第42話 ノディールの忘れられない思い出
確かこの幽霊は、『初代ノディール様の記憶に代々ノディール様の力を受け継いだ者の記憶を継ぎ足した場所』、『この世界はソシールエイラ様の心と直結しておりますにゃ』と言っていた。
ここか過去なのか今なのか……。
でも、ノディールは幼女なんだよな。
「おい、ノディール」
道端で塞ぎ込んでいるノディールに声をかけた。
ノディールはゆっくりと顔をあげて俺を見る。
まるで死んだ魚のような目をしているノディール。
「お兄ちゃん、だぁれ? 知らない人にゃ……」
あのバカ猫の笑顔を思い出すと、いたたまれない気持ちになる。
「お兄ちゃんと、このお姉ちゃんの三人で遊ばない?」
「え……」
何かに驚いたようにまん丸の目を見開き、パァッと笑顔になる。
「うん! 遊ぶにゃ!!」
◆
体力を回復したロジーナは、またノディールに膝枕されながら寝てしまった。
今は、ちゃんと服を来た状態だ。
ノディールは不思議な気持ちになっていた。
「あの日、あの時、あの場所で……私は……ケージに出会っていた……にゃ? あり得ないにゃ。だったらケージは、もっとおじさんになってるはずにゃ。あれが街で一番の思い出にゃ。その後、王族の王位継承権の争いに巻き込まれた私は、小さな村に軟禁されることになったにゃ」
◆
街の公園でノディールと遊ぶ。
”カクレンボ”や”オニゴッコ”に夢中になる純粋なノディールはとても可愛く……儚い存在に見えた。
幼女のノディールは力いっぱい遊んだ。
日が沈み出してもこの楽しい瞬間を、一分一秒を胸に刻むように。
やがて城の近衛隊がノディールを連れ戻しに来た。
近衛兵の一人が一歩前に出て、左手の手のひらを胸の前で上向きに広げると、右手を握り左手の掌の上に乗せた。それを見た幼女ノディールは我儘一つ言わずに近衛隊に従った。
今のノディールならば力ずくで己の意思を突き通したはずなのに。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、また遊んで欲しいにゃ」
「うん。またおいで、待ってるよ」
「本当!? お姉ちゃん!! 約束にゃ!!」
嬉し涙を手で拭いながら、バイバイと手を振るノディール。
《この夜、ソシールエイラ様は、この街を逃げるように去ることになるのにゃ》
俺とナデアは、幽霊にそのときの記憶を頭に直接流し込まれた。
「何でだよ!!」
俺は掴めない幽霊を掴もうとしてしまった。
それほど気が動転していたのだ。
《公園で遊んだように流れとは関係ない干渉は可能にゃのですが、これは変えられない過去にゃのです!!》
「そんな……」
ナデアは顔を両手で覆って泣き出してしまった。
毎日3話投稿していましたが、いよいよ働かなくちゃならなくなったので、毎日1話に変更します。また職場でイジメられたり、仕事が覚えきれない場合は、心を休めたり勉強するため投稿しない場合があります。
くっ、あと80日は●●保険が残っているのに……。




