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side:根倉 復男
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俺は人生で1番の幸福を感じていた。
それは、これまでの人生が悪すぎたことによる相対的な意味も含まれている。
学力だけはそれなりにあったため、そこそこの大学には入学したものの、人とうまく話せない所謂コミュ障というやつのせいで友達も出来ず、だんだんと大学をサボるようになった。
アルバイトをしたこともあるが、陰で自分の悪口が言われているのを聞いてしまったその日にばっくれた。
それ以来家に引きこもって、後悔の日々だった。外に買い物に出るだけで怖かった。世界中のみんなが俺のことを馬鹿にしている気がする。
何を間違えたんだろう。小学校も中学校も高校も、決して目立たず調子に乗らず、勉学に励んできたのに。
いや、調子に乗らなかったのが悪いのかもしれない。現に、お調子者でよく先生に目をつけられていた元気な奴らは、中学で真っ先に彼女を作っていた。尖っていた性格もそこから少しずつ丸くなり、大人の余裕なんかも出始める。
そのオーラに惹かれてさらに女が集まる。こうして自己肯定感を高めた男たちはコミュ力もビジュアルもどんどん伸びていき、結局社会人になって会社の採用試験でもうまくいくのだろう。
先生に怒られないよう、周りに迷惑をかけないように静かに生きてきた人が損をする世の中なのだ。そしてそれを世間に訴えてみたところで俺なんかの話を聞いてくれる人は誰もいない。
でも、そんな不条理な世界は今日終わった。
いや、正確には1年前から終わっていたんだ。
あの、俺にとっての希望、神様と言ってもいい。地球崩壊の予言をしてくれた謎の団体には心の底から感謝している。
その日からずっとゲームをやり込んできた。俺の目的は、単に崩壊後の世界を生き抜くことではない。
これまで俺を蔑ろにしてきた人間たちを、苦しめて苦しめて苦しめて、ザマァしまくることだ。
その目的のために特化したモンスターを親衛モンスターとして指定してある。
さあ、そろそろ行動を開始しよう。
俺はファーストを収納し、代わりにセカンドを召喚した。
種族名:呪詛魔ジェインP
マジックストーンを毎日コツコツと集めて、やっとの思いで引き当てたレア度76の悪魔族モンスターである。
呪い系のスキルを得意とし、そのほかに幻覚を見せたりステータス偽装なんかも出来る。
呪詛魔ジェインPを使って、多くの人間を恐怖に陥れよう。幻覚を見せて、争わせるのもいいかもしれない。いやー、夢が膨らむよ。
この日のために用意しておいた黒いローブと黒いマスクをつけ、俺は歩き出した。
今までは外を歩くだけで怖かったのだが、今では楽しすぎてそんな恐怖は1ミリも無い。
向かう先は決まっている。
どうせそこに人が集まるはずだからだ。なぜわかるかというと、今日のために様々なパターンを脳内シュミレーションしておいたからだ。
安全地帯の一つであるエリアA42。まずはそこに行く。
全ては計画通りだ。




