第62話 やっと半分、小都市リゼンダ
あの後、もう一度だけとノディールにキスをせがまれて、長い時間抱き合っていた。
人と上手に付き合えない辛さよりも、人と繋がり、想いを強く深く重く育てていく方が、よっぽど辛いんだなと初めて知った。
俺みたいな……この世界で言えば、性奴隷が誰かを選ぶなんて恐れ多い。
でも誰かと一緒にいたいし、誰とも離れたくない。
できれば全員と一緒が良いのだろうけど、それは俺の勝手な都合なのだろう。
ノディールの気持ちは複雑そうだけれど、「今は大丈夫にゃ」という言葉を信じるしかない。
ノディールと別れ部屋に戻ると、俺を待っていたシーリスくんと合流して、食堂に向かう。
くそっ。
隣を歩くシーリスくんが可愛く見える。
男の子に興奮するほど溜まってはないぞ!?
「ケージさん? どうしました?」
背の低いシーリスくんなので自然と上目遣いになる。
その表情や仕草も一流の可愛い系女子だ。
「な、な、な、何でも無いよ。はははっ」
《ふふっ。やはり夢の改ざんは効果覿面ですね》
シーリスは、ケージの夢に侵入して、自身の可愛い姿をガンガンアピールしていたのだ。
勿論、夢の中で最後までしてしまえば、現実世界においてケージはシーリスを心から愛してしまう。
しかし、シーリスは操作された愛ではなく、ケージ自らがシーリスの良さに気付き……。
《そう……。こ、告白して……欲しいのです♥》
シーリスは、いつものようにケージの腕に絡み付く。
護衛としていざというときに対応が遅れてしまうが、密着するメリットもあったりするのかな? などとぼーっと考える。
「離れるにゃ!!」
シーリスを無理やり離そうとするノディール。
それに参戦しながらもケージに密着しようとするロジーナ。
はっ!?
こ、これって……ハ、ハーレムじゃねぇ!?
俺は凄いことに気が付く。
し、しかし、異世界に来たからって、何の努力もなしに何故モテ期に入ったんだ?
ご主人様は俺の性技に惚れたのだろう。
しかし、こいつらには何もしてないぞ?
まぁ、多少色々あったが……。
◆
馬車旅は順調そのものだ。
亀Xは途中で何処かに行ってしまった。
まぁ、居なくなってせいせいしているが。
馬車馬を休ませるため、バレッテェリアのほぼ中間に位置する小都市リゼンダで1日の休憩となる。
馬を変えて早く行けよと思わなくもないが、この世界の人たちにとって1日など誤差にしか過ぎないのだろう。
それでも早く行きたいのならば、この街から出る馬車に乗り換えるか、そもそも乗り合いではなく、チャーター便のような馬車を使うべきだ。
俺としては、早く行っても……なぁ、って感じなのでどうでもいい。
「う〜ん……。このまま世界を旅するのも良いかもね」
「はい、はーい!! ケージさんが行きたいのなら、ボクも行きます!!」
「シーリスは帰れにゃ、ケージには私とロジーナが付いて行くにゃ」
「世界、一周、行く」
意外な程にノリノリだな。
でも、ご主人様とソフィアさん、それに元ストリートチルドレンの三人組エデン、ネム、アンを放ってはおけない。
「まぁ、任務に失敗したら考えるか」
俺は雲一つない青空を見上げて呟いた。




