第35話 一般的な女性と向き合うには?
「いえ、多分、私達だけです」
「えっと……真っ暗だけど、何でわかるんの?」
「詳しくは言えませんが、周囲を調べることが出来るのです」
「なるほど。えっと……俺はケージ。ごめん、君の名前は?」
「ナデアです」
剣と盾を失った状態は不味い。
それにナデアさんに頼りすぎるのも危険だ。
こっそりと暗闇の中でミニチュア・モンスター・メーカーでケイブバットを創り出した。
『……』
よし、意思疎通は完璧、登場時のトークも無しだ。
このまま部屋の様子を音波で調べてもらった。
『生命反応ナシ』
『マナ反応ナシ』
『部屋ノ広サハ、幅10m、奥行キ30m、高サ4m』
『出口ハ正面ニ、アリ』
ナデアさんに聞こえないように、俺の耳元で囁くケイブバット。
ただでさえ手札の少ない俺なのだ。
ナデアさんも隠すなら同様に俺の能力を全て見せる訳にもいかない。
「あ、あの……ち、小さいですが、ま、魔物の反応が……」
あぁ、そうだった。
ナデアさんには調べる術があったんだ。
俺は素直にケイブバットを召喚したことを教える。
召喚もミニチュア・モンスター・メーカーも大差は無いが、一応召喚にしておいた。
「そうですか。ケージさんは、召喚士なんですね」
「……」
何か、会話が続かない。
別に無理して俺が盛り上げる必要もないがな! と強がりを言っておく。
「あのさ、ナデアさんは、幽霊とかに詳しい? 幽霊って魔法陣描いたりするの?」
「詳しくはないですが、魔法陣ですか……。相当上位の悪霊ならば使える可能性はありそうですが、そこまで強力な霊は、この屋敷にいないはずです」
「ありがとう……」
という事は、幽霊以外の何者かが、あの魔法陣を描いたのか?
それは俺達を狙うためなのか、防犯用なのか、今は判断が付かないな。
「あの……。気を悪くしないでくださいね。ケージさんは……その、性奴隷なんですよね?」
あぁ……。
そりゃ、そうだよね。
エロ真っ盛りの男と二人っきり何だもん。
心配だよね。
「うん、そうだよ。だから安心して、大丈夫だから。話しは変わるけど、こういう場合って、助けが来るまでジッとしておくべきなのか、頑張って自力で脱出するべきなのか、一般的にはどっちだと思う?」
「えっと……。遭難したら助けを待つのが良いと聞いたことがありますが、この場合は……どっちなんでしょうか?」
「では、ケイブバットに周囲を探らせてみるか」
ケイブバットを部屋の外に向かわせて、丁度部屋を出たぐらいのとき、「あれ? 気配が消えましたが?」とナデアさんが言った。
「いや、消えてはいないよ。ケイブバットは部屋を出たところだ」
そう言った次の瞬間、ケイブバットが何者かに殺された。
ミニチュア・モンスター・メーカーが殺されたのは始めてだ。
胸の奥の何かが削られたように苦しく、俺はその場に蹲った。
「だ、大丈夫ですか?」
「な、何かが……外にいる……」




