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異世界で少年は文明開化を目指す!  作者: ねこじぞう
第一部 男爵領のアラン
19/50

【18】兄シャルルのジェラシー~妬む

このエピソードはアランのすぐ上の兄シャルル視点です。どうやら近頃のアランの活躍が気に入らないよう…。

 私はシャルル。プラード男爵家の二男だ。9歳になった僕は来年カミーユ兄様が学んでいる貴族学院へ入学する。兄様はこの家の嫡男なので領地経営に必要な学問を修める必要がある。二男の私は兄様に何かあった時のため、また息災であったとしても領主の右腕として領地を支えるために学校へ行くのだ。


 自分がちょっと兄様のスペアみたいな立場であることは微妙な感じがしていた。だが、それは生まれ順ゆえどうしようもないこと。貴族の家柄ではよくあることなのだ。だがそれ以外にも両親の兄弟に対する扱いが違うような気がする。


 兄様はなんでも初めてで大事にされる。初めて立ったとか初めてしゃべっただの初入学だのと。2番目の自分は家族にとっては2度目なので新鮮味がないだろう。ところがアランになると最後の男子ということもあり、特に母様が大事にしている気がする。クリステルは女の子だから着せ替え人形のように可愛がられるのは当たり前だ。どう考えても僕が一番の貧乏くじを引いた、兄弟ガチャに負けたってやつだ。


 それなのに、あれはなんだ!三男のアランのやつめ。体が丈夫でないからと騎士になる道は早々にあきらめて剣技を磨くこともなく、どこかに婿入りするための準備をするでもない。


 なんだか5歳の時に3日間高熱で寝込んで回復してからアランは人が変わったみたいだ。それまでは内気で自分の気持ちをはっきりとは口にしない弟だった。でもあの時から急に猛勉強を始めて家中の本を全部読んでしまった上、農作物の育て方にも新しいやり方を考案して収穫量を増やした。さらに、これまでになかったゲームを生み出して、商会と契約を結びこの家に副収入をもたらしたと。それも決して少額ではないらしい。自分でも五目ならべで遊んでみたから面白いのは認める。確かに売れるだろう。


 それで父様もアランになにかと甘く、専属家庭教師までつけている。しかもあんなに美しいブランシュお姉さまをだ。

「シャルル兄様、一緒にお勉強しませんか?」

ぐらいのことは言ってもよさそうなもんだ。

兄である自分をもう少し立ててもいいんじゃないか。もしかして、アランは領主のナンバー2ポジションを狙っているんじゃないかと疑いたくなる。どう見ても調子に乗りすぎている。


 そう言えば前村長の息子がよく小さい頃にアランをいじめていたな。僕ら兄二人には手を出さなかったのに、アランは組みしやすしと思っていたんだろう。そうだ、アランの調子乗りっぷりを話して聞かせたら、勝手に何かしでかしてくれるのではなかろうか。子どものすることだからちょっとしたいじめだろうが、アランにはいい薬になるんじゃないか。私も少しはすっきりするかもしれない。


 ◇


「まずいぞ、まずいぞ、まずいぞ。」

 失敗した!あの平民どもやらかしてくれた。よりによってアランを(さら)うなんて大事を引き起こすとは。昨日たまたま庭を歩いていたら庭師のシルヴァンが木札を持ってどこかに行こうとするのに出くわした。何が書いてあるのかと思って覗いたところ「さらった犯人が誰かはわかっているぞ A.P.」と書いてあった。


 もしやと思い、後をつけたところ林の中の壊れかけた小屋にその木札を置くじゃないか。彼が帰った後で中を覗いてみたら、縄や麻袋が床に散らばっていた。アランをここに監禁したのか。


 もし、アランが父様にこのことを告発して前村長の息子たちが調べられたら私のことを話すかもしれない。そんなことになったら一大事だ。父様に屋敷を追い出されてしまうかもしれない。不安で頭の中がいっぱいになってしまった。



 しばらくアランの様子を見ていたが、何事もなかったかのように過ごしている。幸いにしてアランは木札の警告にとどめることにしたようでホッと胸をなでおろした。まじでヤバかったな。自重しよう。

兄弟とはいえ男のジェラシーは怖いですね。これでシャルルが実は腹黒だったとは。

さて次は遊び道具じゃない新たな発明に取り掛かります。

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