第49話 ノディールの余裕は負けフラグ?
いやー。当たり前だけど、一人暮らしって何もかも自分でやるんですよね。
張り切って5時に起きてしまったら、時間が余りまくりです。
本当は勉強する予定なのですが、何か……そんな気分ではないのです。
「何がどーなったら、”帰る”って選択肢を捨てるコン!?」
瘴気の渦が、禍々しい何かに形作られて行く。
金色狐族の中年オヤジは青ざめる。
生命で言えば赤子同然のソレには、圧倒的な死をイメージさせる強い何かが潜んでいた。
アレは間違いなく――
”悪魔”だ!! いや、”死神”だ!!
神言教の信徒であるが、禁忌の大魔法まで使って殺しに来るってのは、どういう了見何だよ!?
金色狐族のフォルセルドは、一歩後退るが……「何処へ逃げりゃ良いんだコン」とその場に崩れ落ちる。
「ノディール姉っ!! 無理」
ナガミミ兎族であるロジーナも本能が死を悟らせ、絶望の恐怖に顔を歪ませる。
「愚かなる獣人共!! 貴様らは命もマナも何も神言教へ貢ぐことも出来ず、ただ消滅するのだ!! 生きていた意味さえ無く!!」
絶望に歪む獣人たちの表情が、アルディアには心底可笑しかった。
「はっはっは!! もっと怯えろ!! もっと……!?」
うん? 何だ?
スレンダーキャット族の女が、ナガミミ兎族の女の頭をポンポンと叩き、ニッコリと笑ったのである。
それは……獣人たちの恐怖と同じようにアルディアへ恐怖を与えた。
あの笑いは諦めなんかじゃない!?
コイツ……。
「ロジーナ、大丈夫にゃ。何か、勝てそうにゃ!!」
まだ形を成していない瘴気の塊に殴りかかるスレンダーキャット族をみて、内心もっと絶望的な攻撃を仕掛けてくると思っていたアルディアは、ほっとして……安心する。
「ば、馬鹿め!! 素手で悪魔が倒せるものか!!」
◆
《ケージくん!? ここは……冒険者ギルド!?》
『ノディールの記憶の街』の舞台は、見慣れた冒険者ギルドに姿を変えていた。
今回も俺達は透明人間らしい。
「わ、私が他種族だからか? スレンダーキャット族だからにゃ‥…か!?」
聞き慣れたノディールの声が冒険者ギルド内に木霊する。
うん? この場面って……。
《そうにゃ。ここまで話の流れを観てくれば、私にも理解るにゃ。ソシールエイラ様は貴方に導かれ、そして再び出会うために、この場所に来たのにゃ……まぁ、貴方の事は覚えていにゃいけど》
「ケージには、ノディールさんの警護および支援をお願いします。と言っても、一緒に初級クエストを受けるだけですが」
「ちょっと、話を勝手に進めないでにゃ…‥よ!!」
「いいえ、こちらにもこちらの事情がありますので」
ご主人様は、左手の手のひらを胸の前で上向きに広げると、右手を握り左手の掌の上に乗せた。
それを見たノディールさんは、ただでさえ大きな目を見開き、「わ、わかったにゃ……」と納得した。
《あ、あれって? 一体何の意味があるんだ?》




