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side:月島 茂
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先生と生徒会役員の協力もあり、なんとか全校生徒たちを落ち着かせることが出来た。
もれなく全員が、というのは無理だったが、十分な成果と言えるだろう。
まあ、このほとんどの功績は、生徒会長の白石かえでのものであることは間違いない。
俺たちが生徒のフォローに当たっている間、どうやら二つの進捗があったようだ。
まず一つは、野生のモンスターの発見と討伐。RPGの定番、ゴブリンがいたので早速倒してきたとのこと。さすがは我らの生徒会長。
もう一つは、救出部隊との合流である。ゴブリンとの戦闘中、誰かに見られていると感じた生徒会長は、警戒しながら歩いていた。そこで40代くらいの男性に話しかけられたとのこと。
その男性は、とある避難所の一員で、今は救出部隊の役目を負っているらしい。
ここから2キロほど離れた場所に大きな建物があり、既に1000人以上の人が集まっている。そこには野生のモンスターが侵入できないとも説明された。
要は安全地帯というやつだ。
生徒会長は、再び全校生徒の前に立った。
「みんな聞いて。助けが来たわ。」
生徒たちは、今日1番の喜びの歓声をあげる。
「でも、事態はそんなに単純では無いと思う。」
上げてから落とすのも生徒会長の得意技である。
「避難所にはまだまだ人が収容できると言われたけど、今後に関しては分からない。それに、避難所に入るからにはそこでのルールに従う必要がある。プライバシーとかもほとんど無いと思った方がいいわ。」
生徒たちも、その言葉には少しだけ迷ったようだ。
「私は、何事も強制はしません。今までもこれからも。選ぶのは皆さん自身です。避難所に行けば家族に会えるかもしれません。その避難所にはいないかもしれません。もっとこの世界について知りたい人もいるでしょう。もしくは、自分の親衛モンスターを強化したいと思う人だっているはずです。誰にも正解は分かりません。だからこそ、自分で選んだ道を歩むべきです。まだ時間はありますので、しっかり考えてください。」
「後藤さん。あと何分くらいなら待っていただけますか?」
例の40代くらいの男がその質問に答えた。あの人、後藤っていうんだな。
「すまないが、他の場所も担当している。30分以内でお願いしたい。」
「聞きましたね皆さん。では、避難所に入ることを希望する生徒は30分以内にここに集合してください。質問がある方もこの場に来てください。ひとまず以上です。」
その言葉を皮切りに、また生徒たちがざわつき始める。周りの友達と話し合っているようだ。
俺は、生徒会長のそばに駆け寄った。
「さすがです白石さん。お疲れ様です。」
こちらに気が付いた生徒会長が、少し微笑みながら答える。
「ありがとう月島くん。」
あー、癒される。なんて可愛い笑顔なんだ。こんな世界になってしまったが、この笑顔だけは命に変えても守らねばならない。
「白石さんは、これからどうするのですか?」
ちなみにだが、殆どの生徒が生徒会長のことを単に会長と呼ぶ中で、俺だけは白石さんと呼んでいるのはちょっとした意地である。
「私は、この世界を攻略するわ。」
俺が思ったのは、やはり、だった。
白石かえでは、避難所に閉じこもって大人に守られているような人間ではないのだ。
何の迷いもなく、問題の根本を解決させようと動くのが、白石かえでなのだ。
俺は、全世界にこの人を自慢したい気持ちになった。人類の希望はここにいるぞ!と。
いや、ダメだ。またライバルが増える。今のは無しで。
「月島くんはどうするの?」
答えは決まっている。
「俺は白石さんについていきます。」
「即答ね。」
「副生徒会長ですから。」
そういうと、少し先ほどとは違った笑顔でこちらを見てくる。あーかわいい。
「月島くんはこんな世界になっても真面目ね。そういうところ、嫌いじゃないわ。」
いやっほぅ!これって悪くないんじゃない?好印象なんじゃない?副生徒会長がんばってきた成果が出ちゃってるんじゃない?
っていう感情は態度に出してはならない。男らしく、凛と構えるんだ。
「ありがとうございます。」
なるべく落ち着いた声でそう答えた。
「一応避難所まで一緒について行って、その後でみんなと別れるわ。月島くんもそれでいい?」
「もちろんです。」
こうして、次の方針が決まったのだった。




