【62】ちびっこ配送隊〜解決する〜バレないように配達しなきゃね
襲撃事件解決編の前編です。対策会議の結果を受けて実行に移します。長くなってしまったので2回分に分けました。
さて新聞社での会議の結果に基づいて、僕は探偵団を当面の新聞配達員として組織しなくてはならない。一方ブランシュは懇意にしている商店にユリアの新聞を置いてもらう交渉がある。
「ブランシュ、昨日の会議の結果をレイモンに話して取引ネットワークを通じてヘラルド新聞を店で取り扱ってもらう交渉をしてもらってもいいかな?」
「ええ、私が提案したのですから早速取り掛かりますわ」
「頼んだよ」
「承知しました」
そう言いながら彼女は執務室を足早に出て行った。
僕の方はスパイファミリー式配達をできるようにしなくては。そこで僕は例の笛を吹いた。するとルークは直ちにやって来た。一体どこに隠れているんだろうか。少年探偵団は実にすごい。
「ボス、お呼びでしょうか?」
ルークは出会った頃に比べて顔の血色も良くなって、心なしか身体も肉付きが良くなって気がする。食事が改善したからだろうか。
「ルーク、昨日の領都の騒ぎを知ってるかい?」
「もちろん。孤児が襲われて新聞が燃やされたんだろう。おいら達孤児仲間の一人が袋にされたんだから大きな噂になっているよ。みんな仕返ししてやりたいってさ」
ルークは左手の掌を右手の拳で打って言った。
「そうか、知っているなら話しが早い。その少年が新聞を配達していたのも知っているだろう。今日からその子に代わって新聞を配達する人間が必要だ。しばらくの間でいいから君たちにそれをやってもらいたい。当面は少年探偵団改め『ちびっこ配送隊』になってもらう」
「『ちびっこ配送隊』だって?その呼び名はちと恥ずかしいな」
僕にネーミングセンスがないことは自覚しているよ。
「まあいいじゃないか。ルーク、今日から君をこの『ちびっこ配送隊』の隊長に任命する。パッチは今リヴェルトに行っているから、その他のメンバーをまとめてくれるかい?」
「たいちょう……? おいら、ただの使い走りだよ」
「探偵団でも団長だったじゃないか」
「そういやそうだった」
「それでこれが配達先の地図だ。そしていかにも新聞を配達していますと気取られるような仕草は避けて、皮袋や他の紙を重ねて持っていくんだ。わかったかい?」
「ああ、こっそり配って来るんだな。おいら達はそういうのが得意なんだ。ほんでもってこの配達先を全部頭に入れるんだな?」
「いや、全部覚えなくてもブランシュが教えてくれた『文字』が分かって『地図』の読み方を覚えたら、効率よく街を回れる。ルート、回る道順も地図に描いてある。君たちならできるはずだ」
「わかったよ。地図の読み方はボスが教えてくれるんだろ?」
「うん、難しくないから、探偵団のみんなを呼んですぐやろう」
探偵団のみんなを呼んで地図の見方を教えた。そして僕は四人分の地図を描いて分担を決めた。ヘラルド新聞社へメンバーが一斉に行くと目立つから、時間差で新聞を取りに行くように伝えて、ちびっこ配送隊を送り出した。そのあたりの采配はルークに任せた。
◇
ちびっこ配送隊を送り出してしばらくしてからブランシュが息を切らせて戻って来た。
「アラン様、とりあえず十二のお店が新聞を置くことに同意してくれました。まだ連絡がとれていないお店もあるので、もう少し増やせると思います」
「そうか、その店のリストをユリアに渡して、広告が載せられないか聞いてみよう。一ヶ月は今回の協力に感謝して無料でどうだろう?」
「それはいいですわね。翌月も継続してもらえれば広告収入になりますもの」
ブランシュは上機嫌で言った。
「ちびっこ配送隊が戻って来たら、その店にも新聞を届けさせよう」
「まあ、ちびっこ配送隊とは可愛らしい名前ですこと」
「そ、そ、そうかな?」
自信のなかったネーミングがブランシュに褒められたので嬉しくなった。
「では、以上のことを僕は早速ユリアに伝えて来るよ。ブランシュはここに残って配送隊が戻って来たら、店に置いてもらう分の新聞を取りに行くように言ってくれないか?」
「わかりました。行ってらっしゃいませ」
僕は急いでヘラルド新聞社へ向かった。
次回更新は6/3にします。この事件のまとめなので連続で。




