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性奴隷がゆく  作者: きっと小春
プロローグ
56/153

第56話 初馬車、まさに異世界

 バレッテェリアまでの護衛をしてくれるシーリスくんが、元気いっぱいの笑顔で手を振りながら駆け寄って来た。


「ケージさん、おはようございます」


 シーリスくんは多分年下なのだけど、ソロの中級冒険者なのだ。

 格上に敬語を使われてもと思ったので、シーリスくんにタメ口で良いよと言ったのだが、周囲の眼があるからと言われてしまった。

 確かに実力があるからと言って、年上にタメ口ではシーリスくんの人間性が疑われる可能性もあるのだ。

 浅はかな考えだっと事を謝罪した。


「いやいやケージさんは、パーティーの事を考えて発言したのですから、謝らなくても……」


 どこまでも出来た男なのだ。

 ちょっと嫉妬した。


「バレッテェリアまでは乗り合いの馬車で移動しようと思います」


 乗り合いの馬車には冒険者ギルドから護衛が付くのだが、冒険者たちは依頼をボイコットしているんじゃないのか? 

 そんな疑問を考えていると、心を見透かしたようにシーリスくんが答える。


「全員がボイコットしている訳ではありません。現にボクは働いていますし。お金が欲しいパーティーにとって稼ぎどきです。しかし、ベテランであればあるほどボイコットする傾向があるため、護衛に来るパーティーは経験の浅い冒険者が多いですね。ちなみにボクはケージさんと寝泊まりできるか来ました♥」

「え!?」


 シーリスくんは、説明の間もスキンシップを忘れない。

 俺の体に自分の体を擦り付けてくるのだ。

 まぁ、中性的で年下なのだ。

 もしかして毛も生えていないぐらいの子供なので、そこは怒らずに放置している。

 しかし、ロジーナが妙に対抗意識を燃やして俺に小さな胸を押し当ててくるのは止めて欲しい。


 ほら、ノディールが指をポキポキとならして威嚇しているじゃないか。


 このパーティーの最大戦力であるシーリスくんが金庫番なので、どうにか彼を誘導してチケットを購入させる。

 10人乗りの馬車ではあるが、俺の隣に座れるのは当たり前だが二名までだ。

 つまり争奪戦が繰り広げられた。

 このバカどもは本気で戦おうとしていたので、俺は”ジャンケン”を提案した。

 俺の隣の権利を巡っているバカどもに、俺が提案するのものおかしな話なのだが。


「ボ、ボクが……負けた!?」


 予想以上に落ち込むシーリスくんを見て、俺は新たな提案をする。


「えっと……。馬車が止まったら交代で」

「ケ、ケージさん!? 貴方は神ですか!!」


 意味がわからないが、シーリスくんが元気になってよかった。


 初めて馬車に乗る俺とロジーナはワクワクしている。

 馬車の室内は、左右に長い硬い木の長椅子がある。

 その長椅子に座って丁度頭の部分が格子戸のようになっており、晴れているときは開かれているのだ。

 俺とロジーナは椅子の上に膝立ちになり、走っている馬車から流れる風景を楽しんでいた。


 いつも思うのだが、初めての経験は、異世界にいると改めて思わせてくれるよな。

 まぁ、帰る方法はおいおいさがすとするか……。

 

 だって……。


 ロジーナの顔がすぐ横にある。

 幼く可愛いロジーナはさらに目を輝かせていた。


 くそっ!!

 今頃になって息子が元気になってきやがった。


 ふと、ノディールと視線が合った。

 ノディールはロジーナを見て興奮している俺に気が付いていたのだろう。

 目が合ってすぐに視線を逸し、なんか悲しい顔をしている。

 最近のノディールは、少し乙女なところがあるのだ。

 ノディールの過去を知っている俺は、ノディールのこともしっかりと考えてあげねばと思った。


 俺は座り直して、ノディールの手に優しく触れ、恋人つなぎする。

 

 ノディール、ロジーナ、ソフィアさん、俺は誰と恋人になるのかわからないが、今はコレでいいと勝手に思った。

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