第5話 第1校舎屋上→校舎裏、そして
めっっっっっっっっっっちゃ燃えた!
さっきまでぶーぶーイキり散らしていたオークたちが火だるまになってガンガン息絶えていく眼下の光景は壮観のひと言に尽きるね。これぞまさしくスカッとジャパン!
僕は陰キャなのでキャンプファイアーとかちっとも憧れない人間なんだけど、そういうのが好きな人の気持ちがちょっとだけ理解できた。『ガソスタからガソリンパクって来たかったなぁ』って冗談で言ったときにドン引きしていたみんなの気持ちもちょっとだけ理解できた。
「先輩、ひたってないで急いで!」
「こんなところで焼け死ぬとか、勘弁してよ」
王さんと柊さんに引っ張られて、僕は第1校舎を後にした。燃え移っても篁さんに水の魔法使ってもらったら大丈夫だろって高をくくってたんだけど、想定よりも火力が強かったですね(白目)。
――まぁ、オーク倒せてるしいいでしょ。
焼豚作戦が失敗、あるいは十分に効果が得られなかった場合は、体育館前のみんなと合流して正面決戦する予定だった。策も何にもない力と力のぶつかり合いだ。昨日の今日でそんなにたくさんアイデア出ないよぉ。僕は普通の高校生なんだもの。 こっちの展開は圧倒的な不利が予想されたから、上手くいって良かった良かった。
なお、燃え過ぎたときのことはな~んにも考えていませんでした。てへぺろ。
椎名さんたちに合図を送って、急いで外に出た僕たちの次の仕事は、予定どおりオーク・キングの本陣を背後から急襲すること。
炎上する校舎の向こうからは断続的に爆発音が響いてくる。椎名さんたち、錬金爆弾をいい感じに戦場に放り込んでくれているみたいだね。埋めた奴だけだと焼きムラができたら困ると思って渡しておいた甲斐があったよ。追加で作ってくれた柊さんにも感謝!
体育館前に陣取っていたメンバーと連携して、生き残ったオークを上手く殲滅してくれていると思うんだけど……
「みんな、大丈夫かなぁ」
ほかに方法がなかったとはいえ、舞坂さんが声をかけてくれた人たちをオークの大軍団と戦わせてしまった。つい先日までロクにモンスターと戦ったことのなかった、レベル1とか2の人たちだ。二重のバフを乗せる作戦で多少マシになったはずだけど……怒涛の勢いで体育館に襲い掛かる軍勢を見おろしていて、心臓が止まるかと思ったよ。後でごめんなさいしなきゃ……って、後があれば、の話だね。
「余所を心配してる場合か」
「そう言われると、それはそう」
篁さんにこつんとこぶしをいただいて、僕は余計なことを考えるのをやめた。
この段階で『勝った! 第1部完ッ!』なんてみんなが思ってたとしたら、かなり危ない。それはまだまだ甘いんだ。屋上から柊さんにオーク・キングたちを鑑定してもらった。双眼鏡があれば遠距離のターゲットも【鑑定】スキルの対象に取れるってのはナイスな発見だった。まぁ、それは置いといて……連中の能力はこんな感じ。
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名 称:オーク・キング
タイプ:ユニット
種 族:オーク
属 性:火
レベル:-
ランク:10
コスト:15
攻撃力:10
防御力:10
魔法力:5
スキル:【剣術】レベル3
【カリスマ】レベル3
特殊能力:暴虐の王(対象:このユニット)
・手札1枚破棄(【種族:オーク】のカード)。
対象に【攻撃力:+3】【防御力:+3】を付与する。
覇道を征く(対象:すべてのプレイヤー)
・このユニットが戦場に存在する場合、常時発動する。
対象は地形カードを起動することができない。
装備品:鋼鉄の大剣
レアリティ:SSR
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名 称:オーク・クイーン
タイプ:ユニット
種 族:ハイオーク
属 性:火
レベル:-
ランク:8
コスト:10
攻撃力:5
防御力:7
魔法力:8
スキル:【精霊魔法(火)】レベル3
【カリスマ】レベル3
特殊能力:重唱(対象:このユニットのプレイヤー)
・このユニットが戦場に存在する場合、常時発動する。
対象が使用する魔法カードのうち、
ダメージが発生するものについて、その値を【+2】する。
装備品:なし
レアリティ:SSR
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柊さんの顔が青ざめていた。
『SSR2枚キタ――――――――!』なんて喜んでる場合じゃない。僕は空気が読める男。
想定していたよりも、だいぶん強い。ジェネラルがランク5だったから、クイーンが6か7でキングが8ぐらいかなって思ってたのに。特にキングの方はヤバい。オークを食ってパワーアップする能力はプリムプラムから聞いていたとおりだったものの、上昇する数値がエグイ。攻撃力も防御力も+3って……500体オーク食ったらステータス1500オーバーのクソモンスターになるじゃないか!
さらに地形対策能力まで持っているので、ジェネラルみたいに沼に沈める戦法が使えないときた。プリムプラムは【鑑定】スキルを持っていないから気づいていなかったのは仕方ないけど、これは相当に厄介だよ。
「一之瀬、キングに勝てるのかな……」
「サクッとクイーン倒して、僕らも援護しよう」
「バカ、サクッとなんて言っていると痛い目見るぞ。まずは目の前の敵に全力を尽くすんだ。クイーンだって楽に勝てる相手ではないって自分で言っていただろうに」
「ごめん、浮かれてた」
「うむ、わかればいい」
篁さんの言うとおり、目の前のことをひとつずつ片付けていこう。
校舎の裏を駆け抜けて本陣の背後を取る。プリムプラムの言うとおりキングは動かない。動いたのはクイーンたちだ。間違ってはいない。オーク軍団はキングさえ残っていれば立て直しが効く。もちろんお察しな18禁な方法でね。それはともかく、クイーン率いる部隊が、こちらに気づいて向かってくる。
カードを掲げ――僕は叫んだ。
「……と言うわけで死ねッ! 『サンダー・ブラスト』起動!」




