第51話 あっけない幕切れ、だってガチンコバトル系じゃないし
昨日業務以外で初めて会話した。
たった一言の会話だけど。
コロナだからか社風なのか、周囲を見ても無駄口は一切ない。
前の会社ではタバコを吸わなくても喫煙所で、ダラダラ長いくっちゃべることが多かった。
俺はあの現場では新人だが、なんなら一言も口をきかずに1日を終えるベテランさんもいるっぽい。
なんだかな〜。と思う。
さて、お化け屋敷編もなんだかな〜で決着しそうですね。
「ったく、本当に神言教の奴らは屑だコン」
金色狐族のフォルセルドが両手を離すと、首の骨を折られた神言教の信徒であるアルディアが、ドスンと地面に横たわった。
正気を失い注意力が散漫になっていたアルディアの背後に忍び寄るなど、造作もないことであった。
はぁ、とため息を突き、もう少し早く始末できていればと悪魔と戦う兎を見た。
ロジーナの周囲には金色に輝く猫耳型の結界が張り巡らされていた。
「にゃ……。初代ノディール様……。力の使い方が理解ったにゃ」
突然現れた結界に衝突して、次々と消滅していく分散された悪魔の欠片たち。
そして、残った欠片にノディールがダッシュで駆け寄った。
◆
一人でケージを想いながらイケないことをしていたシーリスは、目をカッと見開いた。
「馬鹿な、ボ、ボクの分身が消された!?」
シーリスの額から汗が流れ落ちた。
この絶対的な悪魔の力が返り討ちに合うなど、この世界に来たからはじめての出来事だった。
「はっ、たかが1/4だ……」
ならば3/4の状態で敵を討ちに行くか?
シーリスは悩む。
しかし……もしも、それで同等の力だったら……。
「傲慢だけど馬鹿じゃない。臆病と罵られても100%の状態で挑むべきだ。いいさ、ボクの負けだよ、でも……次は必ず勝つからね」
シーリスはベッドの中に潜り込む。
悔しくて、恥ずかしくて、情けなくて、大声で泣いた。
◆
瓦礫に腰を掛けていたアルベリットは、瘴気が薄まっていくのを感じた。
「結局、この魔法陣を起動して、幻想世界へ行く方法が理解りませんでしたね」
立ち上がったアルベリットは、大勢の何者かが近づいてくるのを予知して、その場を離れる。
もしかしたら、この魔法陣に関係した人物かも知れないと、アルベリットは近くの屋敷の屋根から観察することにした。
数分後、姿を見せたのは――
「ペチタ!!」
瘴気も薄まり、視界は良好である。
いや、例え瘴気に満ちていても感知があるのだ間違えるはずがない。
アルベリットは、鼓動が高鳴り拳に力が入る。
ペチタの横には、昔から変わらない、化粧の濃い筋肉ムキムキのグレディアもいた。
今すぐ、走り出してペチタに抱きしめてもらいたい。
そんな気持ちをグッと我慢する。
ペチタの目の前で、魔法陣が鈍い光を発した。
すると魔法陣から、スレンダーキャット族、ナガミミ兎族、そして金色狐族が出て来た。
アルベリットは、最後に出て来た金色狐族に注目する。
あの男が魔法陣を構築したに違いない。
アルベリットのターゲットが決まった。
ペチタの後を追いかけてきたのか、数十人という冒険者たちの団体が駆けつけてきた。
生存者の発見に歓声があがる。
状況の掴めないアルベリットから見ても、あのスレンダーキャット族には、何やら特別な力を感じた。




