第14話 異変の森
第3章 2/6
学院の朝は、いつもより慌ただしかった。
教師たちが訓練場に集まっている。
生徒たちも呼び出されていた。
ざわめきが広がる。
「昨日の件らしい」
「魔法暴走の?」
教師の一人が前に出た。
「静かに」
ざわめきが止まる。
「昨夜、学院近くの森で異常が確認された」
生徒たちの空気が変わる。
「魔物の行動が明らかにおかしい」
教師は続けた。
「通常、この辺りの魔物は人を避ける」
「だが、昨夜は逆だった」
「森の外へ出てきた」
ざわめきが広がる。
教師が言う。
「調査を行う」
数名の生徒が指名された。
その中に、オリオンの名前もあった。
カインが肩を叩く。
「また任務だな」
オリオンは苦笑する。
「最近多いな」
リシアもその列に加わっていた。
やがて。
小さな隊が森へ向かう。
学院から少し離れた場所。
問題の森だった。
風が木々を揺らす。
だが。
空気が重い。
カインが小声で言う。
「なんか嫌な感じだな」
教師が周囲を警戒する。
「油断するな」
その時。
草むらが揺れた。
影が飛び出す。
魔物。
小型の獣型。
だが。
目が赤く濁っていた。
「来るぞ!」
魔物が突進する。
普通の動きではない。
速い。
荒れている。
生徒たちが魔法を放つ。
炎。
風。
光。
魔物は倒れる。
だが。
教師が眉をひそめた。
「……おかしい」
リシアが魔物を見ていた。
体から漂う魔力。
乱れている。
まるで――
魔力そのものが暴れているようだった。
オリオンも同じものを感じていた。
空気の奥。
見えない流れ。
昨日よりも。
はっきりしている。
オリオンが呟く。
「……これ」
カインが聞く。
「何だ?」
オリオンは首を振る。
「いや」
だが。
胸の奥の感覚は消えない。
世界の流れ。
魔力の波。
それが――
どこかで歪んでいる。
リシアが静かに言った。
「魔導波の影響かもしれない」
教師が振り向く。
「何だと?」
リシアは魔物を見下ろす。
乱れた魔力。
明らかに普通ではない。
教師は険しい顔になる。
「……詳しく話せ」
その時だった。
森の奥から、低い唸り声が聞こえた。
生徒たちが振り向く。
木々の奥。
暗い影。
一つではない。
また、魔物だ。
教師が短く言う。
「……今日はここまでだ」
「一度学院へ戻る」
だが。
森の奥の影は、まだ動いていた。
この森で起きている異常は――
まだ終わっていない。




