第83話 窮地に来る者は?
初めて乗る乗り物で、怖い乗り物は? と質問されれば……。
一位、納車直後のバイク……コケるからね
ニ位、離陸直前の飛行機……鉄の塊が飛ぶのかと……。
三位、バス。
そう、バスなのですよ。その地域で乗車方法も運賃の支払い方法も異なる。
まさに初見殺し!! ネットで可能な限り情報を集めてから乗らないと駄目。
乗ったとしても、キョドっては駄目。
まるで生活の足として毎日使ってますよ的なポーズが必用。
うん、怖いね。
新しい街でボクはその洗礼を見事クリアしてきましたけど。
さて、少しずつですが物語は進んでいますね。
多分。
「お前達は……ブルーシャークっ!!」
彼らはレッドスコルピオンのライバルである。と言っても、ライバルと思っているのはブルーシャーク側だけであり、レッドスコルピオン側は全く相手にしていなかった。
「はははっ!! 聖騎士に壊滅させられたのは本当らしいな。で、イーリッヒ、お前に破格の懸賞金が賭けられているぞ? どうだ? 俺の女になるなら命は助けてやる。懸賞金は生首さえ持っていけば十分なんだぜ?」
ブルーシャークの頭デジェルの品のない笑い声が洞窟内に響く。
イーリッヒは起死回生の作戦を考える。
まず彼らは初級から中級の水魔法を全員が使い熟す。
それだけでも脅威である。
戦いになれば五体満足で済むはずがない。
しかし、ここで交渉したところで、自分もあの少女も助かるはずがない。
きっと肉体的に精神的に追い詰めてから殺すつもりなのだから。
グッ!?
背中に強烈な痛みが!?
「おいおい、レッドスコルピオンの女頭イーリッヒ様が背後を取られるとは……どうしちまったんだ? そんな体たらくだから潰されちまうんだぜ?」
嫌だ……。
死にたくない。
まだ……あの少女を助けなければ……。
倒れそうになるところを髪の毛を鷲掴みにされ持ち上げられた。
「おい、デジェル様が女にしてくれると言っている。何故喜ばぬ?」
イーリッヒが答えないでいると背中に突き刺さったダガーを捻る。
「ぐぁっ!!」
まだイーリッヒがレッドスコルピオンの下っ端の頃、当時の頭に体内に爆弾を仕込まれた。
それはイーリッヒの心臓が停止すると起爆する古代魔導具だ。
イーリッヒは必死にこの場を切り抜ける策を考えたが何も無かった。
そして心の中で少女に「ごめんね」と謝罪した。
イーリッヒから涙が零れ落ちると、デジェルは更に大笑いした。
イーリッヒは、背中が引き裂かれる事を覚悟して振り返り、ダガーを突き刺していた男の首を斬り裂く、また右足を軸にして高速に回転し、デジェルの両脇にいる男二人に持っていた短剣を投擲する。
予想外の出来事に反応できない男たちの心臓に見事に突き刺さる。
素手で近づくイーリッヒに余裕の表情で迎え撃つ態勢を取るデジェル。
しかし、イーリッヒには背中に突き刺さるダガーがあった。
そのダガーを引き抜いて……。
ガクッと体の自由が奪われる。
「やっと麻痺毒が効き始めたか。流石イーリッヒだな。はははっはー!!」
倒れたイーリッヒの頭を踏みつけるデジェルは、このまま頭を潰してしまおうかと思案する。
◆
その頃、地上ではソフィアたちが聖騎士を相手に大立ち回りを演じていた。
「水魔法、濃霧!!」
ソフィアが聖騎士の視界を奪い、双子ドワーフが得意の戦法を披露する。
妹ララが敵の位置を特定し、兄のライズが米粒程度の氷の塊を超高速で打ち出す。
聖騎士の強固な鎧も貫通する威力だ。
しかし、聖騎士も馬鹿ではない。
魔法が飛来する角度を計算しながら、多勢の利を活かし、ソフィア達を徐々に囲み始める。
このままでは不味いと思いながらも、ソフィアたちには聖騎士の勢いと止める戦略も魔法もない。
そのとき霧のの中に、突如死神が出現した!?
その死神が持つ巨大な鎌は、一振りで聖騎士達を馬諸共恐るべき切れ味で真っ二つにする。




