第46話 なぞられた運命。それは神の意図なのか?
姿は不可視。
声は届かない。
幼女ノディールに触れることも出来ない。
ここはノディールの過去でもあるという。
つまりノディールは自殺なんてしないはず。だって俺と出会えたのだから。
それなのに、何だよ、何で……爪なんて出してるんだよ!?
スレンダーキャット族の武器の一つである爪。
ノディールが爪なんて出しているところ見たことがなかった。
あんなに鋭く剣のような爪なのか……。
ノディールは躊躇なく自分の腹を、その爪で斬りつけた!?
《おい!! ノディール!! 何してんだよ!! 止めろ!!》
血が壁や床に飛び散る!?
ノディールの顔が痛みに歪んだ。
「こんなんじゃ生きてる意味がないにゃ!!」
《生きることに意味なんて必要無いんだよ!! だた生きていればいいんだ!!》
またノディールは自分の腹を切り裂く、その傷は深く内蔵が顔を覗かせた。
「退屈だった毎日に奇跡が起きたんだにゃ……」
痛みに顔を歪ませながら、ノディールは天井を眺める。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん……。待っててくれているかにゃ……」
《ここにいるから!! 目の前にいるんだよ!!》
三度目、まるで切腹だ。
ノディールの内臓が腹からこぼれ落ちる!!
それをケージは両手で拾おうとしたが、手から零れ落ちるどころか触れることすら出来なかった。
《何だよ。俺と遊ばなければよかったのかよ!!! ずっと退屈のままでいれば、幸せなんて知らなければ……》
ノディールの呼吸が荒くなる。
「ハァ……。ハァ……。わ、私の宝物だよ……。ありがとう……」
《だめぇぇ!!! ノディールちゃん!!》
ナデアが絶叫する中、俺はノディールの振りかぶった手を止めようと立ち上がった。
《ミニチュア・モンスター・メーカー!! 力を!! ここで役に立てないんだったら、お前の意味なんてねーだろ!!》
残念ながら、そんな力はミニチュア・モンスター・メーカーにはない。
当然である。そんな能力ではないのだ。
しかし、理屈はわからないが奇跡的に”流れ”に逆らいケージは、その姿をノディールの前に現すことが出来た。
「お兄ちゃん……。なんで……」
「いいか、ノディール。生きろ。生きて、この村を出ろ!! そしてボレオという街を目指せ!! そこで待ってる。何度だって、幸せだと感じさせてやる。笑わせてやるさ。なぁ、だから生きてくれ!! また”カクレンボ”だって……」
「お兄ちゃん!!! 待って!! 生きるから!! 行かないでにゃ!!」
奇跡の時間は言葉を言い終わる前に消えた。
いや、奇跡は続く、ノディールの叫ぶ声を聞いた村の大人たちが駆けつけてきた!
ノディールの状態に驚きつつも、村に滞在していた優秀な治癒士を呼び、ノディールは九死に一生を得る。
ケージとナデアの視界が歪む。
また別のシーンへ飛ばされるのであろう。
号泣するナデアとケージは、久しぶりにお互いを抱きしめていた。
そこにはエロの感情など無い。
ただ壮絶なノディールの過去を観て、心の整理が追いついていないのだ。
『ノディールの記憶の街』から聖女の気配を感じた幽霊。
《あっ……また別件で……ノディール様が覚醒したにゃ!?》




