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性奴隷がゆく  作者: きっと小春
プロローグ
71/153

第71話 スケール感が退職した

さてさて、風呂敷を広げる。やっちまったな俺。


何度か書き直そうと考えましたが、『主人公が明るく楽しく異世界で、ほのぼのと暮らす物語です』というコンセプトから一時的に離れて……?


くっ。勉強もしなければならないのに、仕事の疲れと家事の疲れのダブルパンチだぜ。


「ケージさん、みーつけた♥」


 シーリスくんが助けに来てくれた。


「ノディール達は?」

「うん? 外でアンナ・ハーリン達と戦ってるよ!」

「はぁ!?」


 何が何だか理解らないが、ヤバそうな気がする。

 焦る俺を横目に襲い掛かってくる盗賊をバッサ、バッサと斬り伏せるシーリスくん。


「ケージさん、ちゃんと約束守ってくださいね」

「えっ?」


 にっこりとしたシーリスくんの笑顔が……『エリス・サザーランド奪還手配書』での最後の記憶となる。


 ◆


 『ボレオ聖戦の真相』と『聖女奪還計画』について――


 ボレオの冒険者ギルドの受付嬢アンナ・ハーリンから魔導具で送られた手紙をテーブルに投げ捨てる。

 

 小都市リゼンダを任されている子爵であるアメジスト・ブルシュマンは、ケージの人柄について特に褒める点など何もない小者だと評価する。

 しかし、彼が『ボレオ聖戦』の生き残りで、神聖教会が目を付けているソシールエイラ・ディエール・ウルズ・ノディール……スレンダーキャット族の聖女候補を懐柔しているのも事実であり、現在進行している『エリス・サザーランド奪還手配書』の件も、彼の動き一つで世界の情勢が変わる可能性があるのだ。


 一連の事件について、アンナ・ハーリンも運に左右された部分は強い。しかし、対立つする三教会は聖女という軸を中心に抗争という方向へ舵を取っていくのだろう。


 ここ千年以上、神聖教会では七人の聖女が同時に現れることはなかった。

 そんな中、神聖教会では、神聖教会は人族のための教会であるべきという保守派と、聖女は人族以外にも現れている現実に目を向けるべきだという革新派に、真っ二つに分かれている。


 この状況の中で、まだ未発表の聖女が聖女として名を世に知らしめた状態で、ケージが二人の聖女をハーレム要員としていることが暴露されれば、七人の聖女を奪還すべく神聖教会が動き出すことは明白である。

 しかも、尻尾持ちこそ至高という九尾主義が、スレンダーキャットの聖女を人族に媚びへつらう姿は許容できるものではない。

 こちも動き出すだろう。


 しかし、ケージには、何故か……あのシーリスが付いている。

 アンナ・ハーリンの調べによれば、シーリスも一部『ボレオ聖戦』に加担したフシがあるというのだ。

 そう、シーリスはこの世界に現存する唯一の悪魔である可能性が高いのだ。


 そして、情勢は前日とは比べ物にならないほど、一気に変わっている――


 神聖教会・革新派の主要メンバーの一人……解析魔眼の持ち主アンナ・ハーリンは、手駒にしようとしていた性奴隷の暴走の火消しのため、自ら立ち上がり聖女奪還を掲げケージ討伐を冒険者ギルド、神聖教会の聖騎士に依頼した。

 より真実味をよそうため、シーリスが悪魔であることを公表したのだ。

 つまり悪魔シーリスの手先である性奴隷ケージにより、二人の聖女の命が危ないというシナリオである。


「全く、尻拭いどころか、まるで隠蔽工作ではないか」


 さらに停滞していたエリス・サザーランド奪還計画を、お気に入りのペチタとかいう冒険者を導入して討伐隊が到着する前に、ケージに聖女を懐柔させようとしている。


 その一方で、金色狐族のフォルセルドを神聖教会が幽閉している状態に憤りを感じていた九尾主義は、裏で奴隷商人を買収して、工作のエキスパートであるグレイトタートル族の双子であるジェームスとロバーツを本物の奴隷商人と入れ替え投入してきた事実も把握していた。


「これだけの事実を陳べた上で、ケージを助けて欲しいか……。変わったなアンナ……」

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