第57話 考えてはいけないこと
1日目は何もなく終わり、宿場町の小さな宿屋の一室に四人で泊まることになった。
シーリスくんは男だけど、まだそういう状態にはならないらしいので、ノディールの許可が下りた。
そして、ベッドは2つ。
つまりノディール&ロジーナ組と、俺&シーリスくん組になった。
ノディールとロジーナには、ケージと一緒に寝たいという気持ちもあるが、どちらか一方しか寝れないのでお互いに気を使ったのと、どちらかがケージと寝れば、どちらかがシーリスと寝なければならないという状況を総合的に判断した結果なのだ。
ベッドに寝転んで俺はシーリスくんに確認した。
「バレッテェリアという大都市まで馬車で二週間てことはさ、まだエリス・サザーランドは、レッドスコルピオンのアジトに到着してないよね?」
「そうですね」と当たり前じゃないですかとばかりに平然と答えるシーリスくん。
冒険者ギルド、盗賊ギルド、それ以上の存在……。
誰かの書いたシナリオ通りに進めるのかと思うだけでため息が出てしまう。
「アジトに付く前に奪い返すにゃ?」
「同じよな速度で移動していますから、追いつくのは難しいですね」
出来ることならばノディールは、女盗賊と俺がエッチな関係を持って欲しくないのだろう。
ノディールの目覚めた力を利用して先行するにしても、エリス・サザーランドの顔も知らなければ、盗賊団が何処にいるかもわからないのだ。
二日目になると、馬車の旅は苦痛しかなくなる。
お尻が痛い、腰が痛い、首が痛い、揺れて酔う、暇すぎる。
その時間が余計なことを考えさせる。
自分がミニチュア・モンスター・メーカーで造られた事実について考えてしまうのだ。
まず異世界転生なのか異世界転移なのか、鏡を見ることが出来ない俺には判断がつかない。
当たり前のように見ていた自分の体なのだが、もしかしたら他人の体かも知れないと思うと見慣れた大事な息子の形も自分のだという気がしないのだ。
それよりもミニチュア・モンスター・メーカーで造られたなれば、自分の体じゃないのだろう。
もしも幼馴染の石原 ナオの記憶を元に作ったとしたら、外観は高校生だが、俺の息子は……ナオに見られたのは……小学生の時だから、可愛いゾウサンのはずだ。
俺の予想では、ミニチュア・モンスター・メーカーの保有者は幼馴染の石原 ナオではない。
ナオが契約した何者かだと思っている。
はっ!?
また終わりのない、答えの出ない、恐怖の問題に囚われてしまった。
不要になれば俺は、ミニチュア・モンスター・メーカーを解除していた。
ならば俺を作った何者かも、俺が不要になれば……。
ミニチュア・モンスター・メーカーで造られたものに命はあるのか?
解除されたら、それはどうなるのか?
嫌だ。まだ死にたくない!!
俺は今まで作ったミニチュア・モンスター・メーカーが、どんな気持ちで何を考えていたのか、造られて嬉しかったのか、解除される時悲しかったのか、にそんな気持ちを持ってさえいなかったのに、自分だけを特別扱いしてしまった。
でも……。
俺って、何でいるんだ?
何のために、何が理由でいるんだ?
俺を作った何者かの目的が達成されたら、俺は消されてしまう……。
俺を作った何者かしか知らない答えに、俺は恐怖を感じた。
無意識にロジーナの手を握る。
「巫山戯てるの?」
ロジーナは真実眼を使ったのだろう。
それ以上は何も言わなかった。
ただ優しく俺の手を握っていてくれたのだ。
本日はもう一話続きます。
朝7時くらいまでには……。




