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ニュクスの灯ビザーファイル・黒蝶の羽撃きは、異世界の煌めき。  作者: 七枝 繁
イスー連続少女殺人事件編
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第二十話 BAR 穴・2

第二十話 BAR 穴・2



街の中心から東西南北に走る大通りを抜けて南西側の商店街へと向かう。

そこは、魔法関連の店が多く立ち並ぶ区域でもある。

試しに錬金術師関連の店を覗き、店の主に聞いてみる。

魔法生物や、それに関連する物はあるかどうかと。

どこの店も、スライムならあると言う。


(スライムしかないな。もうスライムでいいんじゃないか?スライムは自由だぞー。もう気合入れれば絶世の美女の姿も取れるんじゃないか?)


(嫌!スライムなんてイ~~ヤァ~~よぉ~!)


まぁそんな感じで結局の所、リリィの体は見つからなかった。

皇都に行けば、もしかすると王宮錬金術師がスライム以外に何か創造しているかもしれない、とは言われたがそんな希少な物の値段を考えると存在しても買うのは無理そうである。


(この分じゃーお前さんの体は当分お預けだな)


(え~そんなぁ・・・)


ない物はない。こればっかりは仕方ないだろう。

さて気を取り直してあの場所にいこう。

向かうは、"BAR 穴"。突如現れ、いつの間にか消えている、謎の店ではあるが今なら店はある気がする。いや、あると言うかたどり着けると言うべきか。

上へ下へと立体的な通路を進み途中で一番下まで階段で降りていく。

すると突然不自然に存在するドアと看板。今日は存在していた。


ドアを開けカランカランと音を鳴らすと男がカウンターに立っている。


「うーん?子供?ここはバーだよ。お酒を飲むところだから子供は入れないよ?」


「?こないだここで商品を購入した者ですわ」


「だから、ここは酒場なの!子供は来ちゃダメなの!」


なんだ?これは、なんだかおかしな感じだな?店の状況は確かに同じ店なんだが。


「あのー。女性の方はいませんか?」


「いない。いない!子供は帰って!」


男は顔を真っ赤にして拒否するばかりだ。ふむ、これは出直すか、そう思った瞬間だった。

男の後ろから何者かが近づき、白い物体で男の顔を激しく殴りつける。店内に響き渡る快音。

あれはハリセンだ。間違いなく、丈夫な紙で出来た巨大ハリセンが男の顔面を素晴らしい音を立てて叩いた。


「いたーーーい」


「アンタ!何やってんの!見てくれで判断するなって毎回いってるでしょ!ちゃんと魂を視ろ!」


「え・・・?あっ・・・」


「ほら、もうあっち行って。シッシッ」


「すみませんでした」


ハリセンの使用者は前回会った女性の店員であった。いや、この様子だと女将とでもいうべきか?

男は謝ると、そそくさと店の奥に引っ込んでいった。


「いやーすまないね、ウチのが迷惑かけたみたいで」


「あ、いえ、問題ありませんわ」


「で、今日はどんな用事だい?」


「はい、コレを見てもらいたくて・・・」


そういうと私はポシェットから薬莢を取り出す。


「コレかい?ふーん・・・?―――!!これは!こんなもの何処で手に入れたんだい?」


リリィと同じ反応をしている。私は事のあらましを簡単に説明する。


「やはり、何か問題あるようですわね」


「ああ・・・本来のやり方ではない方法で無理やり壊されている。そもそも破壊不能という定義がされているのにね」


「もしかすると、解体、分解、消去は可能でも破壊は出来ないという意味であり、それを破壊されている、という事でしょうか?」


「へぇ、なかなか感がいいじゃないか。そしてこんな方法でしか出来ないのは・・・神々の真なる敵、"大いなる災い" あるいはその眷属」


"大いなる災い" だと!? 地球にかつて降り立った伝説の存在。ニュクスの灯に入らなければ知ることのなかった真実。

それがこの世界で存在するのか?


「・・・"大いなる災い" は異世界を渡り歩けるのですか?」


「どうだろうな?でもその別名は、神々の真なる敵だ。神が出来る事ならば、出来てもおかしくないな。まぁ、そんなに警戒しなくていいさ。まだ君のいる世界にアレがいるとは限らないからな。ただアレを使って異世界間で物流を動かしてるだけかもしれん」


これは、もしかしたら嵌められたか?ヤスベ・ハルアキも、姜子牙も、いや・・・もうこの世界では隠す必要はないな。安倍晴明も太公望も未来を読む事に長けた存在だ。

私はこの世界に送り込まれた調査員という事かもしれんない。


「おっと考え中の所悪いけど、この薬莢、何か必要な物と交換でいいかな?」


「え?ええ、構いませんわ」


そういうと女将は私の顔を覗き見つめたと思ったら今度は私の周りを見つめる。


「なるほどなるほど。先ほど突然届いたと思ったらやはり君に渡すのがよいだろうな。ちょっと待っててもらえないか」


そういうと女将は店の奥に入っていき、直ぐに両手で木箱を抱えて持って戻ってくる。


「これは?」


「きっと今、君が・・・いや、それとは別の何かの方が欲しがっているかもしれない物だよ。割れ物だから落とさない様にね」


「ありがとうございます」


そういうと木箱をポシェットにしまう。

さて、必要な情報は回収できたようだ。どちらかというと聞きたくない不必要な情報にも個人的には思えるが仕方ない。

何も知らずに動かされていたとか洒落にならないしな。

最後に挨拶をして店を出てクリスティアの所に向かう事にした。




次回、第二十一話 これ割れないのよぉ~!

どうぞよろしく。

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