#022「国葬~お国の紹介~」
目まぐるしい日々が過ぎる中、
気が付けば召喚から早二ヶ月が過ぎようとしていた・・・。
アリス「レグス様、いつもハーブティーばかりでしたが、
本日は遠方よりの商人から珍しい茶葉が手に入ったとのことです。
是非お召し上がり下さい。」
レグス「そうか、では早速頂こう。
うーーん♪
素晴しい香りだ。
どれどれ・・・
おっ!
これは!!」
アリス「いかがですか?」
レグス「紅茶だ・・・」
アリス「こーちゃ?」
レグス「うむ、我が元居た世界では一般的な飲み物だった。
厳密には少し違うがとても似ている。
こちらの方がスパイシーというか・・・
強く鼻に抜けるような香りがある。
とても美味だ。」
アリス「気に入って頂けてなによりです。」
レグス「久しぶりに元の世界を思い出すことができた。
感謝する!
貴重なものをありがとう。」
アリス「どういたしまして。
レグス様、本日は陛下より“国葬”についてのお話があるとのことです。」
レグス「国葬?
そうか・・・
すっかり忘れてしまっていた。」
アリス「無理もありません。
レグス様にとってもこの世界で慣れないことが多く
大変だったはずですよね。」
異世界モーニングルーティーンの後、
アリスと共に陛下の元へ向かった。
王「おお、レグス殿おはよう。」
レグス「おはよう陛下。
国葬について話があると聞いたが。」
王「その通りだ。
あれやこれや準備に手間取り、
崩御の触れを出してから
結局二ヶ月も経ってしまった。
我が父レイブンも『待ちくたびれた』と不満を言っているに違いない。」
レグス「ははは。
レイブン殿も、
これだけ待てばかなり期待が高まっているに違いない。
素晴らしい国葬にしなければ陛下がお叱りを受けるやもしれぬ。」
王「おいおい、
からかわんでくれレグス殿。
国葬一つでもやることが山ほどあってな・・・。」
と言ってエイブン王は詳しく話してくれた。
まずは国葬に招待する各国への招待状の送付・・・
とは言っても、
当たり前の話だが、
現代のようにインターネットがあるわけでもなく、
文字や文章をメールのように送ることもできない。
書面を送るにしても飛行機や自動車などあるはずも無く、
どんなに山や谷があろうと、
人が馬を使って地道に運ぶ他ない。
遠方であればあるほど送付にはかなりの期間を要する。
そしてその招待状に対する返事もまた書面で送られる。
その書面が届くまでまた時間がかかり、
受け取ってからやっと各国に対する
本格的な受け入れ準備が始まる。
今回、招待状を送った国については
ほぼ全てから参加したいとの返信があった。
返信の中に国から誰が赴くかが記載されているが、
その多くは国の要人ではあるものの、
国王クラスが参加することはほぼ無い。
何度も言うようだが、
飛行機や自動車が無い世界で、
他国の国葬一つのために遠方からコルニール王国まで行くのは
かなりの長旅である。
この機会に、
どのような国があって
どのように位置しているのか?
についても触れておくこととしよう。
◇◆お国の紹介◆◇
[ブランダール王国]
ちなみに・・・
現在もコルニール王国と戦争中のブランダール王国に対しては
勿論のこと、
招待状は送らなかった。
それどころか、
ブランダール王国にとって、
歴史上最も憎い人間の一人が、
「レイブン・フォン・コルニール」だった。
彼さえいなければ、
とうの昔に勝利を確実にできたものを・・・
と唇を噛んだ人間が山のようにいただろう。
この国はコルニール王国の西に位置する大国である。
国土の大きさや兵数だけを見れば、
大きく上回っているのは間違いなかった。
しかしそれでも・・・
ついに今の今まで侵攻が完了することは無かったのである。
そして、その侵攻を阻むものはいつも『英傑』だった。
コルニール王国が危機に陥った時、
まるであらかじめ準備でもされていたかのように
救国の英雄が現れた。
そのほとんどは人間だっただろうが、
時には黒豹王だったのかもしれなかった。
まるでこの世界そのものが、
コルニール王国の滅亡を拒んでいるかのように・・・。
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[自由交易国エルビナ]
そしてコルニール王国の北には、
商人によって作られた自由交易国エルビナがある。
この国はコルニール王国よりも大きく、
同様にブランダール王国の東に位置しているが、
侵攻は受けていない。
実際のところ、
ブランダール王国ですら侵攻を躊躇せざるを得ないほどの
影響力があるのである。
多くの大商人を抱えるこの国にとっての最大の武器は
『人脈』だった。
もしもこの国の不利益になるような行動に出る国があれば、
「すぐにでも国が傾く」とまで言われるほど
恐れられているのだ。
『エルビナ』とは、この国を最初に創設した商人出身の初代国王の名前だと伝わっている。
国王と言っても、
他国のように王家があって世襲制があるわけでもなく、
基本的には大商人が作る組合の中から代表が決められ、
それが一応の形として国を代表する王とされている。
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[独立自治国家カラディン]
そして、自由交易国エルビナの更に北に
独立自治国家カラディンがある。
国土は、コルニール王国よりも大きいが
エルビナよりは小さいといったところか。
この国は、一言で言ってしまえば
『傭兵国家』である。
完全に軍事産業だけで成り立っているような国である。
この国はエルビナと強いつながりがあり、
お互いがお互いを補助し合うような関係だ。
エルビナが商業的な援助をし、
カラディンが軍事的な援助をする。
エルビナを侵攻するならば、
カラディン軍を相手にすることとなり、
カラディンを侵攻するならば
エルビナに見限られることになる。
よって、
エルビナと同様にブランダール王国の東に位置しているが、
侵攻は受けていない。
元々、
この国の興りはまさに傭兵だっという。
エルビナと同様に国名の由来となっているのは
ある一人の偉大な戦士『カラディン』という男だったと伝わっている。
『カラディン伝記』と言われるお話は本にもなっていて、
この国の中では知らない人がいないほど有名なお話である。
そして、他国の兵士の間でも
根強い人気がある。
実際に実在したと言われているこの男について
伝わっている以下のような伝記は事実なのかは定かではないが、
少なくともこの国の人々はこの国の成り立ちとして信じているし、
重要なアイデンティティになっている。
~・~・~・~・~・~・~・~・~
昔々、カラディンという一人の戦士がいた。
元々、一般的な兵士と同じように母国の軍に所属して
大きな戦功を挙げていたが、
ある時、国から不当な扱いを受け
国外追放の身となってしまった。
これが母国の誰かによる陰謀だったのか、
他国の裏工作によるものだったのかは謎である。
彼が国を出る際、
武人としてのカラディンを尊敬する者たちが自然と集い、
彼と共に国を出たと言われている。
彼を慕ってきた仲間と共に『カラディン傭兵団』を結成し、
危険な傭兵稼業であらゆる戦場を渡り歩き、
ますますその名を知られることとなったカラディン・・・。
日に日に大きくなっていったその傭兵組織は、
その練度、連携力、団結力の高さから、
次第に国を脅かすほどの存在となっていった。
ある時・・・
彼は治める者もいないただの荒れ地に
粗末な小屋を作らせて宣言した。
「今ここに!
『独立自治国家カラディン』を
建国する!!」
国から追い出されて母国を失い、
行くあても無かった彼が、
自らの名前を冠した国を創ったのである!!
~・~・~・~・~・~・~・~・~
この“おとぎ話”のようにさえ聞こえるお話は
未だにこの国の人々の心を捉えて離さない。
人形劇としても大変な人気であり、
子供たちのみならず大人も歓声を挙げる。
この国の中には多くの傭兵団が存在しているが、
基本的な役割は、
他の国と同じように自国の防衛、
または同盟国とも言えるエルビナの防衛である。
唯一違う点は、
傭兵団という名前通り、
お金を払えば、
傭兵としての貸し出しが可能なことだった。
傭兵団には1等から5等まで等級があり、
それは戦地での戦功と
毎年開催される傭兵団同士の模擬戦で決定される。
そして4年に一度、
『国王決定トーナメント』
と言われる一大イベントが開催される。
これは、たった数団しか存在しない
最も高い等級である1等の傭兵団が、
模擬戦のトーナメントを行うものである。
そして、
このトーナメントの優勝団の長が
次の4年間、
国を代表する王に就くこととなる。
よって、
エルビナと同様に
王家や世襲制があるわけではない。
テレビやインターネットなど
現代のように娯楽があふれているわけではないこの世界において、
毎年行われる模擬戦や国王決定トーナメントは
熱狂する娯楽の一つであった。
これを見たいがために、
毎年その時期になるとカラディンを訪れる熱狂的なファンも多い。
特に『国王決定トーナメント』は国を挙げての大きなお祭りである。
国がこの模擬戦を対象にした公式の賭けまで実施している。
この模擬戦によって、莫大な経済効果があり、
国にとって重要な観光資源でもある。
また、世界トップクラスの練度を誇る傭兵団を一目見ようと、
各国の軍関係者が、視察や学びのためにも訪れるという。
ちなみに傭兵団の貸し出しは、
カラディンやエルビナに保安上のリスクがないことが
絶対条件である。
例えば、隣接する大国であるブランダール王国へ貸し出されることはない。
等級の高い傭兵団ほど貸し出しの金額はつり上がり、
1等はよほど国庫に余裕のある国でなければ現実的ではない。
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[東の小国家群]
「自由交易国エルビナ」と
「独立自治国家カラディン」の東に隣接して
いくつかの小国家群がある。
どれも大きさはコルニール王国と大差ない。
これらの国は平和的で
ブランダール王国からの侵攻も受けていないが、
その理由はエルビナとカラディンという二国が、
強力な緩衝地帯となっているためである。
それぞれの国が
多くの名産品や観光名所を持っていて
他国からの観光客も多い。
また、戦争が無く、
かつ治安が良い事も
人気の理由である。
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[南の大山脈]
コルニール王国の南には大山脈が横たわっている。
あまりに高く険しいその山々は
人々の踏破を拒み続けてきた・・・。
この大陸で最も南にある国はコルニール王国で、
大陸最南端はこの山脈なのか?
未だその答えを知る者はいない・・・
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[コルニール王国の東・・・???地帯]




