第17話 駄目な男は意外とモテる気がする
ノディールが木の棒で、水面に浮かぶキングイエローバタフライの遺体を岸に引き上げた。
「おぉ! みてみて、我がパーティー初討伐・初成功にゃ!!」
「ロジーナ凄かったな!!」
俺はナガミミごとロジーナの頭をワシワシと撫でる。
ロジーナは余程嬉しかったのか、何も言わずなされるがままになっていた。
しかし、何だよ!? その一撃必殺みたいなスペックは?
狡いぞ!!
この世界っておかしいぞ?
それともロジーナが異常なのか?
「魔石取るにゃ!」
ノディールは素手でキングイエローバタフライの胸の部分を引き裂き魔石を取り出す。
その余りにもスプラッターな衝撃シーンを見て、俺の朝食が胃から逆流する。
「な、汚いにゃ!?」
「男なのに情けない。本当にエロしか取り柄がない」
マグロの解体ショーだって食欲を失くす俺だぞ?
そんなものを見せられて平然と出来る日本人などいるわけがない!!
「さて、お主らの腕前が見れて安心した。また釣りを再会するでの。静かにしておくれ」
「わかったにゃ、ケージは、その遺体のと自分の汚物を埋める穴を掘るにゃ」
ミニチュア・モンスター・メーカーでストーンゴーレムが創作する。
いつもは左手だけで作るのだが、今回は両手で力を込めて作った。
なのでいつもよりも大きめな魔物になる。
と言っても20cmぐらいだけど。
俺はストーンゴーレムに穴掘りと、遺体&汚物の処理を命じた。
木陰に戻ると、ロジーナに魔石の価値を聞いてみた。
「魔石保持する魔力は低いけど、コレクター的にはそこそこ珍しい魔石。売る場所を間違えなければ、ちょっとした収入になる。って、そんなことも知らない?」
ロジーナは不思議そうな顔で俺を見る。
「そ、育った環境が特殊だったからな。これからも、いろいろ教えてくれ」
「あ、う、うん。わかった。それと、ごめん」
ロジーナは心がとても綺麗だ。
相手を傷付けてしまうことを恐れている。
それが長所でもあり短所でもある。
「あのさ、いつか、いつかだけど。ケージを性奴隷から解放する」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか!! と言っても、性奴隷に苦痛を感じていないのだが……。
「ありがとう。でも無理するなよ。ロジーナ、自己犠牲禁止だからな」
「うん。今、楽しいから生きていたい」
そうだよな。楽しいと生きていたいんだ。
それを手に入れるのは簡単だけど難しい。
俺もこの世界に来てみんなと出会えてからずっと楽しい。
いつ死んでもいいとは思えなくなった。
この日の成果は、魚釣り支援の成功!
キングイエローバタフライの魔石×4個となった。
しかし、報告に行くと、やっぱりご主人様に怒られた。
「ケージ。依頼内容に誤りがあったら依頼は中止よ。これは鉄則なんだから。全く、また怪我でもしたらどうするつもりなの!?」
夕暮れ時、冒険者ギルドが混み合う時間帯だ。
その受付カウンターの正面で正座させられている俺、受付窓口が一つ減った状態であるため一層混み合う冒険者ギルド。
しかし、アンナ・ハーリンに逆らう者は誰もいない。
「本当に申し訳ございません!!」心の中で、ご主人様ではなく、待たされた冒険者のみなさんに向けて誤っていた。




