第15話 乱れる波
第3章 3/6
森の奥。
調査隊はゆっくり進んでいた。
教師が先頭を歩く。
生徒たちは周囲を警戒していた。
風が木々を揺らす。
静かな森。
だが。
空気が重い。
カインが小声で言う。
「さっきの魔物、変だったな」
オリオンが頷く。
「普通じゃなかった」
リシアは何も言わない。
地面を見ていた。
魔力の痕跡。
微かな揺らぎ。
魔導波。
もしそれが乱れているなら。
影響は魔物にも出る。
その時だった。
教師が手を上げる。
「止まれ」
全員が動きを止める。
前方の茂み。
何かが動いた。
次の瞬間。
魔物が飛び出す。
一体ではない。
三体。
「来るぞ!」
生徒たちが魔法を構える。
炎が走る。
風が裂く。
魔物が倒れる。
だが。
最後の一体が叫んだ。
異様な声。
その体から魔力が膨れ上がる。
「暴走してる!」
魔物の魔力が暴れる。
周囲の空気が歪む。
オリオンの感覚が反応した。
あの揺れ。
見えない波。
魔力の流れ。
それが。
今、この場所で歪んでいる。
オリオンは思わず言った。
「右だ!」
教師が反応する。
結界を展開。
その瞬間。
魔物が爆発するように魔力を放った。
結界に衝突する。
鈍い衝撃。
やがて魔力は消えた。
森に静けさが戻る。
教師が深く息を吐いた。
「……危なかった」
カインがオリオンを見る。
「今の、どうして分かった?」
オリオンは困った顔をする。
「なんとなく」
カインが呆れる。
「なんとなくで助かったのかよ」
オリオンは苦笑する。
だが。
胸の奥の感覚は消えない。
さっきの瞬間。
確かに感じた。
空気の奥。
見えない流れ。
世界を巡る魔力。
それが。
一瞬だけ。
はっきりと歪んだ。
オリオンは森の奥を見る。
さっきまで感じていた波。
それは。
まだ、どこかで続いている。
オリオンは小さく呟いた。
「……これ」
誰にも聞こえない声。
「魔法じゃない気がする」
風が森を抜けた。
その言葉だけが。
静かに消えていった。




