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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
イスー連続少女殺人事件編
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第二十一話 これ割れないのよぉ~!

第二十一話 これ割れないのよぉ~!



BAR 穴から出て移動を始めた俺はリリィに話しかける。


(店の中では静かだったな?)


(あそこは私、入れないのよ。そもそも入りたくないしね)


(入れない?)


(ええ、私の居ていい場所ではないしね。そもそもノアちゃんも自由に出入り出来るわけじゃないでしょ~?)


確かに、あの店は突然現れ突然消えるからな。そういう物だと言われるとそういう風に理解するしかないな。


(なぁ、この世界に "大いなる災い" は存在すると思うか?)


(なぁに~?急に変な話しちゃって。そっか~あの女、話しちゃったんだ。さぁ、どうなんだろうねぇ~分からないわ)


リリィの奴、店に入れないないのに何故、女だってわかったんだ?やはり何か関わりがあるという事か?


(そうか。しかし、よく考えたら そもそも "大いなる災い" がどんなものかも実はよく知らないんだよな)


(そりゃそうよ~。そもそも、神ですらあなた方は理解しきれないのに、それと同等か、それ以上の存在の理解は出来ないでしょうね~)


(そんなもんか)


(そんなもんよ。で、これからどこ行くの?)


(クリスティアの所さ)


(なに~ノアちゃんも好きねぇ)


(成り行きとはいえ、あの子の義姉だからな)


(義姉ねぇ~。そういえば地球でもディサイプル達からかなりなつかれてたわね)


(まぁ、マスターってのはそんなもんじゃないのか?)


(どうかしら~。二番目のタカシちゃんなんて親父って呼んでなかったかしら?)


(ああ、だけど大概、親父の前に "クソ" がついたけどな)


(でも、そっか~。ふふふ~)


(なんだよ)


(いや、なんだか感慨深いなぁ~って。姉・・・の様にノアちゃんを見て来たけれど、あなたに妹やら子供の様な存在が沢山できてるなんてね~)


(姉の様にって、別に向こうじゃリリィとは大した接点なかっただろ?)


(ええーそうね。って、そうじゃなく向こうで伊達に "マザー" って呼ばれてたわけじゃないのよ。そこに存在してなくても私は視えてるの!)


(へいへい、そうでございますかー)


そんな少し懐かしい話をしているうちに冒険者ギルドにたどり着く。

特に何があるってわけじゃないけれど、どうにも様子を見ておきたかった。

案の定、今日の今日なので何があるわけじゃなく、クリスティアは静かに寝ている。あるいは寝かされているのか?よくわからないけどな。


(早く良くなるといいわね)


(そうだな)


暫く見つめているとリリィが話しかけてくる。


(ホントに好きねぇ。もしかしてホレちゃった?)


(別にそういうわけではないけどな)


「それじゃ。クリスティア、また明日ね」


リリィが煩いのでこの辺で切り上げて宿屋に帰るとする。日が暮れだした街をぬけ宿屋で飯を食べて部屋に戻る。

そうだ、忘れずにもらった木箱開けよう。一体何だろうか?


(な~に?これは)


(何か必要になるものだそうだ)


(ははぁ~ん。あの女が寄越したのね)


なんだ?リリィの奴、やっぱりあの女将と仲悪いのか?

まぁそれはいいか、開けるとしよう。箱を開けようとするがガッチリ釘で止められている。バールでもあればいいが生憎そんなものはない。

そう言えば破壊不能とかはついてなかったな。ならぶった切ってしまうか。その方が速そうだ。

ポシェットから "光切兼忠" を取り出すと蓋の厚み分だけ真横に切り落とす。大量の梱包材の中から出てきたものは卵であった。

高さ40センチくらいだろうか?鶏の卵の様な楕円型だ。


(卵?)


(卵だねぇ~・・・ん?これは・・・?)


(どうした?)


(これさぁ~。生きてないわよ?)


(え?じゃー料理の材料か的な何かか?)


(う~ん?違うわね。これは何故かしらないけれども、物理的に化学反応は繰り返しているけど、魂がないわね)


(魂がない?なんだか生きているっていう定義の問題か?よく分からんが、どうするんだコレ?)


(むぅ・・・あの女からってのが気に喰わないけれど、今はこれしかないわね)


(うん?・・・あー、つまりこれはリリィ用の体って事なのか?)


(そんなところね。生きているのに魂がない、完璧ね。これの出所があの女じゃなければよかったのに・・・まぁワガママいってもしかたないわね。この中に入るわ)


(え?あ、おい)


それから少しして卵がふんわりと光ると3秒ほどで元の卵に戻った。


(おーーい、大丈夫か―?)


反応がない。大丈夫かね?とりあえず暫く待ってみる事にしよう。

すると5分くらいしただろうか?卵がコトコト動き出す。今の所、箱に入っていた卵を安定して立たせておくドーナツ型の輪っかの上に置いてあるから倒れる事はなさそうだが・・・。


(この!このっ!なんで!こんなに!卵の殻がが硬いのよ~。ちょっとノアちゃん、いるなら卵割るの手伝って!)


(手伝うって・・・地面に卵を叩きつければいいか?)


(えっ?え?それは止めて!なんかやばそう!)


(じゃーハンマーで叩くか?)


(え?それもちょっとヤバくない?)


(ふーむ・・・わかった)


(え?え?何がわかったの~??)


(私の腕を信じろ。信じる者は救われるっていうだろ?)


(え?やめて、なんかすごい嫌な予感しかしないわよぅ~!)


(失敗したらごめんな)


(ええ~~~~!!や~め~て~!!)


私はリリィの叫びを無視して再度 "光切兼忠" を抜く。

卵に向かってやや斜めの正眼で構えると、卵の横を何度か角度を変えてすり抜ける。


「っふ、また、つまらぬものを切ってしまったわ」


そう言い終わると同時に納刀をする。


(ねぇ、あたし生きてる?生きてるわよね?)


そう言うと卵がパッカリと上半分だけが真っ直ぐに浮かぶ。


(うまくいっただろ?)


そう言って、綺麗に切り取られた殻の上半分を取ると可愛らしい青い飛竜の子供の顔と長い首が現れる。


(失敗してたらどーすんの?あたしの首と体がおさらばするとこだったわよ!)


(あーもっと深く切り込むべきだったかなぁー)


(ちょ、おま!)


(で?中々に可愛らしい姿になったな)


(う~ん。飛竜だね~。まぁいいかー飛べるし、魔法つかえそうだし、見た目も悪くないしね~)


(そうだな、スライムやアンデッドの卵でなくてよかったな)


(スライムやアンデッドは卵では増えないわよ~)


リリィは気合で飛ぼうとしたが、上手く飛べず人の頭の上に落ちて来た。


(生まれたばかりで身体はまだ上手く動かないんじゃないか?)


(そうねぇ・・・当分はこれで移動させて)


(いや、頭に飛竜乗せてる絵面とかただのギャグだから、せめて肩とかにしがみついとけ)


(はぁ~い)


(じゃーそろそろ教えてもらおうか?)


(え~何々?)


(何々じゃねぇ!体を手に入れたんだ色々話してもらおうか!言わないなら体を手に入れた意味をよく理解してもらおうかねぇ)


そう言うと "光切兼忠" で床に鞘の先を威圧するように音を立てながら床を一回叩く。


(うぅ~言わなきゃだめぇ~?)


(ダメだ!)


(はぁ~い。そうねぇ~私の事なら言っても大丈夫そうかなぁ。たしか、ノアちゃん僅かとはいえ、一度地球側の全知を覗いてるものね。でも最後聞いたら戻れないわよ?)


(どちらにしろ、もう戻れないさ)


それから私はリリィから衝撃の真実を告げられるのだった。






次回 第二十二話 次世代人類創造計画

どうぞよろしく。

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