第19話 小さなうさ耳は恩人を助けたい
少し時間は遡る。
私はロジーナ。ナガミミ兎族の10歳で♀だ。
変化・鑑定眼・真実眼・解錠などが得意。
今は犯罪奴隷としてご主人様であるアンナ・ハーリン様に仕えている。
『ロジーナ? 私の寝室まで来て』
早朝、まだ薄暗い時間だけど、ご主人様から『脳伝』により呼び出された。
普通、奴隷とご主人様の関係なら『脳伝』は当たり前のように使えるはずなんだけど、ケージは使えないらしい。
ご主人様の寝室に入ると、ケージやご主人様の汗や……あんな匂いが充満していて、頭がクラクラする。
ケージは既にベッドメイキングもしないで、ペチタさんとの訓練に出かけてしまったらしい。
というか遅刻っぽい。
祝日なのに頑張ってるなと思った。
「ロジーナ、これを飲みなさい」
ご主人様から渡された瓶は、盗賊が殺害に使う毒の瓶に似ていた。
ご主人様に死ねと言われても、奴隷は逆らうことが出来ない。
あれ? 私、ご主人様に殺されるような事したかな?
「ふふっ、安心して。それは毒じゃないわ。貴方の鑑定眼を一時的に強化する魔法の薬よ」
「何で? あ、ごめんなさい。何でそれを飲むのでしょうか?」
ご主人様は、ケージが弱い秘密を教えてくれた。
ケージは別の世界から来た男の子。
その世界には魔法が無く、魔法が無いから体にマナが宿っていない。
マナがないから弱いのだと。
ケージの体にマナを宿らせるため、いろいろと試していると。
「でも魔物召喚できる」
「あれはチート能力という異世界から来た際に贈られる恩恵なの。だからマナが無くても発動できるのよ」
「ケージにマナは無い。だけど何で薬飲む?」
敬語は苦手だ。敬語なんて使ってられない。
怒られるかも知れないけど、早く理由を知りたいのだ。
「鑑定眼の力で、ケージに残された時間を調べたいの……」
声が出なかった。
残された時間?
ケ、ケージ、死んじゃうの?
そのとき感じた。
仲間としてケージは頼もしいと言うか信頼できる。
でも友達とか家族としては、何だが変態すぎて好きになれなかった。
でも死んじゃうかもと思ったら、急に……胸が締め付けられるように苦しくなった。
そうか、ご主人様の性奴隷で、ソフィア姉の体を舐め回すように見て、ノディール姉と楽しそうにじゃれ合って……。
私とは何だか距離感があって、それは私が避けていたからで、避けていて理由は、嫉妬だったのか……。
私、馬鹿みたい。
もっとソフィア姉のように見て欲しい。
ノディール姉と同じように触れ合いたい。
できれば……ご主人様と同じように……。
はぁ……。熱いため息が出る。
「飲む、ケージを助けたい」
グビッ! グビッ! グビッ!
まるで犬の糞のような味だ。
食べたことあるかって?
何度もあるよ、無理やり盗賊ギルドの大人たちに……。
「ケージ……」
「待って。そんな顔じゃ、ケージに疑われるわ」
ご主人様はベッドに座ると手を差し伸べた。
私はその手を取ってベッドに上がる。
ご主人様とケージがビチョビチョに濡らしたシーツの上で横になる。
ご主人様は、私の乙女の秘所を確認するように……。
って、ちょっと大人になった気分で、ご主人様の寝室を出て、自分の部屋で濡れてしまった服や下着を着替える。
タンクトップに丈が極限まで短いスカートで武装する。
これはご主人様から頂いた専用コーデだ。
「待っててケージ、絶対に助けるから」
はぁ、と深呼吸して居間に入る。
そして、ソフィア姉に釘付けになっているケージの太ももに上がった。




