第16話 ロジーナの覚醒とそれ隠せよ
「待て、俺は反対だ。魔物と戦えるのはお前だで、俺とロジーナは……」
「だから後方支援にゃ。池から離れて、ロジーナは弓で、ケージは召喚した魔物で戦うにゃ」
これで怪我したらご主人様に怒られちまうんだが……。
しかし、じいさんのばあさんへの愛に手助けしてやりたい。
それにじいさんからのヒアリングによると出現する魔物は、キングイエローバタフライの一種類だけらしいし、この個体は集団で襲ってこないからノディールだけでも十分だろう。
「わかった。ロジーナ下がるぞ」
池から魔物が出てくるため、池の近くで釣りをする依頼主のずっと後方まで下がる。
護るべき依頼者の背後にいるって変な気分だな。
でも、木陰の下でまったりだぜ!!
ちなみに、池の大きさは直径100mと意外に大きく、透明度は1mもなく濁っている。
ミニチュア・モンスター・メーカーで、キラービーを創り出す。
デフォルメされたフォルムでも凶暴さが滲み出ている。
うん、強そうだ。
俺は左手に乗ったキラービーを空に放つ。
『池上空カラ監視シマスワ』
ミニチュア・モンスター・メーカーで魔物を創り出してしまえば、俺のすることも出来ることもない。
後は、ほのぼのした風景の中、じいさんが釣りをしている姿を眺めているだけだ。
隣のロジーナは、携帯用のボウガンを展開し組み立てていた。
その表情からは少し緊張した感情が見受けられた。
いや完全にナガミミがしなしなになっている。
「大丈夫だ。ソフィアさんと訓練したんだろ?」
「沢山した。でも実践は初めて。あのおじいさんの後頭部を撃ち抜かないか心配……」
「お、おい……。それはやめてくれよ……。暗殺ギルドからお声がかかっちまう」
ロジーナの緊張をほぐすため胸なんかを揉めれば良いのだが、性奴隷の制約で難しい。「きゃーなにするのー」からの「なっ、肩の力抜けただろ?」的なあれだ。
「はぁーっ。ケージが羨ましい。エロいことばかり考えてても、なんだかんだで上手くいってる」
「おい。俺の心を読んだのか?」
「そんなことする必要はない。顔がエロまみれ。10歳の女の子を相手に、その顔ができるなんて、やっぱりケージお兄様と呼ぶに相応しい」
仲間として信頼されているが、友人としては最低ランク。
それが俺に対するロジーナの評価なのだろう。
「でも、変態に少しムカついてきたら……どうでもよくなって、緊張感が消えた。ありがとう」
「さ、作戦、通りだ!? ははっはっ!!」
取り敢えず笑っておけ、俺。ロジーナの冷たい視線に耐えきれず、じいさんたちを見る。
ほのぼのと釣りをしているじいさんの隣でぼーっと池を見ているノディールが見えた。
キラービーからの報告もない。
そして、ほとぼりが冷めたと勝手に判断して、ロジーナに視線を戻す。
ロジーナは木に背中を預け座り直すと、少し息を吐きボウガンを構える。
ロジーナの周囲の空気が変わった。
まるで獣が狩りをするときのような凄い集中力だ。と言っても、ロジーナって兎だよな。
これが狼とかだったら格好いいんだけど……。
ロジーナの隣りに座る俺。
タンクトップの脇の隙間からノーブラ娘の……見えてしまっている!?
見えて駄目だ!!
もしかしたら、ロジーナの罠かも知れんぞ!?
でも素っ裸よりも、チラ見で見れるときの破壊力の高さに俺は完敗した。
あぁ、いいさ、その罠、俺が正面突破してやろう!!
『キタ!!』
キラービーの報告と同時に池の水面から、幅6m程の黄色い蝶が飛び上がる!?
ノディールがじいさんの前に立ちはだかり、キラービーが急降下でお尻の針で攻撃を仕掛けた。
しかし、それよりも早くロジーナの放った矢が、キングイエローバタフライの頭部に突き刺さった。




