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異世界で少年は文明開化を目指す!  作者: ねこじぞう
第一部 男爵領のアラン
18/50

【17】誘拐~攫われる

楽しい遊びだけを考えていられるわけではなかったようで…。

 しばらくぶりに屋敷の庭の外を出てお気に入りの場所まで散歩している。一人になりたかったのでコレットとアリスの目を盗んで出てきた。このところずっと勉強ばかりしていたからな。ブランシュ先生は実家に帰省している。たまには親に顔を見せろと手紙に書いてあったらしい。だからお勉強はお休みだ。もっとも最近はお勉強よりもブレーンストーミングのようなアイデア出しをしている時間の方が長い気がするけど。


 さて茂みの先の開けた草原へ来た。この端から領地が見渡せる。初夏の季節は新緑と風が心地よい。ボーっと立っていると突然視界が遮られた。

「な、なんだ!」

 思わず僕は叫んで手足をバタバタさせた。すると両手と両足を同時に縄でぐるぐる巻きにされた。頭には麻袋がかぶされたようだ。土ぼこりのような臭いだ。

「何をする、やめろ!誰か~」

 大声を出したが近くには人家も畑もないので

「騒いでも無駄だ、誰も来やしねえ。」

 という声がして、誰かに手足を持たれてぶら下げられた。これじゃまるで狩られた小鹿だ。そしてどこかに向かって歩き出した。体をゆすって暴れると足を蹴られた。痛いのでおとなしくした。そしてぼくは「101,102,103…」と数を数え始めた。101から数え始めると大体1秒間隔になるのだ。時間を計るのに都合が良い。


 余談だけど2006トリノ冬季オリンピックで金メダルを獲得した荒川静香さんは、フィギュアスケートの演技で3秒以上との規定を「ワン・アイスクリーム、トゥー・アイスクリーム…」と数えたと本人が語っていた記憶がある。それに似た数え方をしたのだ。


 しばらく歩いた後に引き戸が開く音がして建物の中に入ったようだ。床に放り投げられると思い切りみぞおちを殴られた。その痛みで僕は気を失った。


 ◇


 どれくらい時間が経ったのだろう。気が付くと人の気配がしない。僕を攫った犯人も見張りもいないようだ。殴られた胸と蹴られた足がまだ少し痛む。落ち着いて考えてみる。お気に入りの草原からここまで約300秒だったからせいぜい歩いて5分の距離だ。手と足を持ったのは別の人間だから犯人は二人組。一人で担ぎ上げられなかったということは成人男性ではない。女の子がこんな手荒なことはしないだろうから、二人組の少年が犯人ということか。


 しばらく周囲の音に耳を澄ませてみるが、小屋の周りに人の気配はなく話し声もしない。そうとなれば脱出しなくちゃ。僕はYouTubeのセキュリティチャンネルで結束バンドや縄で両手を縛られた時の脱出方法動画を見たことがある。それを実際にやってみよう。


 両手を縛られたまま頭の上に持ち上げ、ハの字を描くように勢いよく下に振り下ろす。おお、縄が外れた。YouTubeバンザイ!手が自由になったので足の縄もほどく。小屋の中でどこかにつなぐこともしないなんて、やはり素人の仕業だな。頭の麻袋を外すと、壊れかけた小屋だとわかった林の中の使われなくなった物置小屋だろうか。僕は一目散に走って屋敷に逃げ帰った。


 屋敷の自室に戻って僕は思案した。犯人が誰かはわからないが見当はついている。前村長の息子かその一味だろう。だが証拠はない。執事のジョゼフか庭番のシルヴァンに言って例の小屋を見張らせて犯人を捕らえるか。それともこのまま何もせずに放っておくか。


 しばし考えて、子どものしたことなので(自分も子どもなのだが)一度は見逃してやることにした。怪我もしていないし。誰もいない小屋の中を見たら青くなるに違いない。領主の息子に危害を加えるなんて大罪だ。いつつかまるか気が気ではないだろう。それで後悔してくれればそれでよし。また何かを仕掛けてくるならその時は真剣に対処することに決めた。


 ただ警告だけはしておきたい。そこで木札に「犯人が誰かはわかっているぞ」と書いてシルヴァンに頼んで小屋に置いてきてもらうことにした。シルヴァンは自分の名前と仕事に必要な定型文くらいしか文字が読めないから、木札の意味はわからないので誰にも知られることはないはずだ。ならばこの事件は伏せておけるな。

さて、誘拐はなぜ起こったのでしょうか。何かきっかけがあったはず。次のepでそれがわかるかも。

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ブクマしてくださった読者様、ありがとうございます!!

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