最近」
「魔力の流れがおかしい」
オリオンは少し考えた。
模擬戦。
中庭の氷嵐。
二度起きた共鳴。
偶然とは思えなくなっていた。
「……わかった」
「行くよ」
リシアは小さく笑った。
「ありがとう」
数日後。
任務班は森へ入った。
最初は普通の森だった。
だが。
奥へ進むにつれて
空気が変わる。
重い。
胸の奥を押さえつけるような圧迫感。
「……なんだこれ」
カインが顔をしかめる。
「魔力が濃い」
誰かが言った。
さらに進む。
重圧は強くなっていく。
呼吸が浅くなる。
足取りが重い。
リシアも眉をひそめていた。
「普通じゃない」
その時だった。
森の奥で
巨大な影が動いた。
ゆっくりと姿を現す。
魔物。
だが
通常種より明らかに巨大だった。
そして何より
魔力が荒れていた。
まるで暴風のように。
その存在だけで
空気が震えている。
魔物が一歩近づく。
重圧がさらに増す。
立っているだけで
体が軋む。
誰も言葉を発せなかった。
見るまでもない。
これは
普通の魔物ではない。
その時。
オリオンは
別のものを感じた。
重圧のさらに奥。
微かな揺らぎ。
それは
ここにいる誰も気づいていない。
本来なら
感じ取れるはずのないものだった。
だが
オリオンだけが
それを感じていた。
空気の奥で
微かに脈打つ
見えない波。
魔力の揺らぎ。
それは一瞬で消えた。
森の奥で
何かが起きている。




