表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生2257  作者: 自彊 やまず
第五章 図書館地下研究所編
89/131

第八十七話 裏切り者には何を与えるか➀

 不可視の弾丸はロータスの右腕を貫き、肉を円形に削り取る。


「ガッ!痛ぇ!んだこれ、わけわかんねー武器使いやがって」


 ロータスは地面に膝を付いて、血の出ている右手を咄嗟に抑えた。


「ハハハハハ。時代遅れの馬鹿ども。残念ながら俺らのアジトも、未来も、てめーらにはこれ以上見せねーよ!」


 アロンがロータスにゆっくり近づいていく。

 右手に如意棒、左手には空気砲が備えられており、首からはクロノス教団のネックレスが掛けられていた。


「ここで一旦ロータス(無能)を殺したいけど――」


 アロンがそう言ったところで、背後から声が聞こえる。


「待て……そうはさせない」


 見るとそこにはロランがいた。


「だろうな」


 アロンは空気銃を天に向けると、ロランへ向き直る。


 ロランは折れているであろう肋骨を庇ってはいるが、先ほどまでとは違い、目が青く光って犬歯が鋭く伸びていた。

 ロランが一歩踏み込んだ瞬間、アロンもそれに合わせて動いたつもりだった。


――が、気づくとロランの、獣化した右手の爪がアロンの首に食い込んでいる。


 アロンと獣化ロランだと、その力の差は歴然だったが、それでもアロンは余裕だった。


「おっと。不殺のオリバー班じゃなかったのか?初めてお前の獣化を見たかもな」


 それを聞いたロランがさらにアロンの首へ爪を食い込ませる。

 真っ赤な血が爪を伝って流れて来た。


「お前、まだ迷ってんだろ」


 アロンがそう言うとロランの力が少し弱まる。


「ウジウジウジウジ、何やってんだ。オリバー班が優しい奴ばっかで助かってんだろうが、そんなんじゃやってけないぜ。この世界は全部じゃんけんで決められるわけじゃない」


「分かってるさそんなこと……!」


「殺し合いで決めんだよ。それはお前が一番わかってるはずだ。実際、お前の元相棒も殺人鬼と化してんじゃねーか」


 ロランはその言葉に一瞬頷きかけたが、すんでのところでとどまる。


「ロラン君もそう思うよねェ……世の中じゃんけんでみんな決められらんねーのかな。だって暴力、嫌だよな」


 アロンがそう言った瞬間、空気砲がロランの方へ向けられた。

 ロランが咄嗟に対応するが、既に空気砲の先は、ロランの眉間ど真ん中へ当てられている。


 そしてアロンが弾を打ち出そうとした時、直前でロータスが左手で斧を投げた。

 さらにロータスが渾身の力で叫ぶ。


「アロン!武器を正確に投擲できんのは、カトレアだけじゃぁないぜ。さぁ来い!」


 アロンがすぐさま振り向いた時、投げられた戦斧はすでに目の前まで来ていた。


「テメェ!!!」


 アロンはそう言ってロータスに数発空気弾を撃ち込む。

 放たれた弾丸は暗闇の中を切り裂いてロータスを襲うが、ロータスには全く見えない。


 そのうちの二発がロータスの腹部へと当たった。


「ガハッ、ガ、ウゥッ」


 吐血するロータス。


 ロータスがその大きなダメージに嗚咽を持らすが、アロンの左前腕を斧が抉った。

 左肩からは大量の血が流れている。


「痛ってェェエエエエ!!!!」


 そして両者は再び睨み合って叫ぶ。


「「こんの野郎ォォォォォォォオオオ!!!」」


 アロンとロータス、互いの叫び声が図書館に響き渡った。


 二人が踏み込むと本棚が揺れ、空気が震える。


「テメェをぶちのめすまで、俺はくたばれねんだよ!!」


「やれるもんならやってみろ!!ロータス!!」


 アロンが再び空気弾を放つが、ロータスはそれを避けて本棚へと刺さった斧へと手を伸ばす。


「武器の回収が目的かよッ」


 アロンはすぐさま振り向くが、ロータスも斧を手に取り、そのまま体を回転させた。


 二人の間で如意棒と斧が交差し、金属音を立ててぶつかる。

 武器を間にして、彼らは互いの目を覗いた。


 恨みに、憎しみに、怒りに満ちた瞳の奥に、朽ち果てた友情の残骸を見る。


「友情ってのは脆いなァ?ロータス」


「そうだな。その点は俺も同意する――だがよ」


「……?」


「ヤンキーってのは仲間に優しく、敵に厳しい。俺を裏切る……その覚悟がテメェにあんのかオラ?」


「ギャハハハ!!お前が?俺を倒すつもりでいんのか?無理に決まってんだろ」


「そう思うか?なら、俺はこの戦いに勝てる――!!」


「やれるもんならやってみゃがれェェエエエエ!!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ