第二十二話 次世代人類創造計画
第二十二話 次世代人類創造計画
リリィの話は想像を超えるものだった。
全てはリリィの誕生に基づく話であったが、それは地球の人類そのもの関わる話であった。
彼女の本当の名は "リリス" 。その存在はあながち聖書も嘘ではないという内容である。
彼女は、私達の言う神と呼ばれる存在によって創造された。次世代人類のプロトタイプとして。
その頃の人類は、既に自然の中で進化を進めていて人の姿をしていた。いや、ほぼほぼ私達と同じ人間であった。
そして一部の人類は神々の僕として、兵士として、自然進化の一線を超えた存在に変えられ存在もしていた。
だが、あの "大いなる災い" との戦いで疲弊した地球を管理、復興させる、という領域にはまだいなかった。
そこで新たなる次世代人類創造計画として、"神造人間・リリス" がまず創造された。
しかしプロトタイプとして高い性能をもったリリスは、選ばれた旧人類 "アダム達" との折り合いがつかず、最終的に再調整された量産可能な "イヴ" にとって替えられた。
イヴは最終的に9人が創造され、そのうち8人が現代地球人の母となった。
地球の現代人をDNA解析すると、8人の女性のいずれかのDNAにたどり着くというミトコンドリア・イヴ。まさにその8人こそがその時、創造された "イヴ" である。
そしてイヴにより新たなる人類が繁栄を始めた事により、役目を終えたリリスは精神と肉体を分離させられこちらに来たという。
(なるほど。それでは向こうにいたリリィは、何者だ?)
(アレは私の片割れよ。世界の移動には神とはいえ行き来するのにそれなりのリスクを背負うの。だから私が一つの存在としながら両方の世界に存在して監視できるように造り替えられたのよ)
(連絡要員でもあり、双方の監視を同時にする為か。リリィもなんだかんだで神にパシられてるって事か)
(そうよ~まぁその為に造られたのだから仕方ない事なのだけれどね~)
(だが、良かったのか?肉体を得て俺なんかに勝手についてきて)
(それは構わないわ~。それくらいさせてもらわないと割にあわないし、何より今の仕事は貴方のサポート及び監視なのよ~)
(監視も兼ねてるのか)
(そ、ぶっちゃけちゃったけどね。だから言えない事も色々あるのよ~。そして敢えて言うわ。肉体を得た今の私は、そのなんでも切れる "光切兼忠" なら精神体ごと私を殺せるわ)
(なっ・・・)
(そうならない事を祈ってるけどね。でもね、どうしてもって言うならあなたにはその権利があると私は思ってる。その後どうなるかは知らないけれどね~)
(そうか・・・)
(分かってもらえたなら、それでいいわよ~)
話を聞けば聞くほど重くなってくるな。全く、どこがバケーションだよ。完全にハメられてるじゃないか。
(なぁ、リリィ。私は何の為にここに来させられたんだろうな?)
(さぁ、それは本当に分からないわね。神ですらどうにもならない "大いなる災い" を人間が倒せるわけないしねぇ。まぁ眷属くらいなら倒せるだろうけど、でも戦わせるつもりなら共有の能力はあった方がいいでしょうしね)
(はぁ・・・)
(神の考えなんてどーせ理解出来ないから、人間、今出来る事を片付けるだけよ~)
(そうだな)
(さ、寝ましょ。夜更かしはお肌に悪いわよ~)
(そうだな。それじゃ寝るか、お休み)
会話を切り上げてベッドに潜り込むと何故か一緒にリリィがブランケットと私の胸の中に入り込んで来ようとする。
(おい!)
(いいじゃないの~。減るもんじゃないし)
(朝起きたらペシャンコになってても知らないからな)
(大丈夫、大丈夫)
何が大丈夫だというのか?
その夜は大変だった。潰さない様に気になってしまうし、子供とは言え竜なので、角やら皮がトンがっている部分が胸に刺さるし。
明日からはコイツ用の籠でも買ってきてそこで寝かせることを確実に決めた。
翌日、頭にリリィが乗っかっていた事以外は、いつもと変わらないルーチンで朝食を食べる。
何故か私が頭にリリィを乗せて食事をする姿を見ても宿屋の女将は特に文句は言ってこなかった。
むしろリリィの分の食事がいるか聞いてきたくらいだ。
どうやらリリィの体は竜種とはいえ飛竜なので高速で飛ぶことが基本生活らしく身体は細長く軽量。
その為、他の竜種に比べてそこまで大量の食事量はいらないようだ。
とりあえず、タンパク質メインで後は人間と同じ食事をすればいいらしい。そんな分けで私と同じ食事を少し貰った。
朝食を済ませた私たちは、冒険者ギルドにとりあえず向かう。
時折、リリィがバランスが悪くなってくるのか私の頭をモソモソと動こうとすると飛竜の鋭い爪が頭に刺さって私とケンカになる。
しかも、乗ってるっていっても、殆どうつ伏せにへばりついている感じだ。
まぁ何故か直ぐに仲直りというか、なんというか、いつもの平常運転に戻るのだが。
しかし、頭に飛竜を乗せてる人間とか目立ち度が半端ない。ただでさえ黒髪で目立っているのに。
そんなこんなで悪目立ちしながらも冒険者ギルドにたどり着く。
いつものルートで部屋に行きクリスティアの様子を見ると、眼だけ起きていた。
クリスティアの顔を覗くと頭に乗っかっているリリィを不思議そうに見つめていた。
とりあえず、殺人鬼の事の顛末を伝え、リリィの事も話した。
まぁリリィに関しては本当の事は言えないので、拾った卵を持ち帰ったら突然孵化して懐かれた、という話にしておいた。
クリスティアは包帯ぐるぐる巻きの顔では喋ることも出来ずに大人しくしている。
包帯のない頬を触ってあげるとくすぐったそうに眼を閉じる。
なんだか動物と接している気分だ。なんというか、近所にいる野良ネコを撫でているみたいな感じである。
(ねぇ・・・ノアちゃん。アンタのクリスティアの気に入りようって小動物をカワイイとか思う、そういう感情なわけ?)
(さぁ?そうなのか?)
(私に聞かれても知らないわよ!あーでもアンタならありそうだわ~。地球じゃ確か、"三つ子の魂百まで" って言葉あったわよね~)
(どういう意味だよ?)
(さぁ?)
そんな不毛な思念の会話をしているとリーミアが入ってくる。
「おはようございます。ノアちゃん、此方にいましたかぁ。その前にぃ」
そういうとクリスティアの所に行くとクリスティアの顔を覗き込む。
それから、振り返って今度は私をまじまじと見る。いや、顔・・・特に頭を見ているようだ。
「あらあらまぁまぁ。子供とは言え、最も気難しくて獰猛な竜種がノアちゃんに懐いてますわぁ。まさに胡蝶の歌姫の伝承のようですわ」
(おい、リリィのせいで変な認識がついてしまったじゃないか)
(知らないわよ、アタシのせいじゃないし~リリィちゃん知らな~い)
「伝承?確かこの前は胡蝶の歌姫は不明な事の多い最も謎な人物ではなかったのですか?」
「まぁまぁ覚えていらっしゃったのですね。そうなのです。ですが私、これでもソールデースペル建国の七皇を専攻する考古学者でもあるのですわ。ちなみにこの間お話した1200歳の長老様は胡蝶の歌姫と一緒に旅したお方なのです」
なるほど、冒険者をしながら研究をしているのか。確かに地球でもフィールドワーク中心の考古学者がいるからな。
それに研究にはお金がかかる。侯爵をスポンサーにするのは中々のやり手だな。
冒険者としても活動しながらというのは、意外と効率いいのかもいれない。
「そうでしたぁー。大切な要件を伝えにノアちゃんを探していたのでした。侯爵様がノアちゃんをお呼びです」
「侯爵様が?分かりました。伺わせて頂きますわ」
ふむ、次の予定が決まったな。クリスティアに挨拶をすると部屋を出る。
リーミアは別の用事があるらしく一人と一匹で向かう事になった。
あー絵が描きたい!
でも、この小説も出来る限り日刊で出していきたい!
なのに仕事は、まだやめられない!
(´・ω・`)
というわけで
次回 第二十三話 女将の予言が現実になる時・・・orz
あれ?次回あげたら今現状、既に出来上がってるお話のストックがないんですが!?




