【閑話5】今日も寝る前に魔術の練習〜発現する〜もしかして光った?
魔術を教わってから、いつかは書かなきゃと思っていた修練の成果を閑話として書きました。
魔術の練習を始めてそろそろ半年。まだ何も起こせていない。苦節十五年の道は険しいな。今日も寝る前の時間を使って練習するのだ。とにかく修練を続けるしかない。まずは瞑想から。七秒間吸って十秒間吐く。これを繰り返す。吐く息に神経を集中。
「ひと〜つ、ふた〜つ……とお」
落ち着いて来たところで右手の人差し指の先に意識を集めた。
「光よ出よ!」
呪文らしきものを唱えてみた。プスッと微かに何かが出たような感覚を持った。バイクのエンジンがかかりにくい時の空回りしているような感じ。
「やっぱりダメかぁ」
僕はため息を吐いた。もっと具体的なイメージでやった方がいいのかもしれない。
一旦気持ちをリセットした。
もう一度初めから呼吸を整え頭の中の雑念を消す。雑念と言うものはまるで雑草のように抜いても抜いても生えてくる。でも、雑念を追うのをやめて生えるに任せるだけにしていたら、いつの間にか消えていく。そしてこの世界の意識あるものが全部つながった集合意識?を感じたらそれに意識を集中する。そしてそれを頭の中で拡大すると、まるで太陽のようなエネルギーを浴びている感覚になった。身体中がほんわかと暖いのだ。これかも!
そうしてイメージする。前世日本でキーホルダーに付けてぶら下げていたボタンをプッシュするとLEDが光るランプ。家に誰もいない夜に家の鍵を開けるの時使っていた鍵穴を照らすためのランプ。あのボタンを押す感じ。
すると……なんとできてしまった!ほんのりと右手の親指のあたりが光っている!ボタンを親指で押していたからそこから出るのか。人差し指のイメージじゃ光らないよな。これが集合意識のエネルギーを引き出す感じなのか。別の言い方をすると、魔術が発動する時の感覚って、自分と世界との境界が消失してすべてが透明になったようなものなんだ。そして境界の向こうから力を借りて物理現象を起こすみたいな。
兎にも角にもイメージ、それもより具体的なイメージが重要だってことはわかった。とすれば、光ならLEDランプや懐中電灯にサーチライト、熱ならばライター、ガスレンジ、火炎放射器、風なら扇風機などの物理現象を起こす機械をいっぱい見てきた異世界人は断然有利じゃん。これは修練のしがいがある。
さあ、もう一度試してみよう。興奮したので集中力が切れたから、気を集めるところからやり直し。そうだ、今度は軟酥の法を試してみよう。昔密教の本で読んだことがあるんだ。
「フォトメモリー!」
本の軟酥の法のページを思い浮かべて内容を確かめた。
呼吸を整える調息はさっきと同じ。落ち着いてきたらイメージだ。目を閉じて自分の頭のてっぺんに、卵くらいの大きさの「軟酥の塊」が載っていると強くイメージ(視覚化)する。僕は超高級なバターを思い浮かべてみた。体温で温められてゆっくり溶け出して頭から首、そして肩から上半身へと流れていきながら染み込んでいく。体の表面だけでなく体内にも染み込んで内臓も活性化させるつもりで溶け続けさせる。高級バターが全身に溶けて回ったらそのパワーがみなぎった感覚になる。
通常の瞑想ならこの後は足の裏から抜けていって、体内の悪いものや邪気を流すのだけれど、魔術の物理現象として出力したいので、外へは出さないでおく。この段階でバーチャルLEDライトのボタンを押す。静かに目を開けてみると、先ほどより強い光が出た。ほんのりではなく、これなら誰が見ても光ったと言うだろう。おお、体を巡ったエネルギーが増えた分だけ、魔術の明かりも増すわけだ。大成功!
ふうむ、気を集中させる方法も色々試してみる価値がありそうだ。瞑想の種類もだし、気を貯めるイメージもやってみたい。体の中にエネルギータンクがあって、それをいっぱいにするとか、宇宙戦艦ヤマトの波動砲のエネルギー充填とか、色々あるよね。ちっちゃなLEDライトじゃなくて大きな懐中電灯だったらもっと明るくなるのかとか。
ああ、水の魔術ができたらミュゼット号の水の補給が楽になるよ。最初にバスティアンに助けてもらったみたいに。水道やシャワーのイメージは難しくないし。うーん、色々仕掛かっているものがあるけれど、魔術の修練の計画も立てなきゃ。もう少し確実性が増して、発動までの時間を短縮できたらアラン商事のみんなにも披露しよう!
ついに魔術が発動しましたね。この先アランの魔術の威力は増すのでしょうか?書いている本人もわかりません。アドバイスありましたらコメントお願いしますね。次回6/30更新予定です。




