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性奴隷がゆく  作者: きっと小春
プロローグ
29/153

第29話 鏡の謎

「ば、馬鹿にゃ! ケージは馬鹿にゃ!! しっかりするにゃ!! 何処で取り憑かれたにゃ!?」


 俺の両肩を両手で掴んだノディールが、ガクンガクンと脳が揺れるほど前後に揺さぶる。

 

「待って、ノディール姉。ケージは……」


 この中で異世界から来た事を知っているロジーナは、俺が鏡のことを知らないのも無理はないという結論に至ったのか、一人冷静さを取り戻す。


「ケージが、ケージが……どうするにゃ!!」


 バカ猫が涙目でかなり動揺している。

 エデン、ネム、アンの三人は、ソフィアさんの背後に隠れてしまう。

 そんなにヤバイ発言だったか!?


「アンナさんに知らせた方が良いかも知れませんね。でもその前に」


 ソフィアさんが水魔法を発動させる!?

 俺は咄嗟に逃げるが、ソフィアさんが創り出した水の輪っかに縛られて身動きができなくなってしまった。

 更に口も……水で塞がれてしまう。


「ノディールちゃん、今すぐ、冒険者ギルドに行ってアンナさんに、この事態を知らせて来て」

「わ、わかったにゃ!!」


 弾丸のように吹っ飛んでいったノディール。

 俺は助けを求めるようにロジーナを見るが、ロジーナは静かに首を横に振った。




 しばらくすると、ノディールが、元・ご主人様アンナ・ハーリンとペチタさんを連れて戻ってきた。


「ソフィア、水魔法を解除して。それと、ペチタと私以外は、この部屋から出ていくように」


 水魔法が解除され、ソフィアさん達が出ていくのを確認して俺は口を開く。


「一体、何なんですか? 鏡ってそんなにヤバイのですか?」

「そうね。教えてなかった私が悪かったわね。この世界での鏡は、魔界の扉を意味するのよ。つまり鏡を欲するものは、悪魔に魅入られた者であり異端者の証。三教、つまり神言教、神聖教会、九尾主義の敵を意味するの。鏡は決して口に出してはいけない単語なのよ。わかったかしら?」

「はい……」

「お前からしたらノディールは化け物じみた強さを持っていると言っていたが、悪魔は桁違いだ。この世界から悪魔を根絶させるために、どれだけの犠牲を払ったか……。あぁ、言っておくが、悪魔の軍団ではないぞ。たった三体の悪魔に世界が滅ぼされそうになった」


 ペチタさんは拳を握りしめた。

 恐らく、ペチタさんの大事な人が悪魔との戦いで亡くなったのだろう。


「だから、装飾品でもなるべく顔が映らぬように工夫されている。それと、自分の顔が映るものがあっても、それをマジマジと見つめてはならぬ。良いな」

「ペチタの言う通りよ。ソフィアたちには、ペチタがケージに取り付いた小悪魔を退治したと言っておくから」

「ありがとうございます」


 俺はまた一つ、この世界の異常な常識を知ってしまった。

 しかし、これでは俺の肉体が、佐藤 慶次の肉体か別の性奴隷の肉体か判断できないじゃないか!?


 居間に戻ってきたノディールは泣きながら俺に抱き付く。


「良かったにゃ!!」


 こんなに心配してもらえるなんて正直嬉しいぞ!!


 ロジーナは冷たい視線で俺たちを睨む。

 あれ? もしかして、ロジーナ……嫉妬しているか? 


「問題ないならギルド行く。クエストの時間無くなる」


 ロジーナに腕を引っ張られる俺を、ペチタさんと元ご主人様は微笑ましく見ていた。


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