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異世界で少年は文明開化を目指す!  作者: ねこじぞう
第二部 子爵領のアラン
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【45】前世記憶のこと~打ち明ける~ユリアとの会話からブランシュに説明を迫られる

ユリアとの会話からブランシュに前世のことがばれてしまった。アランはどうやってブランシュに説明するのでしょうか?

「アラン様、一体どういうことですの? 前世記憶とかフリーランス、ライター、日本人……それに『マジ』って何ですの!? 他にも知らない言葉がたくさんありましたわ!」

 新聞社を出るなりブランシュにものすごい形相で詰め寄られた。

「えーっと、どこかで座って話しましょう。ちゃんと説明しますから。人に聞かれたくないので空いているテラス席がいいですね。」

 彼女に案内され、昼食前で空いているカフェに入った。一番端の、周囲に人がいないテーブルを選んで紅茶を二人分注文する。給仕が紅茶とクッキーを置いて去るのを待ち、僕は重い口を開いた。


「前世の記憶について説明します。実は僕とユリアさんには、この世界とは違う『日本』という国で、別人として暮らしていた記憶があるんです。僕の場合、この世界のアランとしての幼い頃の記憶も残っているので、中身が入れ替わったわけではなく、アランという人格の上に、別の人格が積み重なったような感覚なのですが……」

「……なんとも不思議な話ですね。」


「僕はその日本で、十二歳の時に事故で死んだんです。気がついたら、この世界で五歳のアランとして高熱にうなされていました。回復した時には、前世の記憶の方が強く残るようになっていて。……実は五目並べやカルタも、すべて日本で知っていたものなんです。だから、僕に天才的な発想力があるわけじゃなく、文明が進んだ前世の知識を借りているだけなんですよ」

 まるで種明かしをする手品師のような気分だった。こんな告白をして、彼女に幻滅されないだろうか。僕は不安を押し殺しながら語り終えた。


「ヒット商品が僕自身のアイデアじゃないと知って幻滅したかな?」

「そんなわけないじゃないですか! ほら、あの『フォトメモリー』という呪文はアラン様だけの特別な力でしょう? それだけでも十分すごいですわ」

 魔法の呪文じゃないんだけどね。でもよかった。彼女の瞳に失望の色はなかった。

「あーもう、いままで疑問に思っていたこと全てに得心がいきましたわ。」

 反対にブランシュの表情はパッと明るくなった。

「それでユリアさんは前世で仕事をされていたようですが、あまりに世界が違いすぎてお話の内容が理解できませんでした」

「彼女は僕やブランシュよりも年上で、成人して職を持っていましたから。元の世界では、女性も学校を出たら仕事に就くのが当たり前だったんです。今の新聞を作る仕事に近い職業だったそうですよ」

「大人の女性だったのですね。アラン様のいた日本という国は良い国でしたの?」

「そうですね。悩みもありましたが、今考えればとても良い国でした。あそこには、王族も貴族もいないんです」

「まあ、それで国がまとまるのかしら。それは全く想像がつきませんわ。」

「身分の差がなく、『自由・平等・博愛』の精神を尊び、すべての人に人権がある。国で一番偉いのは国民だという『国民主権』の考え方で成り立っているんです」

「うーん、難しいですけれど……人は身分によらず平等で、奴隷にされることもなく、王様より平民の意思が重い、ということかしら

 」

 ブランシュはこの世界の常識に当てはめて、即座に解釈してみせた。大体合ってる。さすがブランシュ、サスブラ。

「ええ、おおよそ間違っていません。国を治める人も血統ではなく、『選挙』というみんなで選ぶ仕組みで決めるんです。選ばれた人も、限られた期間だけ政治を行って、期限が来たらまた選び直します」

「王様の子である王子や王女が後継者になるわけではないんですね。この国では選挙なんてできないと思います。だって誰がふさわしいかなんて平民には選べませんもの。」

「そう、だから教育が大事なんです。元の国ではすべての国民が学校に通う義務があって、国を治める人を選べるだけの知識を身につける。しかも、その費用は無料なんですよ」

「それは素晴らしいですね。貴族や商人などのお金がある人だけでなく誰もが学校へ行けるのですね。夢のような国ですわ。」

 ブランシュが遠くを見るような目をして言った。

「前世の世界も、昔はこの世界と同じような時代がありました。多くの人が働きかけて、少しずつ今の形にたどり着いたんです」

「では、アラン様はこの世界をそんな風に変えるために頑張っているのですか?」

「ええ、以前は発明だけをするつもりだったのですが、最近になってそんな風に考えるようになりました。」

「よくわかりましたわ。まだまだお聞きしたいことは山ほどありますけれど、それは折々に。もうお腹いっぱいで、これ以上は消化できませんもの。アラン様の高い理想の実現のために、このブランシュも微力ながらお手伝いさせていただきます!」

 すっきりした顔をして、ブランシュは力強く宣言してくれた。

さてユリアに会ったアランとブランシュは話に聞いたテオに会いに行くことにします。次回は4/30投稿予定です。

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