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黒豹王の物語 ◇第一部~序章~◇  作者: 種広交明
はじまり

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23/24

#023「国葬~英雄送り~」



国葬にあたり、

この国の葬儀の風習についてもご紹介しよう。


◇◆葬儀の風習◆◇


[衣装の製作]

コルニール王国には

葬儀において独特な風習がある。


各国への招待状の次は、

国葬で使用する衣装の製作である。


賢武けんぶおう』の国葬ともなれば

いつにも増して華やかなものが必要だ。


というのも、

実はこのコルニール王国という国の葬儀においては、

『黒』を着用することは“タブー”とされている。

それが国を挙げての国葬であろうが、

一般家庭の葬儀であろうが関係なく、

国のしきたりとして決まっているのだ。


常に戦禍に見舞われ、

戦死者も後を絶たないこの国では、

『死』というものに対し特殊な認識を持つようになった。

いや、むしろ『死』という現象を特殊なものではなく、

『生の延長線上にあるもの』

として捉えるようになったと言えるだろう。


だから、基本的に『明るく送り出す』

ことが大前提となっている。


よって、葬儀に使用する衣装に黒色はできる限り含まないのが通例で、

頭のてっぺんから足の先までカラフルに彩るのだ。


この国の人々にとって、

葬儀とはある意味“お祭り”なのである。

明るく騒ぐことが不謹慎なのではなく、

むしろ騒がないことが不謹慎になる・・・

という認識だと言える。


ましてやそれが『国葬』ともなれば、

まさに国を挙げてのお祭りとなる。


葬列に加わる兵士の鎧も

色とりどりに飾られる。


------------------


[彫像の製作]

栄えある葬列の先頭を行くのは

勿論この日の主役、

『レイブン・フォン・コルニール』

である。


と言っても、

本人は既に他界してしまっている・・・。


そこで必要になるのが「彫像」である。


崩御の触れが出されてからしばらくして、

国葬の葬列で使用する彫像の制作が始められた。


その彫像は木製で制作される。

あまり重い材質だと国葬の間の持ち運びが大変になるため、

比較的軽い材質である木が選ばれる。


国葬をつつがなく終えた後、

改めてより重い銅像などの制作が行われ、

できあがった彫像は

市民が目にすることのできる場所に

改めて設置されるだろう。




王「まあ・・・

 他にもあれやこれやあってな。

 細かく言い始めるときりがない。」


レグス「そうだったのか・・・。

 大変ご苦労だった、陛下。」


王「して・・・

 おぬしも参加するだろう?」


レグス「参加? 我が?」


王「うむ。

 我も馬車に乗って参加する。

 中は個室のようになっていて、

 何人かが一緒に乗ることができる。

 よければ、おぬしも我の護衛という役目で共に乗るがよい。」


レグス「我が陛下と一緒に!?

 参加できることはありがたいか、

 そんな・・・よいのか?」


王「先日、女神様より便利な道具も頂いただろう?

 問題あるまい。」


レグス「しかし我は一度、

 アモンと共に

 レインとして街に出てしまった。

 少数だが、レインの顔を覚えている者もいる。」


王「そうか・・・

 ならばレインに変身した上で、

 更に顔をベールか何かで覆うようにすればよい。

 なーーに、

 兵も町人も、

 皆カラフルな衣装で着飾っておる。

 不自然には見えぬだろう。」


レグス「しかし・・・」


王「ん? なんだ?」


レグス「黒豹王としての初仕事が陛下の護衛とは・・・

 自分の実力に対し、

 少し荷が重すぎるのではないか?」


それはもっともな話だった。


召喚から早二ヶ月ほど・・・


未だに黒豹王として

仕事らしい仕事をしていない。


そしてついに振られた初仕事が

国葬での国王の護衛・・・。


本当に命を狙われるような事態が発生する可能性は

極めて低いだろうし、

実際に実行するにしても、

いくらなんでも『国葬』という

言わば人の葬儀を踏みにじるような蛮行に及ぶことは

中々考えにくい。


しかし・・・

である。

レグス「実はな・・・

 我が元居た世界でも

 このように要人が人前に出る機会を狙った凶行が

 歴史上繰り返されていた。」


王「そうか。

 世界は違っても結局“人間”がやることは同じか。

 実はな、

 我とて命を狙われたのは一度や二度ではない。」


レグス「なんと!!」


王「最初の頃は随分と怯え切ったものだった・・・。

 それこそ悪夢を見て寝れぬ夜もあった。

 しかしな・・・

 不思議と王という地位にあり、

 肝が据わってしまったものよ。」


レグス「・・・」


王「それに当日はおぬしだけではなく、

 ケイラスも同乗する予定だ。

 あの者で防げぬ襲撃ならば

 もうお手上げよ!

 はっはっはっは!」


レグス「へ・・・陛下。

 そういえば・・・

 話しそびれていたことがある。」


王「ん? なんだ?」


レグス「実はな・・・」


と言ってレグスが話し始めたのは、

アモンの街案内を終えて帰る途中で起こった

あの「植木鉢事件」の顛末だった。


王「なんだと!

 それはまことか?」


レグス「うむ。

 どうやらこの体に刻まれている使命に関わる事態が発生した場合、

 問答無用で超人的な力が発揮される可能性がある。


 つまり・・・

 実力不足の我であっても、

 陛下をお守りできるやもしれぬ。」


王「はははは!

 なんとなんと!

 それは心強い!


 おぬしに同乗を誘ったのは正解だったようだな。」


レグス「いや・・・あまり期待されても。

 今は力を使っているというより、

 力に使われているようだ。

 今後とも精進を続けねば・・・。」


そんなこんなで・・・


不安な『初仕事』が決定してしまったのであった・・・。



そして数日後・・・


ついに国葬本番の日を迎えた・・・。


出発前に城内のいつもの面々が

王の間に集まった。


王「いや愉快愉快♪

 皆いつもとは違う鮮やかな衣装だ。

 きっと我が父も喜んでくれているに違いない!」


王の側近、護衛役として随行することになったレグスも

その場にいた。

その役目に相応しい鎧や衣装が特注で作られたが、

黒豹王の体があまりに規格外だったため

制作は困難を極めたそうだ。


しかし、その甲斐もあって一同は息を呑み、

歓声が上がった。


おおおおおお!!


近衛騎士団の正装にも引けを取らない

立派な兵装だった。

基本的には近衛騎士団と同様、

白を基調にしているが、

今回は

『黒豹王の正装』

をテーマに制作された。


レインの頭ではなく、

本来の黒豹の頭部との一体感を持たせるため、

本来葬儀では使われない

黒いラインが入れられている。


それを隠すように

カラフルなマントや飾りが添えられているため

あまり気にならないだろう。


王「いや~~、レグス殿!

 その大きな体躯によく似合っておる!

 もはや神話的とも言える。」


レグス「いやはや・・・

 こんなにすごいのを着せられては緊張する。

 本当に手が込んでいる。

 この衣装の制作者に感謝しなければな。」


アモン「よく似合ってるよレグス!」


レグス「そうか、ありがとう。」



そして!!


王国軍の有志で結成されている音楽隊が

出発のファンファーレを鳴り響かせた!!


パーッ

パパー

パパパパーーーー!!


大きなファンファーレの音が、

街まで届いた瞬間!


ワァァァァァァァァ!!!!


ドーーン!

ドン!ドン!

パン!

パン!


王城の中に居ても聞こえるほどの

ものすごい歓声と

花火が打ち上がるような音!

また、それが破裂するような音が聞こえてきた!


レグス「すっ!

 すごい・・・。

 とんでもない盛り上がりだ。」


王「はははは。

 レグス殿、怖気おじけづきましたかな?」


レグス「ああ・・・緊張してきた。」


王「な~に、楽しめばよいのだ。

 こんな光景、

 そう見られるものではないぞ。

 父も、そなたが参加することを喜んでくれているに違いない。


 そして我の護衛もしっかり頼みましたぞ。」


レグス「任された。

 陛下、改めてこのような大役に感謝する。

 レイブン殿・・・

 あなたの国葬、

 しかとこの目に焼き付けるとしよう!」


王「ではレグス殿、

 出発前に変身してから

 そちらのベールで顔を隠してもらおう。」


レグス「うむ。


 では・・・

 ひょうへん!」



おおおおおお!!!


レグスの変身を初めて見る

家臣たちから

また歓声が上がった。


「こ、これは!

 なんと神秘的な・・・。」


「これぞ神の御業みわざ!」


レグスはレインとなってから

カラフルなベールで

顔を隠すように覆った。


が、

横でなぜかアモンも同じように

ベールで顔を覆った。


レイン「ア、アモン?

 おぬしもこのベールを?」


アモン「そだよ。

 だって町の人にバレたくないし。

 今日は二人で王様の護衛がんばろう!」


レイン「二人で? アモンも護衛のお役目を?」


ケイラス「はあ・・・。

 それは、本来は私のお役目だったのですが。

 この子が、

 どうしても外から見えにくい馬車の中がいいと

 言って聞かなくてね・・・。」


レイン「そうだったのか・・・」


ケイラス「にしても・・・

 すごい道具ですね。

 一体どういう原理なのか?」


豹変ペンダントが使用されるのを初めて見たケイラスは

驚きを隠せない。


レイン「うむ。

 なんでも『認識阻害』?

 とかいう力のようだ。


 いずれにしろ、

 我々には到底理解できない

 神の力であろう。」


ケイラス「そうでしたか・・・。


 アモン!

 このお祭りによからぬ輩が紛れている可能性もある!

 陛下をお守りするため、集中するのだ!

 しかと任せたぞ!」


アモン「分かったよ。

 でもせっかくのお祭りだし・・・

 今日は仕事なしで町で楽しみたい気も」


ケイラス「そうか。

 ならば馬車の中は私に任せてもらおう。

 アモンは他国の要人警護に回ってもらうとしよう。」


アモン「じょ、冗談だって!

 やだな~ケイラス様。

 アモンにまっかせなさい!」


王・ケイラス・レイン(本当に大丈夫か?)



そんなこんなで・・・


いよいよ出発の時だ!


アモン「やったーーー!

 おっでかけー♪

 おっでかけーー♪

 アモンが一番乗りーー!」


と言って、

御者が足台を用意するより前に、

最初にアモンが飛び乗って座った。


ケイラス「この馬鹿もん!

 そこは陛下が座るお席だ。

 アモン、何度も言うが遊びじゃないんだぞ!

 頼んだぞ!」


アモン「いや~ごめんごめん。

 大丈夫、副団長を信じなさい!」


ケイラス「はあー・・・

 分かったよ、副団長殿。」



続いてレグスが乗ろうとしたが・・・


レイン「す・・・すごい馬車だ。」


レグスは感動していた。

今までにも異世界ならではの体験があったが、

今回はまたとびきりである!


美しい装飾が施されたその馬車は

まるでおとぎ話のようで、

自分がシンデレラにでもなったような気がした。


その豪華さにひるんで、足が出なくなってしまった。


王「ん?

 どうされた、レグ

 ではなくレイン殿?」


レイン「いや・・・あまりに立派で」


王「ははは、そうであろう。

 今回は民に愛された我が父の国葬。

 ということで、いつも以上に豪華な仕様じゃ。

 遠慮は要らぬ。

 おぬし自身も馬車に劣らぬ豪華仕様じゃ。」


レイン「そ、そうか。

 では遠慮なく。」


と言って乗り込もうとしたが、

レグスの巨体は、

身を小さくかがめてなんとか乗り込むことができた。


席に座ると、天井に頭がつきそうになった。


アモン「この中だと余計おっきく見えるよ。」


レイン「うむ、ギリギリだな・・・。」



アリス「では陛下、お先に失礼いたします。」

と言って

ドレスと、つば広帽子に色鮮やかな装飾を施した

アリスが乗り込んだ。


いつもメイド姿しか見ていなかったためか、

とても新鮮である。


レイン「アリス殿、とてもよくお似合いだ。」


アモン「アリス姉きれーー!」


アリス「ありがとうございます。

 お二人とも素晴らしい正装です。


 さあ、陛下。」


最後に、アリスが手を差し伸べ、

エイブン王が乗り込んで扉は閉められた。



結局・・・

ひそかに【モフモフ誓約書】を結んだ3人に、

エイブン王を加えただけの、

王城内となんら変わり映えしない

いつものメンバーで、

なんだか拍子抜けし

緊張感が薄まってしまった。

ただ、その内二人は

顔をベールで覆った

何やら怪しげな大小凸凹コンビだったのだが・・・。



そんな中・・・


タッタカターー

タッタカターー

タッタカ

タッタカ

タッタカターー


小気味よい打楽器の音と共に、

多くの兵士が見事な葬列を作って

王城前から出発し、

街中をゆっくり練り歩いて行く。


普段、地味な鎧を着ている兵士も

この日ばかりは、色とりどりの飾りを付ける。


「ハイーーー!」


と、これまた鮮やかに着飾った御者が

馬に鞭を入れ

馬車がゆっくり動き始めた。


レイン「おっ!

 おーーーー!!

 これはすごい!」


タカタカタカ

という規則正しい馬のひづめの足音が聞こえてくる。

馬に装着されている“馬具”の数々も

まぶしいほどの金色の装飾があり

豪華そのものだ。


元の世界では生涯乗るはずの無かった乗り物に

感動を隠せない。


王「ははははは!

 そう一々感動してくれると、

 おぬしを乗せた甲斐がある。」


レイン「我が元居た世界では機械的な乗り物ばかりだった。

 このように味わい深い乗り物は素晴らしい!」


王「そうか・・・。

 その“機械的な乗り物”というのも

 乗ってみたいものよのう・・・。」


レイン「うむ。

 いくら肝の据わった陛下でも

 腰を抜かされるに違いない。」


王「ははははは!

 ますます見たくなったぞ。」


アリス「にしても陛下、

 この二人が並ぶとその・・・

 なんというか。」


王「そうだな。

 コルニール国王は随分変わった従者を連れている

 と言われることだろう。」


馬車からはみ出さんばかりの大男と

その子供のようにも見える少女。

しかも、

そのどちらもが顔をベールで覆い隠して

怪しさ満点である。

しかし幸いにして、

二人は窓から隠れる位置に座っていたため

その異様さは外に伝わりにくかった。


アモン「みんな!

 私がいるから安全だから。

 副団長の大船に乗ったつもりで

 楽しみなっさーーい!!」


アリス「アモン様、頼りにしていますよ!

 いざとなったら私も!」


と言って、

アリスはどこからともなく

毎日レグスの毛並みをとかしている

あの伝家の宝刀【ただのブラシ】

を取り出した!


アリス「このブラシで戦います!

 シュッ!

 シュッ!」


レイン「ア、アリス殿、

 なぜブラシなんかを!?」


アリス「“なんか”とはなんです、“なんか”とは!

 これはレイン様のお世話に必要な物。

 肌身離さずお持ちせねば!」


そう!

知っての通り、

アリスにとって

レグスの毛をとかし続けているそのブラシは

ただのブラシにあって

ただのブラシにあらず!

唯一無二のブラシであり、

いついかなる時も

肌身離さず持ち歩いていたのだ!


レイン「し、しかし・・・

 そのブラシで戦うのは

 いくらなんでも無茶では・・・」


アリス「何を言いますか!

 私の【ブラシ殺法】で“くせもの”も()()()()なのです!

 シュッシュッシュッ!」


アリスが暗黒武器【ブラシ殺法】の素振りを見せつけた!


アモン「あはははは!!

 アリス姉おもしろーーい!

 アモンおなか痛いよ!

 ギャハハハ!!」


そして、

素振りを見せ終えたアリスは、

その暗黒武器を

帽子の中にしまった。


レイン「いや、そこにしまうんかい!」


王「あはははは!

 この面々では、

 むしろ緊張しろと言う方が

 難しくなってしまったな

 レイン殿。」


レイン「うむ・・・

 なんだか我も気が抜けてしまった。」


王「まったく・・・

 ケイラスを押しのけてまで

 席を奪ったのだ。

 頼むぞアモン。」


レイン「先日アモン殿の強さを思い知らされたが・・・

 実際に仕事をするのは初めて見る。

 副団長殿、大いに勉強させて頂く。」


アモン「ふむふむ・・・

 苦しゅうない苦しゅうない。

 わーーーはっはっはっは!」


王・アリス・レイン(本当の本当に大丈夫か??)



葬列の先頭を行くのは、

この日の主役『レイブン・フォン・コルニール』の彫像である。

馬に引かれる

美しい装飾が施された荷台に設置された

レイブン像が、

街中に入るや否や・・・


うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


と地鳴りのような歓声が上がる。



レイン「すっ、すごい!

 さっきよりも大きい。」


王「ふむ。

 さすがは我が父よ。

 一線を退いて長いが、

 未だにこれほど民に愛されているのだ。

 きっと父も喜ばれている。」


先頭は王が乗る馬車から目視できる距離で、

それほど大きく離れているわけではない。


沿道はまさに人!人!!人!!!

歩く隙間も無いほどの人々が埋め尽くしていた!

一人一人が、

カラフルに着飾っていたため、

その光景はまさに色の海のようで、

葬儀というよりも

カーニバル状態だった!



「レイブン!!

 レイブン!!

 レイブン!!」


人々は大合唱と共に

手作りの花冠を像に向かって投げたり、

お酒をかけたりした。

人々が、それぞれ思い思いのやり方で、

レイブン前王と最後のお別れをして送り出す・・・

それは最も尊い無礼講と言えた。


「レイブン様ーーー!」


「『賢武けんぶおう』ーーー!!」


「さようならーー」


「ありがとーーー!」


「お疲れ様でしたー!!」


建物のベランダから、

あるいは屋根に登って、

葉や花びらをまく者たちもたくさんいた。


それと同時に、

沿道で膝をつき、

泣き崩れている者たちも多くいた。


その者たちの多くは、

レイブン前王の全盛期を知る

少し年配の人々だった。



そして、

エイブン王の乗る

豪華な馬車が前を通ると、


「エイブン様ーーー!!」


と、人々は

手を振ったり

国旗を振ったりして

歓声を送り、

エイブン王も

それに手を振って応えた。


この人々の圧倒的な熱量と

あふれ出るエネルギーの迫力に

レインは勿論のこと、

アモンも、

アリスも、

そして窓から手を振るエイブン王でさえ、

ぼーっと口が開いていることを忘れるほどに

呆気あっけに取られていた。


レイン「ほ・・・本当にすごい。」


アモン「ほへ~~~」


アリス「は・・・はあ~~」


王「わ、我もこれほどのものはあまり見たことがない・・・」



一同が、改めて『レイブン・フォン・コルニール』

という一人の英雄の偉大さをかみしめていた。


エイブン王が乗る馬車の後ろにも

色とりどりの王国軍が作り出す見事な葬列が長く続いている。


この葬列に加わることができるのは

ほとんど上級兵のみで、

多くの中級兵や下級兵は葬列や街中での警備に追われていた。


葬列の最後尾には招待状に対して参加を表明した

各国の要人が乗る馬車が続く。

その国々の文化を色濃く反映した装飾が見るも鮮やかで

市民の目を楽しませた。


この国の歴史に残るような一大イベントも

つつがなく進行し

何事もなく平穏無事に終えるものと思われた・・・

のだが、


そこに・・・


アリスが言った“くせもの”とおぼしき影が・・・




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