第47話 黒幕と黒幕の邂逅
きのこの森で狩りを続けていたノディールとロジーナ。
しかし、全く手応えがない。
というか、獣人も動物も同じく敏感であるため原因は理解っていた。
遠くの方で何やら不気味な気配を発している者がいるため、森の動物たちは何処かへ逃げてしまっていたのだ。
「にゃ〜。迷惑にゃ〜。ぶっとばしてくるにゃ?」
「わかった。ぶっとばす」
自称、戦闘民族のノディールは、その気配に向って方向転換した。
「おんぶにゃ」
まだ病み上がりのロジーナを気遣って、ノディールはロジーナを背負った。
そして、ジャンプで高所のきのこの笠に飛び上がると、きのこの上をピョンピョンとジャンプで進んでいく。
聖女の力が覚醒し始めたためか、ノディールの細胞に保持するマナが急激に増大し始めていた。
つまり急激に戦闘能力を増しているのだ。
ノディールは、そんな事情を知らないため、ただ「体が軽いにゃ!!」としか認識していなかった。
「ぴょんぴょん、ぴょ〜ん!! ロジーナ凄いにゃ?」
「うん。ノディール姉、凄い。ケージのエロの半分くらいある」
「エ、エロ!?」
「あっ、待って! あそこに誰か隠れいる」
ロジーナは鑑定眼の力で、きのこと同化している怪しげな人物を発見した。
ノディールはロジーナが指差す方向へ大きくジャンプして、その対象の目の前に着地した。
「この匂いは……金色狐族にゃ?」
ノディールはファイティングポーズを取り、シュッ、シュッとシャドウボクシングを始めた。
「ノディール姉、戦う駄目」
「ま、ま、待ってくださいコン!?」
幻術を解除して、金色狐族の中年オヤジが姿を現した。
「敵なの?」
ロジーナが真実眼で問いただした。
「て、敵ではありません!! 私の幻術を見破ったのは観察眼、今は真実眼ですコン? 両眼魔眼とは……。それに、貴方様は……ソシールエイラ・ディエール・ウルズ・ノディール様であらせられまコン?」
「にゃ!? にゃんで……その名前を!?」
「いえいえ、そちらの少女が”ノディール”と呼ばれたので……。まさか消えた聖女様にお会い出来るなんて……。この上ない喜びですコン」
「にゃ!? いろいろ言っちゃ駄目にゃ!! そ、それより……何してるにゃ?」
「えぇ、実は……。ボレオという街で神言教が悪さを働こうとしてまして。それを妨害するために出向いたコン。さ、酒を飲みながら魔法陣に細工をしていて……。つい術式を描き間違えてしまったコン……。それで、この世界に飛ばされて、戻れずにいたのでコン。しかし、ほら、この先で神言教の信徒が、冒険者の生命を奪って出口を作ろうとしているコン。出口が出来たら……ちゃっかり一緒に出ちまおうって思いまして……コンコン」
「にゃ!? あの魔法陣、お前が描いたのにゃ!?」
「えぇ!? まさか……聖女様も巻き込んでしまっていましたコン!? 」
「それに何故冒険者を助けないのにゃ!?」
「な、何をおっしゃっているコン? 冒険者は全員、人族ですぞ? 死んでも問題ないコン!!」
「確かに…‥人族、嫌い。でも冒険者は仲間」
ロジーナは腕を組んで、難しい顔で悩む。
「ま、待ってくれコン。冒険者の命がなければ、この世界から戻れないコン?」
パキッと枝の折れる音がノディールの背後でした。
会話に夢中になっていて警戒を怠ってしまったのだ。
「おやおや、臭い獣同士、仲間割れですか? いや獣と会話は苦痛ですね。早速本題に入りましょう。貴方方も私のため命を差し出しなさい」




