第43話 繰り返す命の中で
本日から一話ずつとなります。
「畜生!! この魔法を解除しろ!! 異端者めっ!!」
ケージたちと合同で掃除を行ったパーティーのリーダーである剣士のアンデルが、地面から伸びた影に縛られた状態で叫ぶ。
「異端者ですと!? この私が!? これはいけませんね……」
神言教の信徒であるアルディアは、アンデルを睨みながら話を続けた。
「これから貴方は、この異世界の壁を打ち破るための糧となれるのですよ。えぇ……それは真言教の信徒を救えるチャンスなんです。こんな素晴らしいチャンスは、貴方のような汚い冒険者に、二度と訪れないでしょう。本当に名誉なことなのですよ? 心から喜ぶべきです。理解して頂けましたか?」
アンデルの隣では、幼馴染のデジが空を向き大きな口を開けていた。
その口からは煙のようにマナが放出されていく。
鍛え抜かれたデジの筋肉は何処かへ行ってしまったように消え失せ、皮膚は干からび、骨が皮膚を突き破り……骨やら皮がボロボロと地面に落ちていく。
「デジ……。ごめん……デジ。こんな奴に付いて行くって言っちまったばかりに……」
アルディアは、冒険者たちから集めたマナの量に顔を顰めた。
「これだけの人数がいて……たったこれっぽっちですか。やはり神を冒涜する下賤な者たちには、神も力を授けることはないのでしょう。しかし、これではマナが足りませんね……」
◆
異界からの瘴気がボレオの街を蝕み始めたその夜。
瘴気の掻き分けながら、ボロボロの外套を纏った何者かが、問題の発生源である屋敷に向っていた。
ぶっちゃけてしまうと新キャラである。
アルベリット(人族・16歳・♀)だ。
彼女は、神々に呪われた忌子である。
輪廻転生という呪いをかけられ、とある目的を達成したら魂を消滅させるという約束を信じ、二十歳までという短い生涯を繰り返しながら、この世界を旅していた。
そう、ペチタが忘れられない想い人とは、このアルベリットのことなのである。
「この街には……ペチタがいるのですか。また随分と強くなったみたいですね。懐かしいです。しかし、もう……あんな約束は忘れてしまっているでしょうね」
アルベリットの索敵がペチタを捉えていた。
「しかし、瘴気が濃いですね。流石に厳しいかもです」
アルベリットは不老不死ではない。
あくまでも輪廻転生だ。
人族のアルベリットが、一人で世界を旅することが出来るようになる年齢は、そのときにの成長にもよるが凡そ10歳から14歳ぐらいだ。
つまり長くても10年短ければ6年しか旅をすることができない。
また旅が出来るほど成長する前に、殺されることも珍しくはない。
なので簡単に死ぬ訳にはいかないのだ。
また今回の成長は、過去四番目くらいに良い出来であり、本人も気に入っていた。
ちなみに瘴気からアルベリットを守っているのは己の力ではなく、道中で手に入れた魔道具であった。
アルベリットは、この瘴気の中から僅かに流れ出る、世界の異物であると思われる不思議なエネルギーを感知していた。
それはアルベリットが求める答えなのか理解らない。
ただ今回も手繰り寄せた糸が答えに繋がっていることを願っていた。
もうこんな辛い世界から消えて無くなりたいと祈りながら、中庭に入り、その屋敷へ足を踏み出していた。




