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異世界で少年は文明開化を目指す!  作者: ねこじぞう
第二部 子爵領のアラン
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【49】新商品のアイデア会議~蒸気自動車2号機と新商品

少年探偵団を結成したアランは次に手を付けるのはミュゼット号の予備部品を使って組み立てることと、新商品の開発です。

 少年探偵団発足の翌日の朝食後にブランシュと打合せをする。

「アラン様、男爵様のお屋敷を経つ前にミュゼット号の2号機を組み立てるようなお話をしてましたよね?」

「うん、なるべく早くそうしたいと思ってるんだけど」

「だったらまた商会長にお願いにいかないとけませんよ」

 僕は大事なことを忘れていたのを思い出した。ミュゼット号の組み立てに商会長の納屋を借りた。組み立てが長期に渡ったので無料ではなく、ちゃんと賃貸料を支払った。だからまた借りるなら新たな契約を結ばないとならない。


「そうだね。また賃貸料を払うのでそれでいいかな?」

「いいえ、だめです!」

「えっ?だめ?どうして?」

 商会長は海千山千の商売人です。賃貸料だけを目当てに納屋を貸してくれたと思ってますか?アラン様に貸せば何か商売上の得があると思っているに決まってます」

「そうか、賃貸料を払うだけじゃだめか。そうだな。だったらレイモン商会で売るはずの次の新商品は商会長のところに権利を分けようか?レイモン商会の販売量の半分でどうだろう?」

「そうですわね。お父様は渋い顔をするとは思いますが、商会長に恩を売った方が得だと考えて納得すると思いますよ」

「じゃあ新商品が固まったらレイモンに話をして、一緒に商会長の所へ行ってもらおう」

「そうしましょう!」


「ところで新商品のアイデアはお持ちですの?」

「そうだね、商会長のところでも作れるような遊具でどうだろうか?」

「そうですわね。アラン様と共同で開発した経験がない工房でも作れる物がいいでしょう」

「トランプという遊びを流行させようと思うんだけど」

「トランプとはどういうものですの?」

 僕は紙に絵をかいて説明する。

「ブランシュ、これは『トランプ』という数字とマークを使った遊び道具だよ。52枚のカードには4つの記号(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)と1から13までの数字が書かれていてね。これ一組あれば、二人で遊ぶ対戦ゲームから、大勢で盛り上がるパーティーゲーム、さらには一人で楽しむパズルまで、何十種類もの遊びができるんだ。ルールを覚えれば、計算力や戦略的な思考を養う最高の知育玩具にもなるよ」

 ブランシュは僕が紙に書いたトランプカードの絵を覗き込みながら真剣に耳を傾けている。

「それも前世とやらの遊びですか?一度試作して遊んでみたいですわ。それで判断したいです」

「うん、僕の世界では大人気でほぼ誰でも遊べるゲームだったよ」

「まあ、それは期待できますわね」

「材質は何で作りますか?」

「とりあえず試作はこの紙を切って僕がちゃちゃっと作るよ。耐久性に問題があると思うので、販売するのは薄い木の板かな。木目の違いでカードを見分けられないように、塗料で木目を消さないといけない」


 普通のトランプぐらいのサイズに紙を切る。ハサミで53枚切るのはなかなか大変。ブランシュと交代で切った。インクは黒しかないのでダイヤとハートも黒で描く。こちらはブランシュに任せた。僕はクラブとスペードだ。数字カードのマークも上下点対象で1つずつにした。製品版は前世と同じようにマークの数と数字を合わせたいが。

「アラン様、上下をくるりと回して描くのは、そろえる時に向きを気にしなくていいようにするためですか?」

「よくわかったね、その通り!」

「……できました~!」

「もう少しで終わる。待ってて…僕もできた!」

 マークと数を書き終えたカードを集めてみる。機械裁断ではないので多少凸凹しているが試作なのでご愛敬。

「じゃあ早速遊んでみようか」

「ええ、遊び方をおしえてください」

「では一番簡単なババ抜きという遊びを教えるね。3人以上の方が楽しめるんだけど」

 僕はしばし簡単な説明を考えてから言った。

「トランプの全札を交互に配りきった後で同じ数字のペアを捨ててから始め、隣の人の手札を一枚引いて同じ数字を揃えて捨てていくことを繰り返し、最後に手元に残る『ババ(ジョーカー)』を避けながら早く手札を無くした人が勝ちとなる心理戦のゲームだよ」

 説明しながらカードを切って配った。

 二人で遊ぶとどちらがジョーカーを持っているかまるわかりなので面白さ半減なのだが、初めてのブランシュにはそんなことは関係なかったようだ。終盤で僕の手元に2枚、ブランシュは1枚となった。

「さあブランシュが引く番だよ。運が良ければ上がりで悪ければ攻守交代だ。さあ、どっちにする?」

 ブランシュは僕の目を見ながら2枚のカードを順番に指す。

「こっちですわ!」

 僕の右のカードを引いた。

「上がりです。やりました!わたしの勝ち~」

 ポーカーフェイスを貫いたつもりだったのだが見透かされたかな。

「アラン様、これ面白いです。絶対売れます、流行ります!」

 喜んでもらえて何よりだ。この後で七並べでも遊んだ。

「これは数字のお勉強にいいですね。少年探偵団のみんなにもやらせましょうよ」

 そうなんだよね。他にもブラックジャックで遊べば計算スキルも身につくだろう。

「では、昼食後にお父様に見せましょう!」


 ◇


「お父様、お話があります」

「どうした?ブランシュ」

「アラン様が予備の部品を使ってミュゼット号の2号機を組み立てたいそうです。また商会長の納屋をお借りできるようにお願いできますか?」

「う、うん…」

 やはり二度目となると何らかの見返りが必要だと思っているのか少々渋っているが、貴族の僕に対してずばり言えないという表情だ。

「その際にアラン様が考えた新商品の権利を商会長にもお分けしたらどうかというお話をしていまして…」

 レイモンはパッと顔を輝かせた。新商品という言葉に反応したのかそれとも、商会長への見返りがありがたかったのか、どっちだろう。

「し、新商品!それはどんなものだ?」

 そっちかー。

「こちらです、お父様。トランプと呼ぶのだそうです」

「トランプ?聞いたことのない言葉だな」

 レイモンは試作品を手にして眺めながら言った。


「それは異国の古い言葉で『切り札』という意味です。ゲームの終わりに出す強いカードを意味します」

 僕は元の世界の意味をアレンジして話す。

「なるほど。それはどのように遊ぶのですか?」

「さまざまな遊び方があります。小さい子どもでも遊べる一番簡単なゲームをやってみましょう」


 レイモンにババ抜きのルールを説明して3人で遊んだ。偶然にもレイモンが一抜けし、今回はブランシュがペケだった。

「これは面白い!アラン様売れますよこれは。遊び方の説明が必要ですが」

「植物紙にルールを印刷してカードとセットにすればいいと思います。3種類くらいの遊び方があればいいのでは?」

「その印刷はどのようにしますか?まだ新聞でしか使われていないと思うのですが」

「ヘラルド新聞社のユリアさんと知合いましたので頼んでみます。最初は印刷を頼みますが、自分たち用の印刷機を作れば自前で印刷できますし、遊び方を本にして後から売り出してもいいですし」


「アラン様は次々と新しいアイデアを思いつかれますね。ところでトランプは植物紙で作るのですか?すぐに痛んでしまいそうですが」

「植物紙の改良が進めばそれで作れると思いますが、当面は木札のようなものをできるだけ薄くして裏面に色を塗ります。表面のカードのマークもハートとダイヤ、こちらとこちらですがは赤にするといいでしょう」

「ではメートルにこれを見せて、早速試作させましょう。それが完成したらご一緒に商会長の所へ行きましょう!」

 こうして新商品とミュゼット2号機の組み立てが同時に進むことになった。


 トランプの製作にユリアの協力が必要になってしまった。それと丈夫な紙の需要が生まれたのでテオにも話をしなくては。少年探偵団の出番だな。

次のエピソードでは、紙で作った試作品のトランプが好感触だったので、木の板で本番用の商品を作ります。次回更新は5/8です。

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