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異世界で少年は文明開化を目指す!  作者: ねこじぞう
第一部 男爵領のアラン
25/50

【24】ライバル商会(レイモン視点)~邪魔される~台車が生産中止に!?

台車の開発ができて生産を開始したとたんに、ライバル商会の妨害工作が行われるのです。われらがアランはどんな解決策を見出すのか。

「商会長、台車の製造に必要な木ネジの供給がストップしました!」

 店長のピエールが駆け込んできた。

「メートルから聞いた必要数を金属小物を扱っている問屋に納期を確認しに行ったところが、ルナール商会が1割高く買うから回してくれというので、そっちに売ってしまったそうです。」

「ルナールのやつめ。あそこはうちより商い額が大きいが、最近うちが売り上げを伸ばしているから商売の妨害に出てきたか。」

「このままだとプラード男爵様に提出したスケジュールが大幅に遅れてしまいます。」

「急いで他の問屋を当たってくれ!今まで取引がなかったところもだ。多少値が上がってもかまわん。私も商業ギルドへ行ってギルド長に当たってみる。」

 ピエールは駆け出して行った。


 ◇


「ダメです。どこも在庫がありません。」

 ピエールがしょんぼりして戻ってきた。

「私の方もギルド長の紹介状を持っていくつかの問屋を当たってみたのだが、すでにルナールが手を回していたようだ。取引を拒まれたわけではないがどこも在庫がない。」

「こうなると打つ手がありませんね。」

「うむ、ここまで強引なやり口とはな。これは男爵様に説明しないといけないな。よし、プラード領へ向かうぞ!支度をしてくれ。」


 ◇


「旦那様、これから男爵と面会するのにお顔の色がすぐれませんが大丈夫ですか?」

 ピエールに男爵邸へ向かう馬車中で問われたが、正直いうと宿で一泊した時にあれこれ考えてばかりでよく眠れなかったのだ。男爵様は貴族の中では物分かりの良い方だ。でも約束をたがえるとなると別だ。どんなにお怒りになるかしれない。貴族様を怒らせてつぶれたしまった商会は数えきれない。貴族との取引には高価な品物が売れたり、顧客を紹介してくれたりするメリットがあるが、逆にとんでもないデメリットもあるのだから。睡眠不足だけではなく胃まで痛くなってきた。

「いや、ちょっと旅の疲れがな。これくらい大丈夫だ。」

 ピエールの手前強がって見せる。


 一夜明けて。

「レイモン殿、遠いところをよくぞ来られた。まあ掛けられよ。」

 男爵様に勧められてソファーに座った。男爵様のご機嫌は悪くないようだ。ピエールは私の後ろに緊張した面持ちで控えている。向かいには男爵様とアラン様が座っていて、後ろにブランシュも控えている。

 早速要件を私から切り出す。


「実は台車の生産に問題が生じまして。」

「いったいどうなされたのかな。」

「生産に必要な木ネジが問屋から買えなくなったのです。取引のある問屋だけでなく方々に当たってみたのですが。それもルナール商会というレイモン商会より大きい力のある商会の横やりで。おそらくうちが最近扱い始めたアラン様発案のヒット商品が気に入らないのでしょう。かなり売り上げが伸びていますので。」

「なるほど、貴族同士でも色々と妨害工作があるが、商売人同士も同じなのですな。強敵になりそうなライバルを今の内に叩いておこうという訳か。」

「それでお約束している台車の納期が守れそうもないのでご相談に伺ったのです。」

「うちとしては納期が伸びてもさほど困らないのですが、そちらは未完成在庫を抱えることになりますし、今後も同じことが起きる可能性もありますね。」

 さすがアラン様。子どもとは思えない商売上の駆け引きにも精通している。

「ではルナール商会を納得させられる取引材料があればいいのですね。」

 とアラン様。えっ、ルナールと取引できるのか?そんなやり方が?


「こうしたらどうでしょう。ルナール商会にライセンス生産を持ちかけるのです。ルナール商会は今のままでも1年たったら分解してコピー商品を売り出すのでしょうが、それまではレイモン商会の売れ行きを指をくわえて見ているしかありません。そこで一定数量をルナール商会で生産して販売できる権利を与えるのです。もちろん只ではありません。ライセンス料をもらいます。1台当たりいくらと決めたらいいのでは?」


「なるほど、ライセンス生産と言うのですか。そのような仕組みは初めて耳にします。発売当初の需要に生産が追い付かないと予想していましたが、その点も解決できます。確かにお互いにWin-Winの関係です。敵対するライバルではなく同じ陣営に属することになりますし。」

「アラン、それは名案だな。」「すごい発想です!」

 男爵様とわが娘のブランシュも口々にアラン様のアイデアをほめる。見事な解決策だと心から感心してしまった。あの小さな体にいったいどれほどの英知が詰まっているのだろうか。もしかしたらアラン様は発明だけでなく商取引の仕組みをも変えてしまわれるかもしれない。

「承知しました。戻りまして早速ルナール商会に提案を持っていきます。」


 ◇


 ルナール商会と交渉の結果ライセンス料は1割と決まった。ライセンス契約は商品ごとに結ぶことにした。後から割合を上げることは難しいので。とりあえず今回は台車に限った。また生産数量はレイモン商会の4割を上限とした。3割くらいに留めたかったがここでも多少の恩を売っておくことが何かの役に立つかもしれない。


 それにライセンスを与えるとはいえ、向こうは生産の準備をこれから整えるのだからひと月やそこらはこちらが先行できる。もちろんルナール商会が買い占めた木ネジも回してもらえる。これで製品の納期も問題なくなった。男爵様には手紙で交渉結果を報告した。

異世界人が"Win-Win"と言うかどうかはわかりませんが、アランにはそう聞こえる異世界語なのかも。

閑話を書き始めていますが、中世ヨーロッパの習慣などを調べる必要があり、難航しています。

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次epはアランにあるところから重要な知らせが舞い込むようですよ。

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