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性奴隷がゆく  作者: きっと小春
プロローグ
72/153

第72話 ソフィアとアルベリット

 ソフィアは、強い足取りで大混乱が続き無法地帯となっている大都市バレッテェリアの崩れかけた門を通り過ぎた。その脳裏にはボレオでの悲しい過去が蘇る。


 突然冒険者ギルドから、冒険者たちを引き連れて帰って来たアンナ・ハーリンは、ケージの仲間だと言おう理由だけで、冒険者たちに私を殺させようとした。

 そのとき……私を庇おうとしたエデンが斬り伏せられてしまった。

 しかし、家事に邪魔な剣は部屋に置きっぱなしだったため、反撃すらできなかった。


「お姉ちゃんは、逃げて!!」


 小さなネムとアンは、その小さな体で……めいいっぱい両手を広げて、冒険者たちに立ち塞がった。

 この冒険者にもアンナにも話は通じないと、部屋に走って剣を持ち帰ってきたときには、ネムもアンも……首が斬り落とされていた。


「いやぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」


 ソフィアの水魔法が冒険者たちを吹き飛ばす。


「何で? 何でなの!! アンナ・ハーリン!!」

「知る必要はないわ。死になさい!!」


 増援の冒険者が部屋に雪崩込んできた。

 そのとき私の……泥まみれの冒険も……ここまでなんだなと、覚悟を決めた。

 でも、何で……こんなことに……。


 剣を床に落とし、目を閉じた……。


 《時が止まる》


 アルベリットの強力な術の一つが発動する。


 金色狐族のフォルセルドを調べている時、偶然見つけたアンナ・ハーリンに違和感を感じて、影からそっと監視を続けていた。

 アンナ・ハーリンがどのような愚行を犯そうとも手出しをするつもりはなかった。

 しかし、屋外からソフィアの魂に何か違和感を感じたアルベリットは、急遽ソフィアを救うことにしたのだ。


「個人を救うべき能力ではありませんが。しかし……この子を殺しては駄目な気がします。このアンナ・ハーリンは、やはり殺しておくべき女性である気がしますが、今ではないですね……。それよりも」


 アルベリットは、ソフィアを抱えて街の外に出た。

 これに使用した時間は33秒。

 止まった時の中では、世界の法則など関係ない、圧倒的なパフォーマンスを発揮できるのだ。

 なので広い街を一直線に恐るべき速さで駆け抜けてきたのだ。


「さて、33日もこの肉体の寿命が縮まってしまいました」


 お姫様抱っこされていたソフィアは、この状態に理解が追いついていない。

 ソフィアは同じくらいの年齢の女の子に助けられたのだ。


「あ、あの……」

「ごめんなさい。何も答えられません。どうぞ、剣とお金です。なるべく早くボレオから離れた方がいいですよ。神聖教会の冒険者ギルドには気を付けてくださいね」


 そう言って、ソフィアの前から走り去ってしまったのだ。


 その女の人から貰った剣は、大都市バレッテェリアに来るまでも何度も助けてくれたのだ。

 エデン(人族・8歳・♂)、ネム(人族・6歳・♀)、アン(人族・6歳・♀)を失った喪失感と、ケージに会いたいという願望を胸に、神聖教会と九尾主義、そして国から投入された騎士団の三つ巴の戦いが市街地で繰り返されボロボロになった街で、ケージの足取りを探すことにした。


「泣くのは……みんなを見付けた後ですね……」


 しかし、崩れた家の目の前にしゃがみ込んで、オイオイと泣く子どもたちを見ると、エデンたちの事を思い出してしまい、どうにもソフィアの涙はとめどなく流れ落ちていく。


 この戦いを引き起こしたのが、悪魔の手先であるケージであると……全く出鱈目な噂が流れているのだ。


 あのケージにこんなことが出来るはずがないではない。

 そんなことより、ケージには、このきらめき出した世界が本物だと証明してもらうのだから……。

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